前回記事の「利吉温泉」という野湯を探索していたらすっかり陽が暮れて真っ暗になってしまったのですが、まだこの日の宿を決めていなかったので、早い内に宿泊先を決めて落ち着きたいところです。たしか卑南渓の反対側の鹿野郷に数軒の温泉民宿があるはず。そんな漠然とした記憶を頼りに台9号を走っていたら、鹿野渓という川の近くに「脱線牧場」(鶏料理で有名な観光スポット)や数軒の宿、そしてコンビニなどが集まってひとつの集落を形成しているところがあり、路傍に立つ「盈家温泉」という看板が目に入ってきたので、行き当たりばったりでその民宿を訪ねてみることにしました。
●宿泊・客室
上画像は翌朝に撮ったものです。ロータリーに咲くブーゲンビリアが綺麗ですね。民宿ですが敷地は広く、客室のタイプや数も多いみたいです。平日でしたので、いきなりの訪問でも余裕でお部屋を確保できました。
客室の種類によって宿泊棟はいくつかに分かれているのですが、今回案内されたツインのお部屋は受付棟から通りの方へちょっと隔った「離れ」にありました。上画像では車が止まっている後ろの建物がその「離れ」です。出入口はウッドテラスのような造りになっており、共用の冷蔵庫も設置されていました。
このお宿の中では最もリーズナブルなランクのお部屋のようですが、室内は広くて綺麗。もちろんエアコンやテレビが完備されており、Wifiも飛んでいましたから、快適に一晩を過ごせました。
お部屋には温泉のお風呂も備え付けられていました。深い造りの石風呂は2人同時に入れそうな容量がありますが、洗面台など水回り一式が同じ室内に設けられており、浴槽の傍らに便器が据え付けられているため、湯船に入ると目の前の便座が否応なく視界に入ってきて、ちょっと残念な状況に…。
バルブを全開にすると50℃弱のやや熱いお湯が勢い良く吐出されました。お湯だけですと入浴には熱いので、多少の加水を要します。お湯の特徴に関する細かな内容は後編の記事にて述べますが、無色透明でクセがなくアッサリとしたタイプのお湯でした。
ホームページ等の案内によれば、いつもは宿で朝食を用意してくれるようですが、この日の宿泊客は数人しかいなかったらしく、受付時(チェックイン時)に幹線道路の向かいにあるファミマ(全家)で使える80元分の金券を手渡されました。この日のような閑散期は、宿でご飯を作らないかわりに、これで好きなものを買って食べてね、ということなのでしょう。コンビニへ買い物に行く手間が発生しますので、人によって評価はそれぞれでしょうけど、私はとても合理的な手法だと思えました。なお80元をオーバーする買い物に関しては自腹になります。
●「春耕源」で夕食
さて、この晩のベッドを確保できて安心したら、今度は食欲がもたげて腹の虫が鳴き始めたぞ。でも土地勘の無い田舎ですから、どこで食事できるのかよくわかりません。すぐ目の前(通りの向かい)にある「脱線牧場」は一人で行くようなところじゃなさそうだから、コンビニ弁当で適当に済ませちゃおうかな。そう諦観しそうになった時、拙ブログでリンクを張らせていただいておりますクミさんのブログ「タビアルキ☆タベアルキ」で数ヶ月前にこの界隈のお店を取り上げていたことを思い出し、スマホでブログを拝見していたところ、ちょうどこの近くで美味しそうな鍋料理のお店が紹介されていたので(記事はこちら)、そこへ向かうことにしました。
