経済なんでも研究会

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利上げの副作用は 大きいか? (下)

2021-12-22 08:20:29 | 金融
◇ 信用度の低い債券が売り叩かれる = 金利の上昇は、借金をしている企業や個人の負担を重くする。IMF(国際通貨基金)の調査によると、世界中の政府・企業・個人が背負った債務の総額は、20年で226兆ドル(2京5700兆円)に及ぶ。仮に金利が0.1%上がっただけでも、負担は25兆円増える計算だ。特に低格付けの企業はすでに高い金利を付けた債券を発行しているから、追加の負担増はズシリと重く響く。

さらに優良債券の金利が上昇すると、投資家は信用度の低い債券を売って、優良債券に乗り換える。すると低格付けの債券は暴落する危険性が大きい。08年に起きたリーマン・ショックは、信用度の低い住宅ローン債券が暴落。これを大量に保有していた大手の投資会社リーマン・ブラザースが、倒産したことに端を発した金融恐慌だった。

この経験からも判るように、この種の金融不安に大金融機関が巻き込まれると、騒ぎは大きくなる。そこで各国は金融機関が低格付け債券を保有しないよう、監視を強めている。したがってリーマン・ショックの二の舞が起きる可能性は小さくなった。しかし現実に低格付け債券は無数に発行されており、その実態は必ずしも掴めていない。どこかで火を噴く危険性が、ないとは言えない。

利上げの副作用は、アメリカ発だけとは限らない。イングランド銀行は先週、政策金利を0.1%引き上げ0.25%とした。ECB(ヨーロッパ中央銀行)も、国債などの買い入れ規模を半分に縮小すると発表した。これらの利上げもアメリカと同様、新興国や低格付け債券に悪影響を及ぼす。そうしたなかで、日銀は超緩和政策を継続すると公言する。円安の進行だけではなく、欧米の利上げは日本経済にも思わぬ影響を与えると覚悟しておくべきだろう。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +579.78円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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