栗松温泉での入浴を果たした私は、南横公路・東段(台東県側)の霧鹿峡谷に沿って湧く温泉にも立ち寄ってみることにしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/a7/c6079df9bb48f3544816a622e69b5666.jpg)
山から下りてまずはじめに伺ったのは、霧鹿集落のちょっと先、台20号の赤い橋を渡ってすぐの崖上に建っている一軒宿「碧山温泉」です。訪問時は門扉が閉じていたのですが、1階のガレージにいた男性が私の来訪に気づき、鍵を開けて迎え入れてくださいました。男性に導かれながら階段を上がってゆきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/bf/6e34cacd2f1b8410eaa3ba82b68c4e0c.jpg)
階段を上がると見晴らしの良いテラスとなっており、景色に対して開かれているピロティー状の半露天風呂が2つ並んでいました。お風呂ゾーンの奥にアコーディオンカーテンで仕切るシャワールームがあり、宿の男性はそこで着替えて欲しいと私に言い伝えてから、屋上の方へ駆け足で去ってゆきました。シャワーからはぬるいお湯が弱々しく出てきたのですが、このお湯って温泉なのかな?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/c2/d8e0e3ff01048988a11fa95057eb7193.jpg)
この霧鹿一帯は新武呂渓が山を深く刻む峻険な峡谷が延々と続いているのですが、碧山温泉があるこの場所では馬里蘭渓という支流が合流しており、2本の流れが激しくぶつかり合って山の岩盤を粉砕してしまうのか、木っ端微塵に砕かれた岩の破片を辺り一面にぶちまけたかのような、荒々しい礫の河原が広がっています。このため碧山温泉付近だけは妙に見晴らしが良く、半露天風呂があるテラスからの眺めはなかなかです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/65/ad73c5f0ead528fa02b462f5f726d6c5.jpg)
2つのお風呂は大小に分かれているのですが、タイル貼りの大きな槽にはお湯が全く張られておらず、カラカラの空っぽ状態。おそらく週末のように複数のお客さんの利用が見込まれる時でないと、使われないのでしょうね。客がいない平日に開店休業状態となってしまう入浴施設は、台湾ではごく普通ですから、今回私が入浴できたのは寧ろラッキーだったのかも。
でも空っぽだったおかげで、面白いものを目にすることができました。というのも、大きな浴槽には、別の場所から運び込まれたのか、はたまた元々此処にあったのか、巨大な岩が奥の方にドンと鎮座しているのですが、その岩の湯面下にあたる面に、サンゴみたいなトゲトゲがビッシリとこびりついていたのです。六口温泉や栗松温泉でも確認できたように、この界隈の温泉は石灰華を生み出す重炭酸土類泉系(もしくは塩化土類)系の泉質が多いわけですが、岩の下一面を覆うトゲトゲはまさに石灰の存在を如実に示すものであり、言い換えればミニミニ鍾乳石みたいなものでしょう。
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岩の下のみならず、浴槽にお湯が満たされていたならばオーバーフローが流れ出ているだろうと思しきステップの側面にも、スカートの裾の広げるような形で鱗状の石灰華が分厚くこびりついており、床にも石灰華の千枚田が広がっていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/4c/97346d9351f0cd302be9e0551e160e5f.jpg)
今回私が入浴できたのは小さな方のお風呂。キャパ的には大きなお風呂の半分ほどですが、タイル貼りの浴槽の奥に巨大な岩が据えられている点は同様です。タイルの表面を鱗状の石灰華が薄っすらと付着していたり、岩の下をトゲトゲが覆っていることも共通しています。
宿の男性が屋上の方へ駆け上がって、私が水着に着替えている時、この小さな浴槽では、左隅から下りているいる塩ビ管からボコボコと音が響き、その後お湯が吐出されはじめました。なるほど、男性はわざわざお湯の元栓を開けに行ってくれたのか。入浴前は半分くらいしか溜まっておらず、湯加減もぬるめだったのですが、お湯が投入され続けるうちに徐々に嵩が高くなり、温度も良い感じまで上がってきました。
