蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

光触媒(その2)  (bon)

2020-02-17 | 日々雑感、散策、旅行

 光触媒については、先に、藤嶋昭氏(東京理科大学教授、前学長)の講演(2018.6)
の講演録から、当ブログ2019.11.26の記事に取り上げていますが、当時の内容は、酸化
チタンを触媒とした人工光合成により、水から燃料となる水素が生成されるという画期
的な発見(1967年)があり、太陽からクリーンエネルギー生成と期待されながら、酸化
チタンの光触媒効果を示す光の波長が紫外領域のため太陽光の一部しか利用できない
ので変換効率が悪く、エネルギー生成には無理であることが分かりました。
  しかし、光触媒の「強力な酸化分解力」と「超親水性」という性質から、抗菌・抗
ウイルス、防汚、防曇、脱臭、大気浄化、水浄化などの環境問題解決への適用が推進
され、今日広い分野で活躍している・・そんな内容でした。

     植物の光合成
       (ネット画像より)

 

 光触媒(その2)では、酸化チタンの光反応を、紫外領域から可視光応答型に成功し、
エネルギー変換効率を上げ 所期の目的の「クリーンエネルギー」生成への大きな一歩
を踏み出したとの報告なんです。

 森川健志氏(㈱豊田中央研究所シニアフェロー、森川特別研究室長)が、先の藤嶋
昭氏の講演(1998年、名古屋)の聴講からヒントを得て、紫外線応答型ではなく可視
光応答型の光触媒の研究開発に取り組み、窒素アニオン(負に荷電したイオン)ドー
ピングした酸化チタンの光触媒方法により、研究レベルでは、植物の光合成を上回る
エネルギー変換効率が得られ、今後さらに酸化チタンの可視光反応量を拡大すること
によって実用領域に向けて大いに期待されるというのです。

      可視光応答型光触媒
        (ネット画像より)

 植物の光合成は、0.2~4.0%の太陽光変換効率をもって糖類を合成しているので、
研究段階にある人工光合成の機能は、まだまだ植物の光合成には及ばないけれども、
工業的な視点での光エネルギー貯蔵や環境対策を目的とすれば、特に高級な糖類の合
成まで進化させなくても、十分ではないかと考えられているのです。
 ここに水とCO₂を原料として太陽光照射による「光触媒」は、現在の社会問題、すな
わちクリーンエネルギー生成とCO₂削減に向けて大きな期待が寄せられているのです。
       

 先のブログ記事(2019.11.26)の「光触媒」にある通り、2つの大きな効果の内、抗
菌、防汚などはすでに実用化され広く活用されていることが理解できましたが、今回の
記事で、もう一つの本命であるエネルギー生成への道が大きく開かれたことが分かりま
した。CO₂が原材料ですから、併せてCO₂削減につながるのですね。

 そして、現在、環境省からの受託事業『人工光合成技術を活用した二酸化炭素の
資源化モデル事業』として、「二酸化炭素と水からsyngas(一酸化炭素+水素)を
高効率に常温常圧合成する炭素循環モデルの構築実証」が進められているのです。
(2018年10月~2021年3月(予定))

 

 

 

 

 

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