7月7日のオープンキャンパスの模擬授業も無事に終わり、父の心臓手術の術後の経過も順調で、一瞬だけのほっとしたひとときを味わっています。
オープンキャンパスでは、T大学の子ども発達学科を受験しようと考えて参加してくれた高校生の一人が、僕の国語科「書くこと」領域の模擬授業の後、「黒板の字もていねいで、話もわかりやすかった。ミニ小説を書くのもおもしろかった」と声をかけてくれて、涙が出るくらいうれしく思いました。元々、僕は小学校の先生だったのですから、授業はなんとかなるだろうとは思っていましたが、来てくれた高校生に「T大学に入りたい」と思ってもらうことが第一の目的でしたから、その点が大きなプレッシャーになっていました。少しは大学の先生らしく見えたかなあ。そんな思いもしています。
12日の代休は、4月以来初めての3連休、7週間ぶりの連休でした。15日の海の日などの月曜日の祝日等は、月曜日の科目の授業時数確保のため授業日なのです。
そこで、愛知県人の僕が毎日岐阜県で過ごしているので、やっぱりここらで都会の空気に触れなければと思い、東京へ行ってきました。目的は、観光・・・ではなく、保育・幼児教育に関係する言葉の発達についての専門書探しです。僕の専門は、「児童の文章表現能力の発達に関する研究」です。ところが、僕が在籍している子ども発達学科は、小学校の先生になるための児童教育(初等教育)だけでなく、保育士や幼稚園の先生をめざす科目もあります。そこで、言葉の発達についての研究を初等教育限定から研究範囲を少し下の年齢にも広げ、小学校入学前の子どもの言葉の発達についても調べていかなければならないのです。
東京には、行きつけの古書店があります。西早稲田の某古書店「A書房」さんで、大学院時代からお世話になっています。国語教育に関する多くの文献が手に入るので、夏の学会(国語教育学会)に参加するたびに何冊も国語科教育の専門書を買っています。数年前に、昭和初期と大正時代の作文指導の系統的な指導に関する文献を見つけた時は、目からうろこでした。そんな時代に、僕が今研究していることを実践し、本にして出版していた研究者がいたのですから、「書くこと」の史的研究にも着手することができました。
難しい話題はともかく、ほかにも神保町あたりの書店で新刊書籍を探したり、いくつかの小学校入学前の子どもの言葉の発達についての文献も手に入れることができ、僕としては有意義な2日間になりました。
それよりすごかったのが、丸っこくて長い不思議なボディの都バスを見つけたことと、緑一色の山手線の電車に乗ったことです。
ヘンな車体の都バスには、バス・フェチの僕としては、もう一度見てみたいと思いました。サイド後方にはまん丸の窓がありました。僕が見たのは上野駅の北側のアメ横に入る辺りでした。いったい、あのバスはなんだったんだろう。路線バスのような感じだったので、運がよければ乗れるのかもしれません。車内がどうなっているのか、気になって気になってしかたがありません。
そして、緑一色の山手線の車両。どうやら、開業当時のカラーらしいです。写真に収めようとしましたが、走り出した車両をホームから至近距離で撮ったため、超ピンボケで何の写真か分からないほどでした。晩ご飯を池袋で食べ、駒込のホテルに戻ろうとホームに上がったら、ちょうどそこにいた上野方面行きの電車が緑一色の電車だったのです。僕、めったに乗ることのない特別なカラーので電車に乗っちゃったんです。でも、車内は普通の電車でした。そして、家路につく土曜日、とうとう目にすることはありませんでした。
8月5日と6日に行われる国語教育学会に今年も参加します。去年までは国語教育学会の会員とは言っても小学校勤務だったため「研究者の端くれ」としての参加でしたが、今年は違います。正真正銘の「研究者」としての参加です。参加はしますが、オフの時間はきっとヘンな都バスと緑の電車を探してどこかの駅をぶらぶらしていることでしょう。僕にとっては、バスと電車の方が話題のスカイツリーよりもずっと興味深いのです。
ほっとできるのもつかの間、今週からすぐに前期の試験問題作り、採点、単位の認定、28日のオープンキャンパスでの入試に関する資料作り、それが終わると9月からの教育実習生の事前準備、後期の担当科目の具体的な指導計画の作成等々、仕事が続きます。恒例の北海道ツーリングも今年は諦めました。それでも、学生たちと過ごす時間は楽しいし、やりがいも感じています。
都会の空気もしっかりと吸ってきたことですし、気合いを入れて前期のまとめの仕事に取りかかります。