◇ 日本のインフレは特異な構造 = 日銀が発表した9月の企業物価は、前年比9.7%の上昇だった。企業物価というのは、企業間で取引されるモノの値段。19か月連続の上昇で、ここからみる限りは立派なインフレだ。電力・都市ガス・水道、鉱産物、鉄鋼などの値上がりが目立つ。ウクライナ戦争やコロナの影響でエネルギーや資源の国際価格が高騰、それに円安の効果が加わった。
ところが総務省が発表した8月の消費者物価は、前年比3.0%の上昇にとどまっている。卸売り段階はインフレなのに、小売り段階はまだインフレとは言えない。ここで企業物価の上昇は、ほとんどが輸入コストの高騰に起因している。しかし消費者の段階では需要が弱く、インフレになりにくい。値上げをすると、売れなくなる恐れが大きいからだ。このため卸売り段階と小売り段階で、物価の上昇率に差がついてしまう。欧米諸国にはみられない、日本独特の現象である。
もう1つ、企業物価にはサービス価格が含まれないが、消費者物価には含まれている。日本のサービス価格は、たとえば飲食業や宿泊業など、コロナ禍の影響で上がらなかった。これも卸売り段階と小売り段階の差となって表われる。それでも小売り業者は、値上げをしないと儲けが出ない。そこで少しづつ値上げしているのが、いまの値上げラッシュというわけだ。
輸入物価の上昇は、その56%が円安の影響による。その円安は、日銀がゼロ金利にしがみついているために起きる。中央銀行の最大の使命は、通貨価値を維持するために物価の安定を図ることにある。その日銀がインフレを助長しているわけだから、なんとも奇妙だ。これも日本独特のインフレ要因と言えるだろう。
一方、岸田政権の対策は補助金の支給に終始している。ガソリン・灯油・小麦から始まって、来年からは電力・ガスに至るまで。要するに、ほとんどが傷口に膏薬を貼るだけだ。日本経済の体力を強くする政策がないから、経済が成長しない。このため賃金が伸びず、需要が拡大しない。需要インフレは起きにくくなっている。しかし輸入インフレは続くから、値上げラッシュは続く。
≪20日の日経平均 = 下げ -250.42円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
ところが総務省が発表した8月の消費者物価は、前年比3.0%の上昇にとどまっている。卸売り段階はインフレなのに、小売り段階はまだインフレとは言えない。ここで企業物価の上昇は、ほとんどが輸入コストの高騰に起因している。しかし消費者の段階では需要が弱く、インフレになりにくい。値上げをすると、売れなくなる恐れが大きいからだ。このため卸売り段階と小売り段階で、物価の上昇率に差がついてしまう。欧米諸国にはみられない、日本独特の現象である。
もう1つ、企業物価にはサービス価格が含まれないが、消費者物価には含まれている。日本のサービス価格は、たとえば飲食業や宿泊業など、コロナ禍の影響で上がらなかった。これも卸売り段階と小売り段階の差となって表われる。それでも小売り業者は、値上げをしないと儲けが出ない。そこで少しづつ値上げしているのが、いまの値上げラッシュというわけだ。
輸入物価の上昇は、その56%が円安の影響による。その円安は、日銀がゼロ金利にしがみついているために起きる。中央銀行の最大の使命は、通貨価値を維持するために物価の安定を図ることにある。その日銀がインフレを助長しているわけだから、なんとも奇妙だ。これも日本独特のインフレ要因と言えるだろう。
一方、岸田政権の対策は補助金の支給に終始している。ガソリン・灯油・小麦から始まって、来年からは電力・ガスに至るまで。要するに、ほとんどが傷口に膏薬を貼るだけだ。日本経済の体力を強くする政策がないから、経済が成長しない。このため賃金が伸びず、需要が拡大しない。需要インフレは起きにくくなっている。しかし輸入インフレは続くから、値上げラッシュは続く。
≪20日の日経平均 = 下げ -250.42円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