蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

プラセボ  (bon)

2017-06-09 | 日々雑感、散策、旅行

          一昨日、関東も梅雨入りの宣言がありました。しばらくは、鬱陶しい日が
      続くのでしょうか。  14歳の藤井少年はプロ入り23連勝を走り、歴代
      単独3位の地位まで昇っています。巨人は、ナント球団ワーストの13連敗を
      記しファンは嘆いています。

 

 フランス語でプラセボ、英語ではプラシーボというのですが、日本語では偽薬(ぎやく)
のことです。つまり、ニセの薬のことですが、ウイキペディアには次のようにあります。

偽薬(ぎやく)とは、本物の薬のように見える外見をしているが、薬として効く成分は
入っていない、偽物の薬の事である。成分としては、少量ではヒトに対してほとんど薬理
的影響のないブドウ糖や乳糖が使われることが多い。』 『偽薬は、偽薬効果(プラセボ
効果)を期待して処方されることもあるが、本物の薬の治療効果を実験的に明らかにする
ため、比較対照試験(その代表として二重盲検法がある:文末参考)で利用されることが
多い。 不眠などの不定愁訴を訴える患者に対し、睡眠薬を継続して処方することが危険と
判断される場合、ビタミン剤を睡眠薬と偽って処方することがあるが、WHOはこのような事
を行わないよう勧告している。』

          偽薬
           (ウイキペディアより)


 言い換えれば、偽薬(プラセボ)は、本物の薬の治療効果を明らかにするためのオトリ
的な役割で使用されることが多いとありますが、治療のために偽って使用するのは、賛否
両論があって必ずしも推奨されていないようです。

 しかし、『偽薬を処方しても、薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられる偽薬
効果(プラセボ効果)があることも事実です。この改善は自覚症状だけでなく、客観的に
測定可能な状態の改善として現われることもある。』とか。

 『特に痛みや下痢、不眠などの症状に対しては、偽薬にもかなりの効果があるとも言われ
ており、治療法のない患者や、副作用などの問題のある患者に対して安息をもたらすために、
本人や家族の同意を前提として、時に処方されることがある。 医師法にも、暗示的効果を
期待し、処方箋を発行することがその暗示的効果の妨げになる場合に、処方箋を交付する
義務がない事が規定されている。』 とかなり現実的な考え方が示されています。

 
手元にある会報に『“痛み”の科学』(柴田俊彦氏、阪大大学院疼痛医学講座教授)と題す
る記事があり、ここでもプラセボに関する記述があります。 プラセボ効果が
想像以上に
大きいことが示されています。 腰痛に効く鎮痛薬の臨床治験で、10段階
で痛みを表現した
時の痛みが実薬で2.43だったのに対して、プラセボで1.96であ
った。数百人のデータの平均
だといいますから、そういうことなんでしょう。

 さらに、『科学的な立場から見ると世の中の健康食品の大半はプラセボ効果によると考え
るのが妥当であろう。プラセボを生体に備わった内的な制御機構の表れだ
と考えると、痛み
に対する心理的アプローチや運動療法などはプラセボ鎮痛を上手
に働かせる方法という見方
も出来る。』 と述べられています。

              

 もともと、このブログ記事をまとめてみようと思ったのは、会報記事『“痛み”の科学』
に触発されてのことでした。それで、ブログの方のタイトルを“プラセボ”
としたのですが、
本来は、“痛み”ということについて立ち止まって見たかったか
らです。
 で、会報以外にネット検索などして“痛み”を少し理解したような気がし
ています。
 “痛みが分かる~高齢者!”・・・なんちゃって!

“痛み”は、国際疼痛学会では、「痛みは、実質的または潜在的な組織損傷に結びつく。
あるいはこのような損傷を表す言葉を使って述べられる不快な感覚・情動
体験である」と
定義されているそうですが、その注釈に「痛みはいつも主観的であ
る。人は幼少期に外傷
などの経験を通して『いたみ』という言葉の使い方を学ぶ。」 
とあり、どうも主観的な
要素が強く、痛みを科学的に扱うのはどうも厄介のようで
もありそうです。

 余談になりますが、先の横綱稀勢の里の左肩のけがはどう見てもいたそうですが、本人は
痛がる顔もしてないですね、反対に、子供は、注射器を見た途端に既に痛みを
感じ泣きだし
て防御しようとする。 慢性の痛みでも、程度が軽ければ、楽しい時な
どは痛みを忘れて、
その時が過ぎるとまた痛み出す・・そんな経験もありますね。

