今年の桜はずいぶん早く咲いて、列島の大部分が桜に覆われてきました。東京では先週
(土曜日)満開となり、上野公園は大変な賑わいとなっていました。
本題は、桜の話しではなく、数値的というか、割合に関して、普段何気なく使用している
言葉についてちょっと触れてみました。
どうでも良いことですが、桜などの花の咲いている度合いを「三分咲き」「五分咲き」など
と言いますし、この他、「腹八分目」や「五分狩り」などというのもあります。
これらについて、ちょっとおさらいをしてみました。
数量的な割合を表す語として、割、分、厘、毛があります。 しかし、このうち「分」に
ついては、全体 1に対して、どの程度の状態にあるかを表す言葉として定着しているのです。
つまり、「状態表現」として使われているとありました。
したがって、桜の場合、五分咲きは、桜の木の開花状態が 全部咲いたときに比して半分
くらい咲いている状態をいうのですね。 3割程度なら三分咲き・・当り前ですね。
ところで、桜についてこのように呼ばれるようになったのは、明治時代に入って、ソメイ
ヨシノが普及したことと関係が深いようだとありました。 どういうことかといえば、江戸
時代までは、オオシマザクラや、ヤマザクラなどいろんな種が咲いて、桜の期間としては
割合長い間続いていて、お花見ものんびりと行われていたのだと・・。
それが、明治に入って、ソメイヨシノが列島に広く普及し、桜といえばソメイヨシノといわ
れるくらいに普及し、この開花期間は10日間くらいと短く、見逃してはならないと 忙しく
花見をしないと終わってしまう。 その開花時期が、一般に重要になって、テレビなどでも
“どこそこ地方では、三分咲き”などと、細かく知らせるようになったとか・・。
こちらは満開の陽光ザクラ
(ベランダにて 3/24)
桜ばかりで長くなりましたが、「腹八分目」は、満腹を1として、八分目ですから、もう
かなり満腹に近い状態をいっているのですね。“もう、お腹いっぱい!”は満腹でもあり
ますが、八分目位でもいいますね。
「五分狩り」はどうでしょう。 床屋さんで、頭を丸刈りする時、五分、つまり1寸の半分
くらいで、約1.5㎝くらいの長さの丸刈りをいうのでしょう。 刈りたての密集した毛並みは
すがすがしい感じですね。
五分刈り
(ネット画像より)
「七分袖」というのもあります。長袖ではなく、半袖でもないその中間くらいの長さの袖
を表しています。 なので、六分袖や八分袖はあまり使わないのですね。
七分袖
(ネット画像より)
「九分九厘」は、どうですか。 もう殆ど、ほとんど全て という意味で使われますが、
割、分、厘・・でいえば、0.1、0.01、0.001で考えた場合、九分九厘=0.099ですから、とて
も“ほぼ全て”とは言えないわけですけれども、全体を1として、その状態を示すという観点
からは、九分九厘は、限りなく1に近いという事から“ほとんど全て”を意味しているのです。
逆に考えれば、分を1/10として扱われているとも言えるかもしれません。つまり、九分九厘
は 9/10+9/100=0.99≒1
「五分五分」というのもあります。九分九厘と同じ考え方で、0.5対0.5
「十分」というのも、10×1/10で、条件を満たして不足の無いさまを表しているのでしょう。
最近では、クリームの泡立て具合を示す「六分立て」(ムース用)「八分立て」(絞り出し
用)という言葉が料理の分野であるそうです。固さの状態を示しているのですね。