経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2021-07-19 07:47:57 | 株価
◇ ダウは高値圏でひと休み = ダウ平均は先週182ドルの値下がり。史上最高値の更新を続けただけに、一服する形になった。終り値は3万4688ドル。高値での利益確定売りが増えたほか、根底にはFRBによる緩和政策終了への警戒感が消えない。14日にはパウエル議長が議会で「緩和縮小の時期は、まだ先」と証言したが、株価は動かなかった。

日経平均は先週63円の値上がり。終り値は2万8000円台を、かろうじて維持した。コロナの再拡大が進み、景気回復の見通しが全く立たない。そこへオリンピックという新たな不確実要素が加わった。市場としては、上へも下へも動きようがない。16日には黒田日銀総裁が「脱炭素に向けた新融資制度」を発表したが、株価は下げた。

アメリカ経済の将来見通しは、確実に改善しつつある。企業の業績見込みも、上向いている。したがって株価の基本的な体勢は強く、ダウは一服ののち3万5000ドルに駆け上がる可能性は大きい。一方、日経平均はコロナの感染増加が収まるまでは上がりにくい。さらに解散・総選挙という政治の季節も近づいてきた。下げ渋る状態を保つのが、精いっぱいだろう。

今週は20日に、6月の消費者物価。21日に、6月の貿易統計。アメリカでは19日に、7月のNAHB住宅市場指数。20日に、6月の住宅着工戸数。22日に、中古住宅販売が発表される。なお23日は、東京オリンピック開幕。同じ23日は、中国共産党の結党100周年。

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (70)

2021-07-17 08:16:39 | なし
◇ 弱いところを攻めてくるデルタ型ウイルス = 世界の感染者数は累計1億8836万人、この1週間で329万人増えた。死亡者数は405万8233人で、5万6442人の増加。感染者も死亡者も増加数が前週より拡大し、ここ数週間の縮小傾向がストップした。インド発のデルタ型変異ウイルスが、感染力を強めているためだ。WHO(世界保健機関)の発表によると、デルタ型ウイルスは世界の104か国で感染が確認されている。

デルタ型ウイルスは、ワクチン接種が遅れている中南米や東南アジアの新興国で拡大中。また先進国でも、接種が遅れている50歳代以下の人たちを中心に感染力を強めている。要するに防衛体制が整わない弱いところを狙って、勢力を広げている状態。まるで“総司令官”が作戦を立てて侵攻してくるようで恐ろしい。

国別の死亡者数をみると、アメリカが60万人台。次いでブラジルが53万人台、インドが41万人台、メキシコが27万人台。さらにロシアが14万人台、イギリスとイタリアが12万人台、フランスが11万人台、ドイツが9万人台、イランが8万人台と続いている。このなかでアメリカ・インド・メキシコ・ロシア・イギリス・イランの6か国が、前週より死亡者の数を増加させた。

日本の感染者は累計83万1082人。前週より1万7260人増えた。この増加数は前週より4985人多い。また死亡者は1万5020人で、前週より100人増えた。この増加数は前週より12人少ない。デルタ型の侵入で感染者は拡大したが、ワクチンのおかげで死亡者はやや縮小したものと考えられる。この傾向がオリンピックで、どう変わるのか。

        ≪16日の日経平均 = 下げ -276.01円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

労組と政府が結託 : 最低賃金上げ

2021-07-16 07:39:35 | 賃金
◇ もっと柔軟な設計も出来たはず = 中央最低賃金審議会は14日、21年度の最低賃金を全国平均で28円引き上げることを決定した。上げ幅は3.1%で、02年度以来の最大。労組側の代表は40円の引き上げを要求、企業側は据え置きを主張して大揉めに揉めたが、最後は政府側が引き上げに賛成して28円で決着した。この指針をもとに、各都道府県が実際の引き上げ額を決め、10月ごろから実施される。

現在の最低賃金は平均902円。これが930円に引き上げられる。もし全国で実施されると、最高の東京都は1041円に。最低の秋田・高知県などは820円となる計算。政府は安倍前政権のときから「賃上げ→消費増→景気回復」の好循環を意図しており、最低賃金の引き上げを支持した。企業側は「中小企業の経営が成り立たなくなる」と抵抗したが、結局は押し切られた。

