蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

植物の生き方に学ぶ  (bon)

2019-01-08 | 日々雑感、散策、旅行

 お正月も進んで、昨日は早や「七草」でした。 もとは、旧暦1月7日の「人日」の節句に
七草がゆを食べる習慣がありました。
『君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に雪は降りつつ』(光孝天皇) 
春まだ早い時期に、雪の中から出てきた新芽を摘んで、いとしい人に捧げたのですね。

         七草がゆ
       (ウイキペディアより) 

植物のお話です。
 元日に届いた会報の中に、「植物たちの生き方に学ぶ」(田中修氏、甲南大学名誉教授)と
題する寄稿記事が目に留まりました。 田中修氏といえば、NHKのラジオ番組『夏(冬)休み
子ども科学電話相談室』でお馴染みの 関西弁でやさしく、楽しい解説をしているあの方です。
「植物生態学」がご専門のようです。

 
 植物は、動物と違って動き回ることができないし、動物に食べられたり、なんだか弱々しい
存在に思いがちですが、動けないのではなく,“動く必要がない”のですね。
  動物は、食べ物をとるために動き回らなければならないけれども、植物は、そこにじっとい
るだけで、光合成によって栄養を摂ることができるのです。生殖活動も植物は、風や虫たちに
種を運んでもらって子孫を増やしています。そして、身を守るのも、暑さ寒さをしのぎ、紫外
線からも身を守る仕組みを内在しているので、動物のように動かなくてもよいのですね。
 さらに、植物は少しくらい動物に食べられても、再生する仕組みもあるのです。

 植物は、人間をはじめ、すべての動物の食糧になっています。肉食動物が食べる動物も植物
を食べて成長しているのですから、すべての動物は植物によって養われているのです。

   生態系
    
                          (ネット画像より)
 

 食料としてだけでなく、太古の化石や植物油は燃料として、材木は住居や建築材料として、
森林は水を蓄えるほか 二酸化炭素を吸収する、花は喜びにも悲しみにも心を癒し、飾りや
絵画などの対象にもなり生活の中に密着しているのですね。

 このような植物も、1億年ほど前に、裸子植物から被子植物への進化によって、爆発的に
広がり、植物の王国が形成されてきたのです。
(当ブログ、「動物、植物のちがい」2013.3.20 、「生物の歴史」2016.2.17 ご参照)

 

 お待たせしました。
 田中先生の記事にあります「植物たちの生き方に学ぶ」は、我々の生き方や、考え方のヒント
がそこにたくさん秘められている・・そんな視点から述べられています。 植物の賢い生き方
の要点を以下にまとめてみました。

 トマトです。 トマトは、水氣耕栽培と呼ばれる、水と空気と肥料で育てると、一株で1万
数千個の実を付けることが出来る。土を使わず、根を十分に発育させることで、秘めていた驚く
べき能力を発揮するのです。環境が変われば大化けする。
 また、ホテイアオイは、金魚鉢などに浮かべられる水草ですが、工場などの養分を含んだ排水
が流れ込む場所で野生化すれば、爆発的に繁殖し2mもの背丈になる。 適した環境で、秘め
られた能力が発揮される。
 「能力を発揮できずにいる人も、自分にあった場が与えられれば、活躍できるはず」

      ホテイアオイ
       (ウイキペディアより)
 

 ヒガンバナは、他の草が姿を消す冬に葉を茂らせて、日射しは弱くても競争相手がいないので、
生育する場所を独占して、たくさんの光を浴びて多くの球根を作る。他の植物と無駄な横並びの
競争をしないのです。

 イネや芝生は水が十分に与えられるとあまり根を生やさないが、逆に不足すると水を求めて
根を生やして強く成長する。人間も甘やかされるとダメになり、逆境をチャンスに変える生き方
を学ぶべき。

 イヌビエという植物は、イネとともに水田で育つのですが、イネとよく似た姿で除草の標的と
なることを避け、田植え後に発芽し、稲刈り前にタネを蒔き散らすという巧妙さを備えている。
「空気を読み、自分の生きる場所をわきまえた処世術がある」

 ソメイヨシノは、夏に作られたツボミは、秋に越冬芽に包まれ 冬の寒さを感じて目覚め、春
に開花する。ひと花咲かせるためには、厳しい寒さ、苦難の時期を体感することの大切さを心得
ている。

 記事の終わりに、『 私たちが日々の暮らしの中で、自信を無くし、くじけそうになる時、
このような植物たちの生き方を思うと、気が楽になったり、慰められたり、癒されたりする時が
ある・・』と締めくくられています。

 田中先生の話しはネットにも植物の能力や知恵の仕組みについて述べられていましたが、その
最後には次の文章でまとめられていました。

『 植物は、繁殖する能力はあるけれど、自分の与えられた所で、秩序を乱す事なく、分相応の
生き方をしている。ほかのものをやっつけたりする事は、ほとんどないんです。』


 

 

Doris Day - Dream A Little Dream of Me

 

 

 

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