宿から車で5~6分。台9線の路肩に立つ看板の角を曲がって、あぜ道のような細い道を進み、本当にこんなところにお店なんかあるのかと不安になるほど真っ暗な中を進んだ先に、目当てのお店「春耕源」がありました。こちらは民宿も兼業しているようですが、先程宿を決めたばかりですから、今回はお食事のみの利用です。ワイルドな雰囲気を出すため敢えて簡素な造りにしていると思しき食事処に入ると、店内のテーブルの全席には卓上コンロが置かれていました。メニューは鍋のみなので、この店での食事には欠かせないのですね。私が入店した時、二人の女性がお食事中。お店のおばちゃんは日本人の来客に戸惑った様子でしたが、先客の女性の一人が日本語を話すことができ、突然現れた私のために、わざわざお食事中の手を止めて通訳をして下さいました。
食事のメニューは香草陶板鍋(320元)のみ。まずは鍋で、刻み玉ねぎやニンニクと一緒に、タレをからめてある鶏肉を炒めます。ジューという音と共に立ち上るなんとも言えない良い香りに、お腹は堪らずグーグー鳴き続けますが、炒めただけではまだ食べられません。火が通ったお肉は一旦お皿の上に出し、肉の脂やタレが残っている状態の鍋にスープを入れて、今度は野菜に火を通します。私の目の前に出された野菜は、とても一人分とは思えないほど膨大な量だったのですが、言うまでもなく葉物は火を通せばかなりダウンサイジングしますから、むしろこれでちょうど良かったのでした。
野菜に火が通って鍋のスペースが空き始めた頃に、肉を再び鍋へ入れ、全てを一緒にグツグツと煮込んで、ようやくいただける算段となります。ニンニクの味がよく効いている肉はとってもジューシー。台湾の味付けですからスープは薄味ですが、それを補うための香草タレが美味。鍋とともにいただくご飯はヘルシーな雑穀米です。煮こむ前の具材のボリュームには驚きましたが、美味しさのおかげで気づけば全て平らげていました。
お店のおばちゃんはタブレットの翻訳ソフトを使って説明しながら、メインの食材が食べ頃になるまでほぼ付きっきりの状態で世話を焼いてくれました。おばちゃん、ありがとう。
食後はフルーツと爽やかなドリンクをいただいてフィニッシュ。退店時にはおばちゃんが店の外まで出てきて、見送ってくださいました。おばちゃんの親切心と柔和な笑顔に接し、この店で食事してよかったと大満足。とても印象に残るお店でした。
「春耕源」:台東県鹿野郷鹿野村中華路一段261巷18-1 11:00~20:00
さてお腹を満たせた後は、宿に戻って温泉プールでノンビリ過ごすことにしましょう。
後編に続く。
●宿泊・客室
上画像は翌朝に撮ったものです。ロータリーに咲くブーゲンビリアが綺麗ですね。民宿ですが敷地は広く、客室のタイプや数も多いみたいです。平日でしたので、いきなりの訪問でも余裕でお部屋を確保できました。
客室の種類によって宿泊棟はいくつかに分かれているのですが、今回案内されたツインのお部屋は受付棟から通りの方へちょっと隔った「離れ」にありました。上画像では車が止まっている後ろの建物がその「離れ」です。出入口はウッドテラスのような造りになっており、共用の冷蔵庫も設置されていました。
このお宿の中では最もリーズナブルなランクのお部屋のようですが、室内は広くて綺麗。もちろんエアコンやテレビが完備されており、Wifiも飛んでいましたから、快適に一晩を過ごせました。
お部屋には温泉のお風呂も備え付けられていました。深い造りの石風呂は2人同時に入れそうな容量がありますが、洗面台など水回り一式が同じ室内に設けられており、浴槽の傍らに便器が据え付けられているため、湯船に入ると目の前の便座が否応なく視界に入ってきて、ちょっと残念な状況に…。
バルブを全開にすると50℃弱のやや熱いお湯が勢い良く吐出されました。お湯だけですと入浴には熱いので、多少の加水を要します。お湯の特徴に関する細かな内容は後編の記事にて述べますが、無色透明でクセがなくアッサリとしたタイプのお湯でした。
