経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

「物価は沈静へ」の予測が 心配

2022-10-25 06:59:50 | 物価
◇ 来年4-6月期には1%台に下がる? = 総務省は先週21日、9月の消費者物価を発表した。それによると、生鮮食品を除いた指数は前年比3.0%の上昇だった。この上昇率は消費増税時を除くと、91年8月以来31年ぶりの高さ。522品目が上昇、91品目が下落している。また生鮮食品を含む指数も、前年比は3.0%の上昇だった。

品目別にみると、生鮮食品を除く食料品が前年比4.6%の上昇。これは41年ぶりの高さ。またエネルギーは16.9%の上昇だった。エネルギーのうち都市ガスは25.5%、電気代は21.5%、ガソリンは補助金の効果もあって7.0%の上昇。さらに洗濯機やエアコンなど家庭用耐久財も、前年比11.3%の上昇だった。食品や電気代など生活に欠かせないモノやサービスに限定した基礎的支出でみると、前年比4.5%の上昇となっている。

注目されることは、こうした物価高は間もなく沈静するという予測。たとえば日経センターが36人のエコノミストに聞いたところ、予測の平均値は10-12月期が2.84%。さらに来年1-3月期は2.47%、4-6月期は1%台になるという。欧米諸国はインフレを抑制するため、いま懸命に金融を引き締めている。日本は超金融緩和政策を続けているのに、物価が下がるというから奇妙だ。

物価が沈静に向かうという予測の根拠の1つは、資源高が収まるという見通し。しかしウクライナ戦争は長期化しそうだし、世界経済が回復に転じれば、資源や食料の奪い合いが始まるかもしれない。もっと大きなもう1つの予測の根拠は、日本がデフレ状態から抜け出せないという見通し。こちらの方が実現性は高そうだから、いまから心配になってしまう。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +84.32円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2022-10-24 07:31:34 | 株価
◇ 業績見通し悪化でも株価は上がる = ダウ平均は先週1448ドルの値上がり。終り値は1か月ぶりに3万1000ドル台を回復した。ここ3週間の連騰で、この間の上げ幅は2380ドルに達した。特に金曜日には、749ドルと大きく上げている。これはウオールストリート・ジャーナル紙が「FRBは12月の政策決定会合で、引き締めの緩和を検討する可能性」と報じたため。ファンドからの超短期取り引きが急増した。

日経平均は先週200円の値下がり。ニューヨークの活況に乗り切れなかった。終り値は2万7000円を割っている。このところ2万6000円台の半ばでは買い、2万7000円台の前半で売るというパターンが定着してきたようだ。円相場は政府の介入もあって大きく上下したが、株価にはそれほど響かなかった。市場の関心は、今週末に政府が発表する総合経済対策に移りそうだ。

企業の7-9月期決算発表が本格化している。アメリカでは金融機関がほぼ減益。IT関連もアップルを除いて、軒並み業績が悪化した。それでも先週は、株価が上げた。そうしたなかで来週2日には、FRBが0.75%の利上げを発表する見込み。市場はすでに織り込んでいるが、どうにも動きにくい。今週はニューヨークも東京も金利や為替相場を眺めながら、ひと休みとなるのではないか。

今週は26日に、9月の企業向けサービス価格。28日に、9月の労働力調査。アメリカでは24日に、8月のFHFA住宅価格指数、10月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。26日に、9月の新築住宅販売。27日に、7-9月期のGDP速報。28日に、9月の中古住宅販売が発表される。

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (135)

2022-10-22 07:39:25 | なし
◇ 多くの専門家が‟第8波”の襲来を警戒 = 世界の感染者は累計6億3049万人、この1週間で749万人増加した。この増加数は前週より429万人多く、ことし4月中旬以来の大きさ。死亡者は658万0690人で、前週より2万0690人増加した。1週間の増加数が2万人を超えたのは4月上旬以来のこと。感染者、死亡者ともに上向いている。最大の原因は、北半球が冬に入ったことだと考えられる。これから増え続けるかどうかが注目点だ。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計106万6584人。この1週間で2526人増加した。増加数は前週より、わずかに減少している。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが17万人台、インドネシア・フランス・ドイツが15万人台となっている。イギリス、イタリア、フランス、ドイツの増加数がやや拡大した。

日本の感染者は累計2193万1271人。この1週間で23万8433人増加した。この増加数は前週より4万2190人多い。死亡者は4万6204人で、週間411人の増加だった。この増加数は前週より13人少ない。これまで縮小傾向だった感染者の増加数が急増したのは、水際対策をはじめ各種の規制がほぼ解除されたこと。全国旅行支援の開始、それに寒さの到来が原因だと考えられる。

