温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

安通温泉 玉温泉

2015年09月21日 | 台湾
前回記事で触れたように、玉里で食事を済ませたのは夜8時すぎ。そろそろこの日の宿を決めなければなりません。本当はもっと花蓮に近い場所まで到達しておきたかったのですが、あまり深い時間まで決断を遅らせると宿選びに苦労しそうな予感がします。そこで、玉里から程近い場所にある安通温泉へ向かって、宿探しをすることにしました。


 
安通温泉には数軒の旅館がありますが、3年前に泊まった「安通温泉飯店」は値段がちょっと高そうなのでパス。メインストリート沿いにある民宿の軒先を覗いたら、屋外温泉プールにお湯が張られていなかったのでここも断念…。結局、消去法で行き着いたのは川沿いに建つ比較的規模の大きな「玉温泉」でした。駐車場には大陸からの団体客を乗せてきたと思しきバスが停まっており、騒々しい賑やかな彼らと同宿するのはなるべく遠慮したかったのですが、もう時計の針は夜9時を指そうかとしていたので、妥協してここで一晩を越すことにしたのです。なお上2枚の画像は翌朝のチェックアウト後に撮ったものです。


●客室
 
団体が利用していたものの、客室数には余裕があるらしく、遅い時間帯でも問題なくお部屋を確保できました。この晩の客室はごくごく普通のツインルーム。テレビや冷蔵庫など各設備類の他、エアコンと扇風機が1台ずつ設置されていますから南国の暑さ対策にぬかりはありません。ベッドの上には田舎のラブホテルみたいな安っぽい天蓋が吊り下げられていました。Wifiは一応飛んでいるものの、電波が弱い上、ファイアウォールが働いちゃってちっとも機能せず…。


 
 
客室に付帯しているバスルームにはガッシリした造りの一人サイズのバスタブが据えられており、シャワー付きのカランからは46.8℃でpH8.4の温泉が吐出されました。そのお湯は無色透明で、弱い塩味と軟式テニスボールのような硫化水素感、そして僅かながらセルロイドのような匂いが感じられました。湯中では弱いツルスベ浴感が得られましたが、pH値の割には滑らかさが弱く、どちらかと言えば掴みどころの無い没個性なフィーリングです。なおフロントに掲示されていたデータには炭酸イオン(CO3^2-)が400~439mgと記されていたのですが、そんなに多いはずないので、炭酸水素イオン(HCO3-)の誤記じゃないのかな。


 
 
朝食は食堂でいただくバッフェスタイル。
おかゆメインの中式で、とても簡素な内容でした。



●屋外温泉プール
 
フロントの横から建物の裏手に出ると、家族でワイワイ楽しむ温水プールが広がっていました。こちらのお宿の目玉施設であります。


 
最も目立つのは中央の滑り台付きプール。朝と夜間、それぞれ1枚ずつ撮影しました。夜間は団体客の子どもたちがキャッキャとはしゃぎながら、何度も何度も上から滑って楽しんでいました。ぬるいお湯が張られていたのですが、温泉利用なのかな。


 
滑り台が子供向けならば、左端に位置するソラ豆のような形をした大きな浴槽は、大人が楽しむための温浴槽です。長湯できる36~7℃のお湯が張られており、ジェットバスや打たせ湯などおなじみの設備が揃っており、おじさんおばさんが気持ち良さそうな表情を浮かべながら、のんびり湯浴みしていました。夜間は槽内からライトが照らされていて、画像で見ると結構綺麗なのですが、お湯はかなり鈍っていますし、各装置を動かすためのスイッチは半数近くが故障していて、稼働するものでも勢いが弱かったりするので、総じてちょっと残念な感じ。


 
子供向け滑り台付きプールと、打たせ湯等の大人向けプールの間に挟まれる形で、小ぶりの槽が2つ並んでいました。手前側は冷水槽なのですが、利用時はなぜか半分ほどしか溜まっておらず、水の鮮度が疑わしかったので利用しておりません。その奥に隣接する岩で囲まれた四角い浴槽は「高温池」と表示されており、その文字が示すようにこの槽が最も高温で、私の体感で41℃ほどの湯加減でした。温泉宿の高温槽ですから、沸かし湯ではなく天然温泉のお湯なのでしょう。お湯は底面から供給され、浴槽上部(縁の上)から溢れ出ていたのですが、実際に入浴したところ、いくらかお湯は鈍り気味であり、僅かながら赤茶色系に懸濁していたように見えました(夜間ですから色合いに関しては誤認があるかもしれませんが、澄んでいなかったのは確かです)。底面供給ですのでお湯をテイスティングできなかったのですが、匂いに関しては客室のお風呂と同じくセルロイドを想像させるようなアブラ臭らしきものが微かに漂っていたので、こちらにも同じお湯が引かれているものと思われます。アブラ臭は温泉由来なのか、はたまた貯湯や配湯の過程で何かしらが混入しているのか、そのあたりはよくわかりません。少なくともお湯に関しては、利用の都度張り替える客室のお風呂の方がはるかに良好でした。


 
滑り台付きプールの右隣には屋根付きの円形槽が4つ花びらのように配置されていました。「薬浴池」と称するんだそうでして、その名の通り、円形の浴槽には薫衣草(ラベンダー)・生薑(ショウガ)などのエキスを溶かしたオレンジ色のお湯が張られ、いかにも漢方薬らしい匂いがプンプン漂っていました。でも臭いが強烈だったので、遠巻きに見学するだけでノータッチ。



 
フロントから見て各プールを挟んだ向かい側に、まるで長屋のように個室風呂の扉がズラリと並んでいました。ざっと見た感じでは、少なくとも20室以上あるはず。浴槽の形状にはいくつかのパターンに分けられるのですが、各個室の基本的な構造は共通しており、1~2人サイズの浴槽が据え付けられていました。私が泊まった客室のお風呂と同じく、使う度にお湯を張り替えるタイプですから、お湯の鮮度感で考えるならば、玉温泉は屋外のプールではなく、こうした個室風呂を利用するのが良いのかもしれません。

以前泊まった「安通温泉飯店」の内湯ははっきりとしたタマゴ感を伴う強いツルスベ浴感を楽しめたので、それに近いお湯を期待したのですが、こちらで使われている源泉は同じ安通でもかなり毛色が異なっており、印象に残るような浴感が得られなかったのは残念です。同じ温泉地でも源泉が異なればお湯の質も違ってくるという温泉マニアの常識を、否応なく再確認した晩となりました。


氯化物硫酸塩泉 49.2~50.8℃ 蒸発残留物1540mg/kg  
Cl-:639mg, CO3--(※):400~439mg,
(※)正しくはHCO3-かと思われます。

個室風呂7:00~24:00、屋外プール7:30~23:00
入浴のみ200元

花蓮県富里郷呉江村安通58-8号  地図
ホームページ

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