昨日、1/23には、第211通常国会が召集され、岸田首相の施政方針演説がありま
した。
臨時国会や特別国会ではなく、通常国会の施政方針演説は、首相の今年1年を通
した基本的な方針が述べられ、昨日のテレビ放送を真面目に視聴しました。その後、
ネット記事で全文も拝見しました。
これまではあまり真剣に聞いた覚えがなかったようですが、なぜか今回は正面か
ら受け止める形になったのでした。
普段から、あまり政治のことに深く関心を寄せていなかったので、首相の所信に
対する理解度もおぼつかないのですが、我慢して最後まで聞いてみたのです。
感想としては、巷の評判やあの支持率が示している岸田政権に対する評価とは全
く別世界が展開され、主権者の意志(考え、方針)が当然のことながら堂々と述べ
られていました。そこには国民の多くが懸念している、あるいは反対している事柄
をも、全く斟酌なしの図が描かれているように思いました。
たとえば、防衛力の抜本的強化です。 ロシアのウクライナ侵略により、急浮上
した防衛問題やエネルギー問題への対応に見られるのではないでしょうか。
ここで、あえて「抜本的」と謳っているところです。 予算の枠組みを先に決め
中身の具体化を後に回す、大枠ありきで議論を展開して行こうとする「早く決めて
行こうとする手法」がとられているのではないか。 少子化対策しかり原発問題し
かり、どうも積み上げ議論が好きでない、衆知を集めて最適解を求めようとしている
のではなく、自身の思惑を押し通す強引なやり方が好きなのではないかと。
方針の議論よりむしろ財源問題の議論にすり替えてしまい、本質的な的(マト)
には触らせたくないのかもしれないと。 旧統一教会の事案には触れられていない
ところを見ると、重大な課題が山積しているので、そのような隅をつつくようなこと
はよそう、確かに本筋としてはそうですが、自 畑の問題事項を整理し改めることを
しないわけには行かないのではないか。
ネットにある全文を改めて見てみました。これには、さすがに、一国の首相の施
政方針として、世界の諸課題に対して積極果敢に取り組むすばらしい項目・字句が
並べられていますが、その裏には何か問題になる事柄が隠されているのか、いない
のか? あるいは原発寿命の延長などエネルギーの確保と温暖化防止の両面の緩和
を目指した、本質を無視した数字的視点からの政策ではないのか? 取り返しのつ
かない事案への取り組みとしては軽いのではないか?
今年初めに展開されていた「異次元の少子化対策」の文言は見当たらず、「こど
も・子育て支援政策」と分かり易い表現となっていますが、出生率の反転の具体性、
少子化対策の具体性などには触れられておらず、「従来とは次元の異なる少子化対策
を実現したい」と述べるにとどまり、具体的方針が見えません。
新しい資本主義については、全文字数の1/3を要して、説明されていますが、い
うなれば、これまでと同じように、新しい技術分野など成長産業にシフトして投資
や支援を強化するにとどまっているように感じて、資本主義の新しい形がなんであ
るか分かりずらいでした。
新型コロナについては、気象変動問題、感染症対策など世界的な問題と取上げな
がら、国内的には、早々と2→5類への変更を決定し、それの具体策を検討しよう
との内容で、大きな取上げではなかったです。確かに、100兆円?を超える支出
をこれ以上増やして行けるか?との見方もあるでしょうね。
全体として、40分余りの演説でしたが、大問題ばかりの取り組みで、初めて聞く
(資料無しで)内容としては圧倒されるばかりでした。今国会で、これらの方針に
込められた内容の審議が行われるわけですが、60法案について、どうか良識に基
づいたバランスの取れた審議を願いたいものです。
施政方針演説の後は、外交演説(林外務大臣)、財政演説(鈴木財務大臣)、経
済演説(後藤経済財政担当大臣)の「政府4演説」があり、「議長おおお~」の散
会動議により恒例通り散会となりました。
(ネット画像より
バッハ「G線上のアリア」 Bach "Air on G String"