レストラン菊水でモーニングを食べた後は息子とわかれて、旧三井家下鴨別邸の特別公開へやって来た。
旧三井家下鴨別邸は、三井家の先祖を祀る顕名霊社へ参拝の際の休憩所とするため大正14年に建てられたもので、
木屋町三条にあった明治13年に建てられた三井家の木屋町別邸が主屋として移築されたのだそう。
昭和26年以降は京都家庭裁判所の所長官舎として、平成19年まで使用されてきたという。
平成23年に重要文化財に指定され、4年間の修復工事の後、一般公開が始まった。
この日は年に一度の特別公開で、通常非公開のこの三階にある望楼へ上がることができた。
望楼の中は撮影禁止。
360度全面ガラス貼りの見晴らしのよい望楼は、戸袋は見晴らしを考慮して下にしまえるようになっているなど
工夫がされている。窓ガラスはやはり風当たりが強いので、当時のものは残っていないということだった。
大正14年に移築された際に、主屋の玄関部分として増築されたという玄関棟には天井の高い広間があり、
格天井にシャンデリアがつき、当初から床には絨毯が敷かれて椅子式の洋室として使用されていたそう。
大正時代のゆがみのあるガラス窓が残る。
こちらの部屋で三井家や建物についての解説を聞いた.
庭園に面した主屋の1階座敷。
庭には苔地が広がり、ひょうたん池や石橋、灯籠などが置かれていて、周囲を歩くこともできる。
檳榔樹の床柱のある床の間。
階段親柱の細工。
洗面所
洗面所が結構あちこちにあって、どれもいい感じ。
オリジナルの可愛い花型の照明。
風呂の天井も凝っている。
洗面所のコーナーにつけられてた物入れ。
アールの扉がおしゃれ。
洗面所とトイレの仕切りにはこんな型板ガラスの入れられた扉があったり、
ちょっとした小物を置く棚などの造りがしゃれていた。
2階にはこんな様式のトイレが。
2階では伊藤若冲の「樹花鳥獣図屏風」の高精細複製品の特別展示もあって、その絵の手法が独特で面白かった。
「樹花鳥獣図屏風」は枡目描き、モザイク画法と呼ばれる手法で描かれたものだそうで、
よく見ると、絵がドットで描かれてる。
織物か何かの下絵なのか?!と思ったけど、このドット絵が完成品なのだそうで、
若冲の作品の中で、この枡目描きの手法で描かれたものはこの絵ともう一点のみなのだとか。
枡目のひとつひとつに色の濃淡も表わされていて、描くには相当時間かかりそう・・
これをモザイクタイルで再現したら面白いだろうなあとか思ってしまった。
右隻には白象が主役の「獣尽くし」
実在する動物から架空の動物まで様々な生き物が描かれていて、とても興味深い。
左隻は鳳凰が主役の「鳥尽くし」
とても華やか。
最新のデジタル技術により高精度なインクジェットプリンターで出力した後、
金箔や表装など京都伝統工芸の技を加えることでオリジナルに限りなく近い複製品を作り出しているそう。
本物は静岡県立美術館にあるとか。
ちなみにこの屏風は三井家とは何の関係もないそうだけど、芸術品をより広く、身近に感じる機会を提供することを目的とした
文化財未来継承プロジェクトだそう。