ホームページ等の案内によれば、いつもは宿で朝食を用意してくれるようですが、この日の宿泊客は数人しかいなかったらしく、受付時(チェックイン時)に幹線道路の向かいにあるファミマ(全家)で使える80元分の金券を手渡されました。この日のような閑散期は、宿でご飯を作らないかわりに、これで好きなものを買って食べてね、ということなのでしょう。コンビニへ買い物に行く手間が発生しますので、人によって評価はそれぞれでしょうけど、私はとても合理的な手法だと思えました。なお80元をオーバーする買い物に関しては自腹になります。
●「春耕源」で夕食
さて、この晩のベッドを確保できて安心したら、今度は食欲がもたげて腹の虫が鳴き始めたぞ。でも土地勘の無い田舎ですから、どこで食事できるのかよくわかりません。すぐ目の前(通りの向かい)にある「脱線牧場」は一人で行くようなところじゃなさそうだから、コンビニ弁当で適当に済ませちゃおうかな。そう諦観しそうになった時、拙ブログでリンクを張らせていただいておりますクミさんのブログ「タビアルキ☆タベアルキ」で数ヶ月前にこの界隈のお店を取り上げていたことを思い出し、スマホでブログを拝見していたところ、ちょうどこの近くで美味しそうな鍋料理のお店が紹介されていたので(記事はこちら)、そこへ向かうことにしました。
宿から車で5~6分。台9線の路肩に立つ看板の角を曲がって、あぜ道のような細い道を進み、本当にこんなところにお店なんかあるのかと不安になるほど真っ暗な中を進んだ先に、目当てのお店「春耕源」がありました。こちらは民宿も兼業しているようですが、先程宿を決めたばかりですから、今回はお食事のみの利用です。ワイルドな雰囲気を出すため敢えて簡素な造りにしていると思しき食事処に入ると、店内のテーブルの全席には卓上コンロが置かれていました。メニューは鍋のみなので、この店での食事には欠かせないのですね。私が入店した時、二人の女性がお食事中。お店のおばちゃんは日本人の来客に戸惑った様子でしたが、先客の女性の一人が日本語を話すことができ、突然現れた私のために、わざわざお食事中の手を止めて通訳をして下さいました。
食事のメニューは香草陶板鍋(320元)のみ。まずは鍋で、刻み玉ねぎやニンニクと一緒に、タレをからめてある鶏肉を炒めます。ジューという音と共に立ち上るなんとも言えない良い香りに、お腹は堪らずグーグー鳴き続けますが、炒めただけではまだ食べられません。火が通ったお肉は一旦お皿の上に出し、肉の脂やタレが残っている状態の鍋にスープを入れて、今度は野菜に火を通します。私の目の前に出された野菜は、とても一人分とは思えないほど膨大な量だったのですが、言うまでもなく葉物は火を通せばかなりダウンサイジングしますから、むしろこれでちょうど良かったのでした。
野菜に火が通って鍋のスペースが空き始めた頃に、肉を再び鍋へ入れ、全てを一緒にグツグツと煮込んで、ようやくいただける算段となります。ニンニクの味がよく効いている肉はとってもジューシー。台湾の味付けですからスープは薄味ですが、それを補うための香草タレが美味。鍋とともにいただくご飯はヘルシーな雑穀米です。煮こむ前の具材のボリュームには驚きましたが、美味しさのおかげで気づけば全て平らげていました。
お店のおばちゃんはタブレットの翻訳ソフトを使って説明しながら、メインの食材が食べ頃になるまでほぼ付きっきりの状態で世話を焼いてくれました。おばちゃん、ありがとう。
食後はフルーツと爽やかなドリンクをいただいてフィニッシュ。退店時にはおばちゃんが店の外まで出てきて、見送ってくださいました。おばちゃんの親切心と柔和な笑顔に接し、この店で食事してよかったと大満足。とても印象に残るお店でした。
「春耕源」:台東県鹿野郷鹿野村中華路一段261巷18-1 11:00~20:00
さてお腹を満たせた後は、宿に戻って温泉プールでノンビリ過ごすことにしましょう。
後編に続く。