阪神淡路大震災から28年が過ぎたのですね。今なお、深い恐怖と悲しみに耐える
多くの人々がいることを忘れることはできません。
この寒い季節に「熱帯」とは、場違いも甚だしいですが、昨今の気候変動など地球
を取り巻く環境保全に、この熱帯林が大いに役立っているにもかかわらず、この熱帯
林は過去30年間にわたって、伐採、開墾等によって減少し続けているというのです。
熱帯雨林
(ウイキペディアより)
近年、地球環境保全に向けてというか、危機的状況をいかに回避するかという国際
会議が活発に行われています。 COP27では、異常気象など気候変動対策に向けた
地球温暖化防止への具体的な議論が進められていますし、COP15では、急速な生物種
の絶滅防止に向けた取り組みが行われています。これら世界的な取り組みの原因と
なっている一つに「森林破壊」の問題があるのです。 この地球にとって、森林、
中でも熱帯林の役割が大きといっているのです。
手元の会報に『全地球における熱帯林の役割』(北島薫氏、京都大学大学院農学
研究科教授)なる詳細な研究による投稿記事があり、この問題に対して警鐘が発せ
られています。
記事の要点を、ここに紹介したいと思いました。
『何百年も生きてきた巨木は人々に畏敬の念を抱かせ、鬱蒼とした原生林は聖域
として守られてきた。』『しかし、どんな大きな木も、小さな種子の発芽がスタート
地点で、大木となるまでには、どのような条件と時間が必要で樹木の種類によって
どのように違うのか・・』
著者の研究への取り組みの原点が樹木をいつくしむ心に根差していることに感銘
を受けたのです。
熱帯というのは、南北回帰線の間の太陽が天頂に位置することがある地域をいい、
様々な熱帯林の中でも樹木植物の多様性が高い熱帯雨林は、恐竜が絶滅した6千5
百万年前より後には、様々な樹木が哺乳類等による種子散布などで広い範囲に存在
していたようだと。
熱帯の植物、何百年も同じところに立っている樹木が温度変化や降雨量の変化に
対してどのような相関関係にあるかは未だ大きなブラックボックスなのだそうです。
年間の降雨量、降雨の季節性、土壌の肥沃度、海からの距離、地形などによって
異なる種でも似たような特徴を持った森林が構成されているようだとあります。
下の表は、詳細に区分された気候と土壌の特徴に基づく熱帯林のタイプを簡略化
してその一端を表示しました。
気候の違いを反映する森林のタイプ
(北島氏記事の詳しい表を簡略化して表示しました。)
この他に、地形やそれに伴う土壌条件の違いを反映する森林タイプの表もありま
したがここでは割愛させていただきました。
サバンナ
(ネット画像より)
世界全体の樹木種はおよそ7万種ありそのうち熱帯に生息するものがおよそ5万
種あるとされています。世界の陸地面積のおよそ4割を占める熱帯域に世界の7割
以上の樹木種が生ていることになります。このことは他の動物などでも同じような
状況で、世界の脊椎動物の6割以上が熱帯に生息しているのだそうです。
そのような熱帯の自然林の消失の速度は過去30年間ほとんど変化なく、生物の
生息地の分断や希少種や固有種の絶滅による生物多様性消失の危機を加速させてい
るのです。
熱帯林は地球上の森林面積の内45%を占め、地球のすべてによる光合成のおよそ
8割、地球の陸域の植物全てによる光合成のおよそ6割を担っているというのです。
つまり、「光合成により炭素吸収を増加させて大気中の二酸化炭素の増加を相殺する」
森林の役割のなかで『熱帯林』が果たす役割が大きいことが分かります。
それにもかかわらず歯止めのかからない熱帯林の破壊は、グローバルな生物多様性
の消失や地球温暖化の加速の大きな要因の一つとなっていると指摘されています。
人間活動が熱帯林喪失の最大の直接要因であるが、加速化する温暖化によってさ
らにこれら森林を火災などにより焼失に追い打ちをかけている状況にあり、今一度
深い認識による改善策の実行が望まれているのです。
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