蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

再び新型コロナウイルス  (bon)

2023-01-10 | 日々雑感、散策、旅行

 2020年2月に発生した新型コロナは、もうすぐ丸3年になろうとして、現在第8波の
感染拡大期にあります。「ウイルスはどんどん変異を繰り返し、感染力は増すが毒
性は減少する」というようなことを聞いたことがありましたが、長期間にわたる傾向
としては、そうなのかもしれませんが、我々の期待を含めた短期間の話ではなさそう
に思われます。 毒性の強いデルタ株から変異してオミクロン株に入っていますが、
最近の死亡者数を見ると図のように、既に4万人を超えているのです。 累積では
昨日(1/9)6万人を超えました。

       死亡者数推移
       (Yahooニュース蔵原優氏より)

 第8波の入り口あたりまでは、国際的に見て新型コロナの日本の10万人当たりの
感染者数はOECDの中でも下から4番目くらい少なく、死亡者数は最下位でした。それ
が、この年末年始にかけた、日本の感染者、死亡者の日当たりの動向は、下図に示す
ように急上昇しており、死亡者は300人超/日と凄まじい数に上っているのです。

 主な国の新規感染者数(読売新聞オンラインより) 
  
   (横軸は、昨年10月~今年1月5日まで、縦軸は7日間の平均人)

 主な国の新規死亡者数 (読売新聞オンラインより)
  
   (横軸は、昨年10月~今年1月5日まで、縦軸は7日間の平均人)

 

 確かに、致死率が少し下がっているからといっても感染者数が増加すれば、死亡者
合計は増加するのです。 この増加については、明確な理由は示されていませんが、
高齢者の急激な症状悪化による死亡が多くなっている、検査キットが市販され陽性
反応が出ても、大した症状がない場合には自宅療養(管理)という流れにあり、早期
の対応が取れていないことによるのではないかとの見方があります。

 専門家会議やアドバイザリーボード(諮問委員会)でも、新型コロナについては、
まだまだ未知の事柄が多く、先行きの見通しが十分にできない、ウイルスの実態・
変異など未知のことが多いと言われており、なかなか一般に考えられているような
沈静方向にはないと見るべきだということですね。

 

 現状はこのような深刻な状況にあり、過去のことを持ち出す余裕はないかもしれ
ませんが、お正月に届いた会報に、あの 尾身茂氏(新型コロナウイルス感染症対策
分科会長)の昨年8月24日の講演録が掲載されていました。演題は「新型コロナウ
イルス これまでとこれから」とされ、2020年2月のコロナ発生直後から、22年8月
までの対応とその時点でみた今後に向けた意見・提言が述べられていました。

 当初における国内の体制不備や国と専門家の役割分担の在り方、日本における対策
の特徴とその評価など広い範囲にわたって実態と提言が述べられていますが、ここ
ではごく一部を引用させていただくにとどめ、今後の取るべき参考としたいと思いました。

 

 先ず、日本ではSARSもMERSも国内の感染例がなかったことから感染症対策を強化
しなかったため2020年2月に初めて実施された新型コロナウイルス感染症対策専門家
会議は厚労省の会議室というお粗末な状況だったそうで、検査体制、保健所の強化、
国と専門家の役割分担、リスクコミュニケーションの充実なども一から議論を始め
る状況であったそうです。

 そして、当初 官僚も政治家もダイヤモンドプリンセス号にかかりっきりで、新型
コロナウイルスに関してもっと広く国民に知らせるべき決断がなかなか行われない
などの専門家との間に大きなジレンマがあったようでした。 そのうち、専門家が
テレビに出演して直接対応するような状況にあったのだそうです。

 日本における対策の特徴として、クラスタ対策や三密の提唱が挙げられるそうです。
前者は、クラスタを制御することにより、感染を一定程度抑制するという戦略をとっ
ていたこと、後者は、それらクラスタが発生しやすい場を割り出し世界に先駆けて
三密回避を提唱したことが大きいとありました。三密回避については、WHOを通じて
“3Cs”として世界に普及しているそうです。3CsとはCrowded places,Close-
contact settings,Confined and enclosed spacesの略です。

 当然、感染者数、死亡者数についても言及されていますが、あまり見かけない視
点から、「人々の行動変容」に関してその要因や効果について述べられていました。 
つまり、マスコミ報道による「情報効果」、休校あるいは緊急事態宣言による「介
入効果」がどの程度効果的であったかについて分析結果を用いて説明されていました。

