※今回の記事に温泉は登場しません。あしからず。
前回取り上げた「旭海温泉」からは台9線に戻り、台東県側の海岸線を北上します。
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風光明媚な太平洋岸をドライブしている途中、台湾屈指の絶景を誇る駅があることを知ったので、どんな景色なのか立ち寄ってみました。場所は温泉で有名な太麻里郷金崙駅の数キロ南。台9線と台鉄南廻線の線路が海岸のすぐ傍を並行に走っている多良という廃駅です。路肩に車を止めて急坂を登り、斜面の真上にある目的地を目指します。急斜面を固めるコンクリ擁壁には、当地で暮らす原住民パイワン族の言葉や説明が記されていました。「瑪沙魯」とはパイワン族の言葉で歓迎の意を示しているだとか(もちろん表音の当て字でしょうけどね)。
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車を下りてから2~3分である多良駅に到着です。この駅は1992年に開業したものの、あまりに利用客が少ないため、わずか14年後の2006年に廃止されちゃうという哀しい運命を辿っているのですが、太平洋を臨む絶景が人気であったため、「最美麗的車站」(最も美しい駅)というコピーとともに観光地として新たな道を歩むことになったそうです。かつての駅構内にはパイワン族が営むお土産屋や屋台が数軒並んでいました。
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すでに廃止された駅ですからホームに出ることはできませんが、かつての駅施設の屋上が展望台として改築されていますので、この上に立つことにより、目の前を横切る線路越しに太平洋を一望できました。普段は雨男の私ですが、どういう訳かこの日は雲ひとつ無い快晴で、濃紺の海原とだだっ広い碧空が広がり、砂浜に打ち寄せる白波、そして橋梁上の赤い鉄柵が非常に美しく映えていました。
海側の赤い柵の下にはコンクリの台が細長く続いていますが、これこそ駅の必須設備であるプラットホーム。でもこんな吹き曝しのホームだったら、海からの強い風雨を受けて、列車を待つ間はとてもツラいだろうな…。
行き当たりばったりで立ち寄っただけなので、この絶景を眺めるだけでも十分だったのですが、「あわよくば列車が通過してくれたら最高なんだけどなぁ」なんて高望みしながら辺りを見回すと、「鉄路時刻表」なるものが展望台の柵に括りつけられているのを発見。ありがたいことに、この時刻表には当地の通過予定時刻が表記されているので、現在時刻を確認しながら時刻表を見てみますと・・・おおっ! まさに今、台東発新左営行の第314次「自強号」がやってくるぞ。これはラッキーだ!
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改めて展望台のフェンス際に立って台東側に向かって耳を澄ませてみると、既に遠くの方からジョイント音が響きはじめており、程なくディーゼルのエンジン音も聞こえてきました。しかしながら「どうやって撮ろうかな」なんて考える間もなく、緑の茂みの間から突如姿を現したDR3100形は、ヒュンヒュンと轟音を立てながら猛スピードであっという間に通過し、数秒後にはトンネルへと吸い込まれていたのでした。撮り鉄の才能ゼロな私は、普段温泉めぐりで使っている安物のデジカメを手にし、その場でオロオロしながら闇雲にシャッターを切るほかに術がなく、好天且つ待ち時間無しという絶好の機会を活かすことはできませんでしたが、この絶景を背景に走行する列車の姿を見られただけでも、観光としては十分満足です。
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ちなみにこの日の朝、私は高雄MRTの美麗島駅(上画像)から旅をスタートさせています。昨年の台湾に関するニュースで、「世界で最も美しい地下鉄駅」としてその「美麗島駅」が第2位に選ばれたという話題が報じられていました(参考:中央社フォーカス台湾 2014年1月26日付「世界で最も美しい地下鉄駅 高雄メトロ「美麗島駅」が第2位」)。美麗島駅を麗美たらしめているステンドグラスのパブリックアート「光之穹頂」は、人の手による人工的な芸術美であるのに対し、今回訪れた多良駅の場合は、人間がちっぽけに思えちゃうほど壮大な自然が魅せる美なのですから、美麗島駅と多良駅は同じ「台湾の美麗な駅」でも極めて対照的ですね。図らずも同じ日に、台湾で最も美しい駅を2つも訪れたのでした。
台東県太麻里郷多良村瀧渓8-1号 地図
入場無料 常時入場可
