驚きました! 森友学園の問題がとうとう爆発しました。 決裁文書の大量の書き換えが
あるなど、ありえないことです。 これが国の最高機関で行われていたとは・・。
由々しき事態を招き、野党は色めきだち、今後の与野党の攻防が続き、国の中枢が大火事
状態です。しかし、森友問題そのものは、多くの国民にとって、全く関係の無い事案なんで
すね。こんなことに多くの時間と費用、そして威信をつぶしてしまうなんて・・。
森友問題が、大変な事態を引き起こしてしまいました。
政府は「働き方改革」という施策を基軸として、労働時間の短縮を図ることを狙いとした
方策を打ち出しています。 電通の新入社員を自殺に追い込んだとされる極度の残業の問題
はじめ、長時間労働による過労死を無くす視点からは、一般市民受けする事案なんですね。
予算委員会では、裁量労働における労働時間算出方法に祖語があり、誤判断の可能性への
追求から、政府方針としていた裁量労働への移行促進は断念し、一般労働における働き方に
ついてのみ原案通過方針に切り替えたのでした。
賃金、労働時間等労働問題は古くから議論され、労使間の継続事案として今に至っていま
すが、とくに、産業が活発化し高度成長期を迎える頃には、これらの問題が、春闘、ストラ
イキなどで社会問題化していました。 労働時間についても労使間の、いわゆる「36協定」
が結ばれ、私が勤めていた会社でも、とくに激しく論議されていました。
主題から逸れてしまいましたが、ここで取り上げました「労働生産性」については、新聞
(読売新聞2.27朝刊)にも解説されていますように、「働き方改革」が、大きな話題を呼ん
でいます。
つまり、「働き方改革」を進めて、労働生産性の向上を図ろうという主旨ですが、いうな
れば労働時間を短縮して、労働生産性を高めるとの単純な計算ともとれるのです。
労働生産性の主要な計算式として、以下の定義があります。(日本生産性本部等より)
新聞の例では、1万円の原材料を加工して5万円で販売した場合の付加価値は、4万円とな
り、仮に、1億円の付加価値を上げるのに、10人が年間2000時間/人 働いたとすれば、労働
時間は、延べ2万時間となりますから、1時間当たりの生産性は 5000円と計算されます。
一方、日本生産性本部の資料から、「日本の時間あたりの労働生産性」の推移の 下図
グラフを引用しました。
日本の時間当たりの労働生産性
(日本生産性本部資料より)
上のグラフから、2016年の時間当たりの労働生産性は約4700円で4年連続増加し、過
去最大を更新しています。20年前の1996年が約4200円ですからざっと1割アップとなっ
ています。 このことは、週休2日制を採用する企業が増え、さらにパートタイムなど非
正規労働者や短時間労働者が増加したことが主な理由だという。 確かに上の計算式から、
生産量が変わらなくても、分母の労働時間が短くなれば生産性は向上するのですね。
各業種によっても生産性は大きく異なっています。 例えば、製造業では約5700円です
が、サービス産業は約4600円ですし、同じサービス産業でも宿泊・飲食業では約2600円
と低い値になっています。逆に、不動産業では約3万4000円と最も高く計算されますが、
投入する人員数に比して1件当たりの取引額、利益が大きいことによるようです。 また、
おもてなしや宅配サービス等、利用者にとって高付加価値であっても、生産性は低くなり
がちであることも頷けるところです。
国レベルで見ますと、生産量は すなわちGDPで表され、次表に 過去30年の国別労働
生産性推移(上位10か国)が示されており、日本はこの30年というものずっと、20位前後
を辿っているのです。
時間当たり労働生産性 上位10か国の変遷 (生産性本部資料より)
ただし、これら生産性は、単純に国の経済の実力を適切に示しているとは限らないと
いうのです。 例えば、2016年にトップとなったアイルランドは、法人税率を極めて低く
したため、多国籍企業が本社を移転してくるケースが増加し、GDPに計上されたとあり、
ルクセンブルグも節税を目当てにした同様の構図だそうです。
また、原油などの豊富な資源により生産性が高く計算されたり、失業率が高まると労働
の投入量が減少するため、生産性が見かけ上 上昇するなどの要素もあり、 一概に労働
生産性からどうの・・ということは出来ないようです。
「働き方改革」で、労働時間が短縮され見かけ上、労働生産性を向上するだけでなく、
高い国際競争力のある新産業を創出する必要があると述べられていました。
製造業に限った生産性をみれば、20年前は日本は世界のトップであったものが、2005年
では、7位、2010年で10位、2015年では14位と低迷し、その優位性は失いつつあるようです。
“モノ作り日本”も 今や昔の話しとなりつつあるようですね。
内閣府の分析によれば、次のような理由が考えられるとありました。・生産工程を労働
コストが低い新興国など海外移管する ・製品の差別化が進みにくく、過当競争になり
収益悪化を招く ・企業の新陳代謝が進みにくい(政策金融の公的介入) ・流通システ
ムの多段階性等による高コスト構造
また、厚労省(「平成25年版 労働経済の分析」)によれば、製品のモジュール化の
影響も見逃せないとしています。とくに、液晶パネル、太陽光発電セル、カーナビ、DVD
プレーヤーなどモジュール化の進展により製品の市場シェアを喪失している などの指摘
がありました。
日本の製造業は、数多くの部品を相互調整しながら緊密な連携により摺り合わせていく
「すりあわせ」に強みがあったのが、このモジュール化の進展はその価値を低下させてし
まったとの指摘です。 製品のアーキテクチャーの中でもっと重要な技術や付加価値領域
の研究開発に特化すべきだとしています。