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人吉盆地の西北端に位置している日帰り入浴専門の浴場です。西人吉駅から田んぼの中を北上すること約2km、辺りは蛙の声があちこちから聞こえる長閑な田園風景が広がる一方で、背景には傾斜地の林が広がっており、この付近が盆地と山地の境界にあたることがわかります。ここまで来る道は狭いのですが、駐車場は広めにとられています。建物は正面向かって左から食事処兼休憩所・受付・男女別浴場・家族風呂の順に配されていて、家族風呂が設けられているのが九州らしいところです。
受付のおじさんに料金を支払ってお風呂へ。入口には人吉の温泉共通の暖簾がかかっています。浴室にはカランが3つ、そして黒光りする石板貼りの浴槽がひとつ。縁から絶え間なくお湯が溢れ出ており、そのオーバーフローする流路は温泉成分の析出で茶色く変色しています。
浴槽に注がれるお湯は無色透明で、湯口でタマゴの匂いと微かに金気の匂いが香り、口に含むと僅かに金気と重曹の味が感じられます。ここのお湯の特徴はその泡付きの凄さにあります。お湯に入ると忽ち全身気泡に包まれ、肌が泡で白く見えるほどです。何度拭っても付着してくる泡に、私は興奮してしまいました。有り余る泡は体に付着するだけでなく、湯面でパチパチ弾けています。これだけの泡は、このお湯がいかに新鮮であるかを証明しているに他ありません。
分析表を見ると遊離炭酸ガスが計測されていないので、このガスはおそらく窒素か何かかと思われますが、激しい泡つきの効果、そして重曹泉というお湯自体が持つ泉質により、肌触りがツルツルスベスベしてとても気持ちよく、お湯も加温されているもののぬるめに設定されているのでつい長湯してしまい、湯船に浸かっていると心地よさを通り越して意識がまどろみ、眠くなって夢の世界へと導かれてしまいそうでした。重曹泉らしく湯上りさっぱり、爽快です。ここのお湯の泡付きは是非多くの方に体験していただきたいものです。
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気泡にまみれるお湯が注がれる浴槽。窓の外には田んぼと山が広がる長閑な景色
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見にくいかと思いますが、腕に気泡がついている様子です
ナトリウム-炭酸水素塩泉
34.1℃(加温) pH8.36 動力揚湯(湧出量測定不可・掘削深度419m) 総成分量1558mg/kg
JR肥薩線・西人吉駅 徒歩25分(約2km)
熊本県人吉市下原田町嵯峨里1518 地図
0966-22-6981
10:00~22:30 無休
300円
私の好み:★★★