経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2021-07-26 08:06:46 | 株価
◇ 史上最高の3万5000ドルに到達 = ダウ平均は先週374ドルの値上がり。終り値は3万5062ドルとなって、史上最高値を更新した。昨年5月に2万5000ドルを突破してから約1年2か月で、10000ドル上昇したことになる。コロナの再拡大や金融緩和政策の縮小が警戒されるなか、4-6月期の企業業績が予想を上回ったことで買い気が広がった。ナスダックとSP500も最高値を更新、ニューヨーク市場はお祭り気分に湧いている。

日経平均は先週455円の値下がり。オリンピックも始まったが、元気は出ない。東京などに緊急事態宣言が発令され、景気の見通しが暗くなった。このためオリンピック後に実施される総選挙の結果にも、警戒感が生まれ始めた。日経平均はこの1年2か月の間に、約6100円の上昇だった。したがって、出遅れ感が強まると上げるだろう。だが、ほかに積極的な買い材料は、いまのところ見当たらない。

ニューヨークの活況は、まだ続くのだろうか。お祭り騒ぎが高じて株価の急騰が続くようだと、反動安に見舞われかねない。しかし一進一退しながら徐々に値を上げる形ならば、株価はまだ切り上がる。その条件としては、コロナの異常な再拡大がないこと、それにFRBが緩和政策の修正を口にしないことだろう。最大の注目点は、アメリカの物価動向ということになる。

今週は27日に、6月の企業向けサービス価格。30日に、6月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは26日に、6月の新築住宅販売。27日に、5月のFHFA住宅価格、7月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。29日に、4-6月期のGDP速報。またEUが29日に、4-6月期のGDP速報。中国が31日に、7月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (71)

2021-07-24 07:44:33 | なし
◇ インドネシアが世界最悪に = 世界の感染者数は累計1億9200万人、この1週間で363万5000人増えた。この増加数は前週より34万8000人多い。死亡者数は412万7109人で、6万8876人の増加。前週を1万2434人上回った。全体としてコロナは再拡大している。東南アジアやアフリカの新興国で流行、ワクチン接種が進んだ先進国でも勢いを取り戻した。特に悪化が目立つのはインドネシアだ。

例によって国別の死亡者数をみると、アメリカが60万9877人。来週は61万人台に乗せるだろう。次いでブラジルが54万人台、インドが41万人台、メキシコが23万人台。さらにロシアが14万人台、イギリスとイタリアが12万人台、フランスが11万人台、ドイツが9万人台、イランが8万人台となっている。そしてインドネシアが7万9032人と続く。この1週間で8840人が死亡しており、この死亡者数はブラジルやインドを上回った。

こうしたなかで、イギリスの危険な賭けが始まった。ロンドンを含むイングランド全域の規制を、19日に全面解除。店舗やイベントの規制、ソーシャル・ディスタンス、マスクの着用義務もいっさい無くなった。ワクチン接種率が成人の68%に達したためで、「感染者が増えても死亡者が増えなければいい」という政策である。ちなみに、この1週間の感染者は33万4000人の増加、死亡者は385人にとどまった。

日本の感染者は累計85万7921人、この1週間で2万6839人増えた。この増加数は前週より9579人と大幅に悪化している。死亡者は1万5108人で88人の増加。前週より12人減っている。ワクチン接種が伸びたせいだろう。こうした状況のなかで、とうとうオリンピックが開催された。期間中に感染者や死亡者が急増すれば、菅内閣の支持率はさらに下がる。ここでも賭けが始まった。


なぜなのか? トヨタが五輪CMを中止

2021-07-22 07:55:58 | テレビ
◇ 根は浅いのか深いのか = トヨタ自動車は19日「東京五輪・パラリンピックに関するテレビCMを中止する」「豊田章男社長はじめ同社関係者は、開会式に出席しない」と発表した。トヨタは五輪・パラリンピックの最大級スポンサー。今回も3340台の車両を提供するなど、大会の開催には協力してきた。それが、どうしてテレビCMを止めるのか。関係者の間で、大きな憶測を呼んでいる。

CM中止の理由について、トヨタの長田執行役員は「いろいろなことが理解されていない五輪になりつつある。アスリートが集中できることを、いちばんに考えたい」と説明した。だが、この言い回しでは何のことだか判らない。だから憶測だけが独り歩きしている。味の素やNTT、アサヒビールなどの大スポンサーも、対応をどうするのか考え始めたという。もし追随するスポンサーが続出すると、民間テレビ局や広告会社は経営的な損失を免れない。