お湯は無色透明で湯の華などは見られず、透明度が高くてとてもクリアです。口に含むと塩味や石膏感が微かに感じられましたが、いずれもかなり弱く、前回記事の栗松温泉で得られたようなイオウ感は皆無です。知覚的特徴は総じて薄くて掴みどころに乏しく、浴感もこれと言った特徴が無いのですが、強いて言えばサラスベの中に土類泉的な弱い引っ掛かりが混在するような感じです。岩の表面やステップ等に見られる土類泉的な特徴はどこへ消えてしまったのやら。どこに源泉があるのかわかりませんが、元々薄いお湯なのか、はたまた加水をして薄くなっちゃっているのか…。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/90/ceba260934de674ac42815708a64b3a2.jpg)
お湯としては何と評価して良いのか難しいところですが、上述のように高くて見晴らしの良いロケーションにお風呂が設けられているため、峡谷から吹く涼しい風がよく入り込んできます。青い空と山の緑を眺めながら、風を感じて入る温泉はとても爽快でした。今回は入浴のみの利用でしたが、宿泊用客室は更に高い位置にありますから、そこからの眺めもさぞ良いことでしょう。
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ちなみに宿の前を流れる新武呂渓は河川工事中。宿の目の前には崩れたままの橋が放置されていました。この数十メートル手前には台20線の赤い橋が架かっていますから、崩落した橋は赤い橋の旧道にあたるのでしょう。とにかく険しい地形ですから、大雨の度に水害が発生してしまうようです。自然の猛威に治水工事はどれだけ抵抗できるのか。賽の河原で石を積むような虚しさすら覚えます。
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湯上がりに台20線を上流方面へ300メートルほど歩いてみました。ちょうど六口温泉の手前です。対岸の切り立った断崖のあちこちから温泉が噴出しており、岩の表面をベージュ色に染めています。
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視線を川から山の方へと転じたところ、山の斜面でも温泉が湧いており、木々の間でいくつもの石灰ドームを形成していました。このあたりは温泉の宝庫なんですね。入浴できないのが残念ですけど…。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/88/c8924f8a64494695b579527525a65fa6.jpg)
上画像の崖では、遠くからでも目指できるほど、温泉が勢い良く噴き出て白い噴霧を上げており、そのまわりは石灰で分厚くコーティングされていました。噴泉塔こそできていませんが、峡谷の断崖から勢い良く温泉が噴出する様は、プロレスラー永源遙のツバ攻撃…ではなく、石川県白山の岩間噴泉塔を連想させます(ちなみに永源遙は石川県出身ですよ)。
台東県海端郷霧鹿村一鄰1-8号 地図
089-931370
日帰り入浴時間不明
150元
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★+0.5
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山から下りてまずはじめに伺ったのは、霧鹿集落のちょっと先、台20号の赤い橋を渡ってすぐの崖上に建っている一軒宿「碧山温泉」です。訪問時は門扉が閉じていたのですが、1階のガレージにいた男性が私の来訪に気づき、鍵を開けて迎え入れてくださいました。男性に導かれながら階段を上がってゆきます。
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階段を上がると見晴らしの良いテラスとなっており、景色に対して開かれているピロティー状の半露天風呂が2つ並んでいました。お風呂ゾーンの奥にアコーディオンカーテンで仕切るシャワールームがあり、宿の男性はそこで着替えて欲しいと私に言い伝えてから、屋上の方へ駆け足で去ってゆきました。シャワーからはぬるいお湯が弱々しく出てきたのですが、このお湯って温泉なのかな?