こうした傾向を見て、多くの専門家は早くも「第8波が襲来する可能性が高い」と警戒している。だが、ここで気になるのはアメリカやヨーロッパ諸国では、日本の第7波のような急激な感染増加がみられなかったこと。なぜ日本だけが8月に第6波を上回るピークに襲われたのか。今後の動向を予想するうえでも重要なデータになると思うが、その分析はまだ行われていないようだ。

        ≪21日の日経平均 = 下げ -116.38円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     

インフレは 衰えない! (下)

2022-10-21 07:16:10 | 景気
◇ 日本のインフレは特異な構造 = 日銀が発表した9月の企業物価は、前年比9.7%の上昇だった。企業物価というのは、企業間で取引されるモノの値段。19か月連続の上昇で、ここからみる限りは立派なインフレだ。電力・都市ガス・水道、鉱産物、鉄鋼などの値上がりが目立つ。ウクライナ戦争やコロナの影響でエネルギーや資源の国際価格が高騰、それに円安の効果が加わった。

ところが総務省が発表した8月の消費者物価は、前年比3.0%の上昇にとどまっている。卸売り段階はインフレなのに、小売り段階はまだインフレとは言えない。ここで企業物価の上昇は、ほとんどが輸入コストの高騰に起因している。しかし消費者の段階では需要が弱く、インフレになりにくい。値上げをすると、売れなくなる恐れが大きいからだ。このため卸売り段階と小売り段階で、物価の上昇率に差がついてしまう。欧米諸国にはみられない、日本独特の現象である。

もう1つ、企業物価にはサービス価格が含まれないが、消費者物価には含まれている。日本のサービス価格は、たとえば飲食業や宿泊業など、コロナ禍の影響で上がらなかった。これも卸売り段階と小売り段階の差となって表われる。それでも小売り業者は、値上げをしないと儲けが出ない。そこで少しづつ値上げしているのが、いまの値上げラッシュというわけだ。

輸入物価の上昇は、その56%が円安の影響による。その円安は、日銀がゼロ金利にしがみついているために起きる。中央銀行の最大の使命は、通貨価値を維持するために物価の安定を図ることにある。その日銀がインフレを助長しているわけだから、なんとも奇妙だ。これも日本独特のインフレ要因と言えるだろう。

一方、岸田政権の対策は補助金の支給に終始している。ガソリン・灯油・小麦から始まって、来年からは電力・ガスに至るまで。要するに、ほとんどが傷口に膏薬を貼るだけだ。日本経済の体力を強くする政策がないから、経済が成長しない。このため賃金が伸びず、需要が拡大しない。需要インフレは起きにくくなっている。しかし輸入インフレは続くから、値上げラッシュは続く。

        ≪20日の日経平均 = 下げ -250.42円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

インフレは 衰えない! (上)

2022-10-20 07:36:29 | 景気
◇ 絡み合う複雑な原因 = アメリカ労働省が発表した9月の消費者物価は、前年比8.2%の上昇だった。8月の8.3%上昇からわずかに鈍化したものの、いぜんとして高い伸び。特に食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比6.6%と、実に40年ぶりの上昇率となった。このため来月1-2日に開くFRBの政策決定会合では、0.75%の利上げを決めることが確実となっている。

費目別にみると、食品・住居費・医療費の値上がりが大きかった。このうち家賃は消費者物価の3割以上を占めるが、9月は7.2%も上昇した。人手不足と材料費の高騰で新築住宅の価格が上がり、これが家賃の上昇につながったとみられている。専門家によると、住居費と医療費はいったん上昇すると下がりにくい。そういう意味では「タチの悪いインフレ」だという。

経済学の教科書によると、インフレの原因は①需要が供給を上回る②コストが上昇する③構造的あるいは心理的な圧力が増大する--など。アメリカの場合は、コロナの鎮静化で経済の正常化ガ進み需要が増大した。その一方でウクライナ戦争やコロナの後遺症で、供給が不足。さらに原材料やエネルギー価格の高騰が、コストを引き上げている。

そのうえ人手不足により賃金が急上昇し、企業の人件費コストを押し上げている。たとえば労働者の平均時給は、このところ前年比5%を超える上昇がずっと続いている。専門家によると、人手不足の最大の原因は、コロナ禍に対処するため政府が支給した各種の補助金。人々の懐がうるおい、慌てて職を探さなくなった人が多いためだというから驚きだ。

このようにインフレの原因は、複雑多岐にわたっている。しかもウクライナ戦争が長期化、金利も上昇を続ける見通し。これが心理的にも、インフレを助長する。多くの人々が「物価は下がらない」と感じること自体が、インフレ要因の一つとなっている。FRBによる金融引き締めだけでインフレを退治できるのか、こんな疑問さえ持ち上がってきた。だからインフレの勢いは、なかなか衰えない。

                         (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 上げ +101.24円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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