大会の運営については、紆余曲折があった。たとえば有観客か無観客か。そんな曲折の経緯が、スポンサー側には全く報告されなかった。トヨタはそれを怒っているのだという推測もある。だが、それなら組織委員会が詫びを入れれば、トヨタも怒りを鎮めるかもしれない。問題の根は浅いと言えるだろう。

世論調査の結果をみると、オリンピックの開催に批判的な回答が予想外に多い。コロナ禍のさなかに強行することへの批判もあるが、その根底には肥大化し、カネまみれになったオリンピックそのものへの反発がある。そんなときにCMを出せば、企業のイメージを悪くする危険がある。トヨタがそう考えたのであれば、根はずっと深い。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +159.84円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝0敗】     

インフレの足音が聞こえる / アメリカ (下)

2021-07-21 07:31:18 | アメリカ
◇ 10月にも金融緩和の縮小開始? = コスト面からの物価上昇は、国内要因と国際要因に分けられる。このうち国内要因でいちばん大きいのは、人手不足による賃金の上昇だろう。6月の平均時給をみると、レジャー・運輸・小売り部門では、前年比で6-7%も上昇した。景気は回復傾向にあるが、人が集まらない。失業手当に特別加算が付いたため、求職しない人が多い。この特別加算は8月いっぱいで終了するが、9月以降どのくらい求職者が増えるのかは不明だ。

国際要因は、原油や非鉄金属・半導体・木材などの原材料価格が上昇したことだ。すでにガソリン価格や電気料金の高騰は、企業の生産コストをじわりと押し上げている。原材料の国際価格が上昇したことで、中国製品も値上がり傾向。輸入価格の上昇もコスト高につながっている。また世界的な異常気象の影響で、農産物の価格も上がり始めた。

いまアメリカの物価を押し上げているのは、中古車と住宅。これらは時間が経てば、供給が追い付いて価格が落ち着くかもしれない。しかし全体を見渡せば、インフレ要因がずらりと顔を見せ始めた。パウエルFRB議長が「物価上昇は一時的なもの」と強調しても、市場の不安は打ち消せない。シティ・グループの調査でも「物価上昇は継続的」という答えが、半数を上回った。

7-8月の物価動向は、9月になると判明する。そのときインフレ傾向が強まっていれば、FRBは金融緩和政策を続けるわけにはいかない。引き締め政策に転じるのはまだ先だとしても、その準備段階として緩和の縮小は始めるだろう。早ければ、その転換点は10月にやってくる。市場はこうした推測を、どうしても捨てられなくなった。

        ≪20日の日経平均 = 下げ -264.58円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

インフレの足音が聞こえる / アメリカ (上)

2021-07-20 07:34:51 | アメリカ
◇ 物価の上昇は一時的なものなのか = パウエルFRB議長は先週14日、議会で証言。注目されている金融緩和政策の縮小について「まだまだ遠い先の話だ」と強調した。株式市場にとって、こんなにいいニュースはない。ダウ平均は300-400ドル上昇しても、おかしくはなかった。ところが、その日のダウ平均は44ドルしか上がらなかった。FRB議長がいくら説明を尽くしても、市場は最近の物価上昇を無視できなくなっているからである。

米商務省の発表によると、6月の消費者物価は前年比5.4%の上昇だった。13年ぶりの上昇率である。5月も5.0%の上昇で、物価の騰貴は歴然としている。ただFRBは一貫して「この上昇は一時的なもの」だと主張してきた。というのも、昨年4-6月はコロナ不況の影響で物価が上がらなかった。したがって、ことし4-6月の物価上昇は大きく出ても仕方がないという説明だ。

たしかに昨年4-6月の消費者物価は、前年比0.1-0.6%の上昇にとどまっている。その後の7-9月に比べると、ほぼ1%ポイント程度低い。その分だけ上昇幅が大きく出ている、という説明は納得できる。しかし、その1%分を差し引いて考慮しても、ことし5-6月の上昇率は4%を超えており、無視できるような状態ではない。

問題は、7月以降の物価が上げ止まるかどうかだろう。この点については、需給動向とコスト動向の両面から見なければならない。まず需給面では、コロナ後の景気回復で需要は急激に増大する。しかし供給は、部品や人手などの制約から追い付けない。このため物価には上昇圧力が加わるだろうというのが、一般的な見方となっている。次にコスト面では・・・。

                            (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 下げ -350.34円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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