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この霧鹿一帯は新武呂渓が山を深く刻む峻険な峡谷が延々と続いているのですが、碧山温泉があるこの場所では馬里蘭渓という支流が合流しており、2本の流れが激しくぶつかり合って山の岩盤を粉砕してしまうのか、木っ端微塵に砕かれた岩の破片を辺り一面にぶちまけたかのような、荒々しい礫の河原が広がっています。このため碧山温泉付近だけは妙に見晴らしが良く、半露天風呂があるテラスからの眺めはなかなかです。
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2つのお風呂は大小に分かれているのですが、タイル貼りの大きな槽にはお湯が全く張られておらず、カラカラの空っぽ状態。おそらく週末のように複数のお客さんの利用が見込まれる時でないと、使われないのでしょうね。客がいない平日に開店休業状態となってしまう入浴施設は、台湾ではごく普通ですから、今回私が入浴できたのは寧ろラッキーだったのかも。
でも空っぽだったおかげで、面白いものを目にすることができました。というのも、大きな浴槽には、別の場所から運び込まれたのか、はたまた元々此処にあったのか、巨大な岩が奥の方にドンと鎮座しているのですが、その岩の湯面下にあたる面に、サンゴみたいなトゲトゲがビッシリとこびりついていたのです。六口温泉や栗松温泉でも確認できたように、この界隈の温泉は石灰華を生み出す重炭酸土類泉系(もしくは塩化土類)系の泉質が多いわけですが、岩の下一面を覆うトゲトゲはまさに石灰の存在を如実に示すものであり、言い換えればミニミニ鍾乳石みたいなものでしょう。
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岩の下のみならず、浴槽にお湯が満たされていたならばオーバーフローが流れ出ているだろうと思しきステップの側面にも、スカートの裾の広げるような形で鱗状の石灰華が分厚くこびりついており、床にも石灰華の千枚田が広がっていました。
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今回私が入浴できたのは小さな方のお風呂。キャパ的には大きなお風呂の半分ほどですが、タイル貼りの浴槽の奥に巨大な岩が据えられている点は同様です。タイルの表面を鱗状の石灰華が薄っすらと付着していたり、岩の下をトゲトゲが覆っていることも共通しています。
宿の男性が屋上の方へ駆け上がって、私が水着に着替えている時、この小さな浴槽では、左隅から下りているいる塩ビ管からボコボコと音が響き、その後お湯が吐出されはじめました。なるほど、男性はわざわざお湯の元栓を開けに行ってくれたのか。入浴前は半分くらいしか溜まっておらず、湯加減もぬるめだったのですが、お湯が投入され続けるうちに徐々に嵩が高くなり、温度も良い感じまで上がってきました。
お湯は無色透明で湯の華などは見られず、透明度が高くてとてもクリアです。口に含むと塩味や石膏感が微かに感じられましたが、いずれもかなり弱く、前回記事の栗松温泉で得られたようなイオウ感は皆無です。知覚的特徴は総じて薄くて掴みどころに乏しく、浴感もこれと言った特徴が無いのですが、強いて言えばサラスベの中に土類泉的な弱い引っ掛かりが混在するような感じです。岩の表面やステップ等に見られる土類泉的な特徴はどこへ消えてしまったのやら。どこに源泉があるのかわかりませんが、元々薄いお湯なのか、はたまた加水をして薄くなっちゃっているのか…。
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お湯としては何と評価して良いのか難しいところですが、上述のように高くて見晴らしの良いロケーションにお風呂が設けられているため、峡谷から吹く涼しい風がよく入り込んできます。青い空と山の緑を眺めながら、風を感じて入る温泉はとても爽快でした。今回は入浴のみの利用でしたが、宿泊用客室は更に高い位置にありますから、そこからの眺めもさぞ良いことでしょう。
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ちなみに宿の前を流れる新武呂渓は河川工事中。宿の目の前には崩れたままの橋が放置されていました。この数十メートル手前には台20線の赤い橋が架かっていますから、崩落した橋は赤い橋の旧道にあたるのでしょう。とにかく険しい地形ですから、大雨の度に水害が発生してしまうようです。自然の猛威に治水工事はどれだけ抵抗できるのか。賽の河原で石を積むような虚しさすら覚えます。
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湯上がりに台20線を上流方面へ300メートルほど歩いてみました。ちょうど六口温泉の手前です。対岸の切り立った断崖のあちこちから温泉が噴出しており、岩の表面をベージュ色に染めています。
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視線を川から山の方へと転じたところ、山の斜面でも温泉が湧いており、木々の間でいくつもの石灰ドームを形成していました。このあたりは温泉の宝庫なんですね。入浴できないのが残念ですけど…。
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上画像の崖では、遠くからでも目指できるほど、温泉が勢い良く噴き出て白い噴霧を上げており、そのまわりは石灰で分厚くコーティングされていました。噴泉塔こそできていませんが、峡谷の断崖から勢い良く温泉が噴出する様は、プロレスラー永源遙のツバ攻撃…ではなく、石川県白山の岩間噴泉塔を連想させます(ちなみに永源遙は石川県出身ですよ)。
台東県海端郷霧鹿村一鄰1-8号 地図
089-931370
日帰り入浴時間不明
150元
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★+0.5