 痛みは、大きく分けて、急性疼痛と慢性疼痛の二種類に分類され、慢性疼痛は「治療に
必要とされる期間を超えているにも関わらず持続する痛み」といわれ、その原因として多い
疾患としては、腰痛症、変形性関節症、関節リウマチ、骨粗しょう症などがあるとされて
います。

 厚生省HPから2つのグラフを引用しました。

 

  

  上のグラフ、有訴者率をみると、その第1位は男女とも腰痛、肩こりで、この第1位は
長年不動の位置を占めているそうで、いかに多くの人が腰痛に悩んでいるかということなん
です。
 しかし、柴田氏論文によれば、『この腰痛の約85%は非特異的腰痛とよばれ,その原因
を特定することはできない。治療法は,手術,神経ブロック,薬物治療,運動療法,物理
療法,装具,心理療法,補完代替医療等,非常に多岐にわたり,系統だった診療の実施は
困難である。
 2012年日本整形外科学会と日本腰痛学会が腰痛診療ガイドラインを策定し,ようやく
腰痛治療の標準化にむけて取り組みが始まっている。』という状況で、現在でも十分とは
言えないようです。

 慢性疼痛はいろいろな障害を引き起こしています。痛みにより会社勤務ができなかったり、
勤務していても実力が発揮できなかったり、家庭では育児が出来ない、家事に支障をきたす、
睡眠がとれない、極端な場合、寝たきりなど、家族や社会一般にとっても負担増をきたします。
 特に原因不明の慢性疼痛は、患者にケアやサポートを提供する医療従事者にとっても、
大きなストレスにもなり、不十分な治療は患者、家族および社会にとって生理的、心理的、
経済的、社会的な悪影響をもたらすといわれています。

『うつ病などの精神科疾患によるコストが膨大であることはよく知られているが、アメリカで
の研究によると慢性痛による社会的コストは、精神科疾患を上回り年間63兆円に上るという。
日本人が我慢強いことを差し引いても、慢性痛によって年間数兆円単位のコストがかかってい
ると推定される。』と述べられており、まだまだ手薄となっているこの分野の研究を推進する
ことは、国益にも資する行為としてさらに力を期待したいところです。

            

 厚生労働省HPの関連部分に、「慢性の痛みに関する検討会」(平成22年9月)で、『今後の
慢性の痛み対策について(提言)』があり、そのまとめとして以下のように記述されていました。

○ 慢性の痛みは、原因疾患のみならず、生活環境、行動様式、個人の性格等を反映して多彩
な表現をとるために、個々の症例に応じてきめ細やかな対応が求められる。痛みを完全に取り
除くことは困難であっても、痛みの適切な管理と理解を行うことによって、痛みを軽減し生活
の質を向上させることは可能である。

○ 多くの国民が慢性の痛みに悩んでいる現状を打開するためには、痛みの緩和、痛みと関連
して損なわれる生活の質や精神的負担の改善を目標に、医療や社会、医療を取り巻く人々や
国民自身が、それぞれの立場で計画的かつ協力的に痛み対策に取り組むことが重要である。

○ 本検討会の議論を踏まえて、早急に慢性の痛みに関する医療体制整備や医療資源の適正配
分、また、痛みによる社会的損失の軽減に寄与するような取組が開始されるよう、厚生労働省、
文部科学省、全国医学部長・病院長会議などに提案したい。

 

 ネットを見ていましたら、「プラセボ製薬株式会社」という会社が目に止まりました。
内容的には、製菓であり、全くクスリとは関係がないのです。会社概要にもそのように書か
れていて事業内容は 「食品として用いる偽薬の小売、卸売」となっていました。平成26年
3月に設立され、会社住所は和歌山県和歌山市とありました。

 

(ご参考) 
 『二重盲検法(にじゅうもうけんほう、Double blind test)とは、特に医学の試験・研究
で、実施している薬や治療法などの性質を、医師(観察者)からも患者からも不明にして行う
方法である。プラセボ効果や観察者バイアスの影響を防ぐ意味がある。 この考え方は一般的
な科学的方法としても重要であり、人間を対象とする心理学、社会科学や法医学などにも応用
されている。』
(ウイキペディアより)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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