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前回取り上げた「旭海温泉」からは台9線に戻り、台東県側の海岸線を北上します。
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風光明媚な太平洋岸をドライブしている途中、台湾屈指の絶景を誇る駅があることを知ったので、どんな景色なのか立ち寄ってみました。場所は温泉で有名な太麻里郷金崙駅の数キロ南。台9線と台鉄南廻線の線路が海岸のすぐ傍を並行に走っている多良という廃駅です。路肩に車を止めて急坂を登り、斜面の真上にある目的地を目指します。急斜面を固めるコンクリ擁壁には、当地で暮らす原住民パイワン族の言葉や説明が記されていました。「瑪沙魯」とはパイワン族の言葉で歓迎の意を示しているだとか(もちろん表音の当て字でしょうけどね)。
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車を下りてから2~3分である多良駅に到着です。この駅は1992年に開業したものの、あまりに利用客が少ないため、わずか14年後の2006年に廃止されちゃうという哀しい運命を辿っているのですが、太平洋を臨む絶景が人気であったため、「最美麗的車站」(最も美しい駅)というコピーとともに観光地として新たな道を歩むことになったそうです。かつての駅構内にはパイワン族が営むお土産屋や屋台が数軒並んでいました。
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すでに廃止された駅ですからホームに出ることはできませんが、かつての駅施設の屋上が展望台として改築されていますので、この上に立つことにより、目の前を横切る線路越しに太平洋を一望できました。普段は雨男の私ですが、どういう訳かこの日は雲ひとつ無い快晴で、濃紺の海原とだだっ広い碧空が広がり、砂浜に打ち寄せる白波、そして橋梁上の赤い鉄柵が非常に美しく映えていました。
海側の赤い柵の下にはコンクリの台が細長く続いていますが、これこそ駅の必須設備であるプラットホーム。でもこんな吹き曝しのホームだったら、海からの強い風雨を受けて、列車を待つ間はとてもツラいだろうな…。
行き当たりばったりで立ち寄っただけなので、この絶景を眺めるだけでも十分だったのですが、「あわよくば列車が通過してくれたら最高なんだけどなぁ」なんて高望みしながら辺りを見回すと、「鉄路時刻表」なるものが展望台の柵に括りつけられているのを発見。ありがたいことに、この時刻表には当地の通過予定時刻が表記されているので、現在時刻を確認しながら時刻表を見てみますと・・・おおっ! まさに今、台東発新左営行の第314次「自強号」がやってくるぞ。これはラッキーだ!
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改めて展望台のフェンス際に立って台東側に向かって耳を澄ませてみると、既に遠くの方からジョイント音が響きはじめており、程なくディーゼルのエンジン音も聞こえてきました。しかしながら「どうやって撮ろうかな」なんて考える間もなく、緑の茂みの間から突如姿を現したDR3100形は、ヒュンヒュンと轟音を立てながら猛スピードであっという間に通過し、数秒後にはトンネルへと吸い込まれていたのでした。撮り鉄の才能ゼロな私は、普段温泉めぐりで使っている安物のデジカメを手にし、その場でオロオロしながら闇雲にシャッターを切るほかに術がなく、好天且つ待ち時間無しという絶好の機会を活かすことはできませんでしたが、この絶景を背景に走行する列車の姿を見られただけでも、観光としては十分満足です。
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ちなみにこの日の朝、私は高雄MRTの美麗島駅(上画像)から旅をスタートさせています。昨年の台湾に関するニュースで、「世界で最も美しい地下鉄駅」としてその「美麗島駅」が第2位に選ばれたという話題が報じられていました(参考:中央社フォーカス台湾 2014年1月26日付「世界で最も美しい地下鉄駅 高雄メトロ「美麗島駅」が第2位」)。美麗島駅を麗美たらしめているステンドグラスのパブリックアート「光之穹頂」は、人の手による人工的な芸術美であるのに対し、今回訪れた多良駅の場合は、人間がちっぽけに思えちゃうほど壮大な自然が魅せる美なのですから、美麗島駅と多良駅は同じ「台湾の美麗な駅」でも極めて対照的ですね。図らずも同じ日に、台湾で最も美しい駅を2つも訪れたのでした。
台東県太麻里郷多良村瀧渓8-1号 地図
入場無料 常時入場可
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