政府は企業側の抵抗を抑えるため「賃金を引き上げた中小企業には補助金を出す」と約束した。だが援助期間は3か月だけ。苦しくなった企業が雇用者を減らす危険性は、否定できない。じっさい韓国では、その失敗を経験したばかり。いま東京に緊急事態宣言が発令されていることを考えると、28円の引き上げはやや強引過ぎたような気もする。

もっと柔軟な設計は、出来なかったのだろうか。たとえば10月以降、「全国の都道府県で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除された場合、その3か月後に最低賃金を30円引き上げる」というように。これならコロナ不況脱却のメドもつき、中小企業の心配もかなり軽減されるだろう。これから実際の引き上げ額の検討に入る都道府県では、ぜひ参考にしていただきたい。

        ≪15日の日経平均 = 下げ -329.40円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

原発に触らない 経産省(下)

2021-07-15 08:02:35 | エネルギー
◇ また太陽光に頼るけれど = 温室効果ガスの排出量を30年度に13年度比で46%削減するには、原発30基の稼働が必要。さらに再生可能エネルギーも、19年度の1850億㌔㍗時から3120億㌔㍗時へと大幅に増やさなければならない。もし原発の稼働数が足りなければ、その分を再生エネルギーに追加することが必要になってくる。その場合、再生エネルギーによる発電量は現在の2倍以上になるわけだ。

再生エネルギーの主柱は、やはり太陽光発電。経産省は19年度に690億㌔㍗時だった太陽光発電を、30年度には1244億㌔㍗時まで拡大する方針。国や地方自治体の建築物の50%、企業のビルや駐車場に太陽光発電パネルを設置するという。だが、そんなことで太陽光発電を2倍近くも増やせるのか、はなはだ心許ない。

経産省の太陽光発電政策は、失敗の連続だった。電力会社による強制買い取り価格を高く設定した結果、電気料金が高騰。慌てて引き下げると普及が鈍化した。しかも関連企業の育成に失敗、発電パネルや蓄電池の研究開発は停滞。市場も海外企業に席巻されてしまった。

太陽光発電の急拡大を図るため、経産省は再び買い取り価格を引き上げるのか。ほかに何かいい知恵を考え出せるのか。その見込みが低いのは、政府が原発への姿勢を確立できない点にある。「原発で何とかなるかもしれない」という思いがあるうちは、再生エネルギーに集中できないだろう。ドイツは22年までに原発をゼロにする。アメリカも22年には、再生エネ発電が原発を上回る。経産省は勇気を出して、原発に触るべきだ。

        ≪14日の日経平均 = 下げ -109.75円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

原発に触らない 経産省(上)

2021-07-14 07:10:11 | エネルギー
◇ エネルギー計画が曖昧に = 経済産業省はいま新しいエネルギー基本計画を作成中。近く公表する予定だが、原子力発電の将来像がどうしても描けない。エネルギー供給に占める原発の役割が想定できなければ、再生可能エネルギーなどの役割も確定できない。その結果、新しいエネルギー基本計画の内容はきわめて曖昧になってしまう。エネルギー自給度が低い日本なのに、こんなことが許されていいのだろうか。

新しいエネルギー基本計画の草案では、原子力について「依存度を可能な限り低減する」「必要な規模を持続的に活用する」と書かれているらしい。以前からの政府の方針を踏襲したものだが、これでは何を言っているのか、よく解らない。原発を巡るいまの情勢からみて、これ以上の踏み込みはできないというわけだ。

政府は世界的な脱炭素の流れに乗って、50年には温室効果ガスの排出を実質ゼロにする。そこに至るまでの中間目標として、30年度のガス排出量を13年度比で46%削減すると公約した。この公約を果たすためには、19年度で発電量の76%を占めた火力発電を30年度までに43%に引き下げる必要がある。その穴を埋めるため、30年度の時点で原発は30基程度が稼働していなければならない。

ところが、いま稼働している原発は10基のみ。あとは原子力規制委員会の審査に通らなかったり、地元の同意をえられなかったりで、そう多くは動かせない。しかも老朽化する原発も続出する。したがって新設や建て替えがなければ、30年度30基の実現は不可能だ。しかし新設・建て替えの可能性は、全く予測できない。そこで経産省は、手を引っ込めてしまった。

                           (続きは明日)

        ≪13日の日経平均 = 上げ +149.22円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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