 下図は、行動変容の決定要因について分析された結果で、図の縦線の左から、休
校発令、緊急事態宣言発出、緊急事態宣言解除、学校再開の4本です。網掛けの山形
グラフは、下の2つが情報効果でその上に2つの介入効果が示されています。

  行動変容の決定要因に関する分析例(Watanabe and Yabu氏(2021)より)
  
   (横軸は20年1月から11月まで、縦軸はステイホーム率)

 上図の横軸は、20年2月から20年12月までを示し、縦軸に行動変容効果(ホーム
ステイ)が示されています。左から休校による介入効果は当然見られますが、その
時点ですでに情報効果によりホームステイが始まっていることが分かります。そして
これらの情報効果にプラスして、緊急事態宣言による介入効果で、20年4月下旬には、
ほぼ50%の人々がホームステイをしていたのです。これは東京都の例だそうですが、
この当時は、みんなが緊張して迫る危機感に対応していたのでした。

 もう一つ図をご紹介します。これらの介入効果、情報効果が年齢別にどのように
影響しているかを示しています。

 介入効果と情報効果の年齢別推計値(Watanabe and Yabu氏(2021)より)
     

 図の縦軸は外出抑制効果、横軸は年代(重症化率)を示しています。 介入効果
では緊急事態宣言による効果は若い人に圧倒的に高く、高齢者にはほとんどないこ
とが示されています。 マスコミ報道による情報効果は高齢者が高く若い人はあまり
ない、つまり、高齢者は報道で重症化を心配し、宣言前から慎重になっていたと思
われると。また女性の方がより慎重に行動していることも分かります。

 

 尾身氏は、過去2年間のコロナ対策の評価すべき点として、人口10万人当たりの
新規感染者数と死亡者数が諸外国と比べて低く抑えられていることだとして、その
理由を3つ述べられています。①保健・医療機関の献身的な努力 ②政府・自治体
の努力 状況に応じた臨機な対策をとってきた ③一般市民の協力 介入効果と情
報効果がそれを示している

 そして、これからの見通しとして、(尾身氏の講演は、昨年8月ですから、この
時点からの見通しということになり、現時点ではこれの検証ができるのですね)この
時点で、第7波に入ったところで、今後学校は2学期が始まり高い感染レベルが続く
と思われ、死亡者数も増加する可能性があると。

 『感染力が強くなれば重症化率は下がる‥と多くの人は期待していますが、新型
コロナウイルスはRNAウイルスなので変異が起きやすく、しかも変異はアトランダム
に起きるのでどうなるかは不明です』と述べられています。 また『コロナはイン
フルエンザと一緒という人もいますが、インフルエンザウイルスは安定期に入って
いるので劇的に変異しないのに対して新型コロナウイルスは進化中なのでどうなる
かは不明です』とも。

 ただ、期待できるとすれば、治療薬とオミクロン対応のワクチンだとしています。

 最後に、今後に向けた方向付けとして6項目挙げられています。①全数把握につい
ては、詳しく報告する対象を重症化リスクの高い人に限定するなど必ずしも全数把
握することは不要と考えられるが、まだ時期尚早である ②抗原検査キットの活用 
PCR検査より感度が悪いが、結果がすぐに出ること、感染力の判定に向いているので
活用したい ③社会経済活動か、感染抑制か 講演されている8月時点の感染拡大と
医療逼迫状況からみると、1年前なら緊急事態宣言としていた状況でしたが、人々の
心や生活、経済に与える影響を考慮して宣言は発出していない ④政府の努力と国民
への説明 国民が自己検査する体制の強化と死亡者がさらに増える可能性や医療逼迫
が続く可能性があることを国民に説明し社会経済活動とのバランスを問いかける必
要がある ⑤国民の主体的な感染対策の涵養 国民一人一人が今まで以上の感染対
策を自主的に行うべき ⑥データ・システムの構築

               

 またまた、記事が長くなりましたが、確かに2年前当時に比べれば、繁華街の人出
も以前と変わらないくらいですし、大相撲の観客も満員御礼状態で制限なしですし、
昨日の成人式でもコロナ前と同じ状態ですね。マスクだけは励行されていますが、
当時ほど手洗いを石鹸でキチっと行っているでしょうか。生活に活気を取り戻し、
経済の循環を図る上からも、より一層各個人の感染対策が求められるのですね。行
動制限がないことは、気を引き締めなくても良いことではなく反対により意識した
行動が求められるということなんですね。

             (ネット画像より)

 

 

NIGHTWISH - The Phantom Of The Opera (OFFICIAL LIVE)

 

 

 

コメント (2)
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