蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

御の字  (bon)

2019-11-02 | 日々雑感、散策、旅行

 御の字 を「大いに有りがたい」との意味よりも「一応納得できる」の意味と捉えている
人がかなり多いようです。

 このほど(10/29)、文化庁から「国語に関する世論調査」の結果が報道発表されました。
 新聞にも報道されたところですが、ここでもちょっと取り上げてみました。

           ベランダのツワブキ(記事とは無関係です。)
             ( 2019.11.2)


 平成7年度から毎年実施されているもので、今回は30年度の調査結果(2019.2~3)が発表
されました。

 調査は、全国16歳以上の男女1960人(有効回答数)に行われ、調査項目として、〇国語や
言葉への関心、〇用語や文体構成、〇読書について、〇六つの表現の認知と使用,慣用句等
の意味・言い方のうち、最後の “慣用句等の意味・言い方”について取り上げてみました。

 慣用句等の意味・言い方については、昨年も、当ブログに「若者ことば」(2018.10.1)に
記事アップしていました。

    新しい6つの言葉についての区分 (文化庁平成30年度調査より)
     

 

 今回選ばれた言葉は、上表にあるように「古き良き時代」や「行きつ戻りつ」・・など、
少し時代が古い感じがし、「聞いたことはあるが使うことはない」が「使うことがある」より
総じて多く、「行きつ戻りつ」「えも言われぬ」や「言わずもがな」などは、あまり使われな
いとの回答が多く、聞いたことが無い も、20~25%という結果から、これらの言葉は使われ
なくなる方向にあるのかもしれないですね。
 唯一「知る人ぞ知る」が拮抗していて、わずかながら使うことがあるが上回っています。
 これらの言葉は、古文風の言い回し(古めかしい感じ)のようで、次第に使われなくなって
行くのかもしれないと思われます。

 また、「憮然」「御の字」「砂をかむよう」について、どちらの意味だと思うか、の質問で
下表のような結果となっています。

  どちらの意味だと思うか (文化庁平成30年度調査より)
     

 

  これらは3つ共、辞書等で主に本来の意味とされている“意味”とは違った意味として捉え
ている割合が多いことに改めて驚いた次第です。

 「憮然」は、「失望して本にゃ利している様子」という本来の意味よりも「腹を立てている
様子」が多く、過去の調査では圧倒的に多かったのです。 「御の字」では、「大いに有りが
たい」の本来の意味よりも、「一応納得できる」が上回り、この傾向は10年前とほぼ同じと
あります。 「砂をかむよう」も本来の「無味乾燥で詰まらない様子」よりも「悔しくてたま
らない様子」がはるかに上回っている結果だというのですね。

  さらに、年齢的にみても、70歳以上の高齢者においても同じような傾向にあり、本来の意味
と違った意味に解釈している割合が多いのには、ちょっと驚きでした。

 16~19才の若者では、「御の字」「砂をかむよう」については、6割以上の人が本来とは違っ
た意味と捉えているようです。

             コットンボール
              (2019.11.2)

 時代の流れによって、これらの「ことば」の意味が違ってくる・・どころか新しい解釈が
生まれ、それが環境や新文化の流れと共に定着するのでしょうね。さらには、スマホ、PCなど
の普及で熟語や慣用句等の単独表示変換が行われ、活字によるいわゆる文脈により意味を読み
取る機会が少なくなっていることにも起因しているのかもしれません。

 これらの言葉や、先の六つの言葉について「使うことがあるか」などの質問がありますが、
昨年のそれは、「ほぼほぼ」「後ろ倒し」「目線」「タメ」「ガチ」「立ち位置」でしたから
今年の言葉とは、その次元がかなり違っているように思います。
 これらの言葉は、文化庁が選んでいるのでしょうが、どのようにして選ばれたのかが知りた
いところです。

 

Katherine Jenkins - Nella Fantasia

 

 

 

コメント
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