先日、京都山科の栗原邸の一般公開があったので訪れてきた。
栗原邸は京都高等工芸学校(現、京都工芸繊維大学)校長を務めた染色家の鶴巻鶴一の邸宅として
昭和4年に同校教授であった本野精吾設計により建築された。
中村式コンクリートブロックという当時最先端の特殊なL字型ブロックで建てられたもの。
中村式コンクリートブロックといえば、以前に見学した天満教会を思い出す→☆
コンクリート打ち放しの耐震、耐熱に優れた頑強な建物というイメージだけでなく、
円形に張り出した玄関ポーチや内部空間も家具調度品と合わせて、装飾性も豊かで
見どころの多い建物だった。
特にこの玄関ポーチが魅力的
丸く張り出したポーチはコンクリートの2本の円柱に支えられ、幾何学的なデザインの照明もモダンだなあ。
ポーチの上はサンルームになっていてガラス窓が張り巡らされてる。
建物の外観をぐるりと周って
中村式コンクリートブロックが積み重なる外観
敷地内に植えられた紅葉の新緑も鮮やかで涼し気
客間
花を模したシャンデリアがおしゃれ。
家具調度品も当初からのもののようでしっくり収まっている。
客間と食堂はこの襖を隔ててつながっていて、
この襖には施主であり、染色の専門家でもあった鶴巻氏のろうけつ染めによる作品が描かれている。
東洋的な獅子が描かれたデザインだけど、洋風の客間にとてもマッチしていた。
暖炉は大理石に囲まれ、鋳物の覆いがついたシンプルなデザイン。
そして隣の食堂には大きなラウンド型のテーブル
可動式になっていて、なんと4段階に大きさが調節可能だそう。
最小だと丸テーブルになるのだとか。
テーブルと椅子も本野精吾設計のもので
奥行き深めの座面は布張りになっていて座り心地もよさそうだった。
こちらの照明はステンドグラス
そして客間と隔てた襖のこちら側には桜?の木のろうけつ染めが
そして食堂の奥にはアトリエが。
鶴巻氏の染色の仕事場として使われていたそう。
トイレ前廊下と中に敷かれた大判のタイル。
そしてキッチンへ。
テーブルや造り付けの棚など本野精吾のデザインによるものだが、第二次世界大戦後に進駐軍によって
接収されていた際に白く塗られたのだそう。
階段手摺はセセッションに影響を受けたというデザインが美しかった。
その二へつづく。