「汽車の窓からハンケチ振れば~」「高原列車はラララララ行くよ~」
誰の歌だったか、僕が子どもの頃にはもう「なつメロ」になっていました。でも、子ども心に、その美しい情景を想像していたことを覚えています。信楽高原鉄道の列車に乗っている時も、そして、帰ってからこれを書いている今も、なぜかこの歌が頭の中をぐるぐる巡っています。
まずは、これまでのバック・ナンバー <カテゴリー:ローカル鉄道の部屋>です。

⑬熊本・熊本市電
⑫鉄旅スペシャル 神奈川~熊本・「昭和」駅から「平成」駅へ
⑪静岡・伊豆箱根鉄道駿豆線
⑩東京~埼玉~群馬・JR八高線
⑨埼玉・秩父鉄道
⑧山梨~静岡・JR身延線
⑦静岡・伊豆急行線
⑥千葉・小湊鐵道
⑤福井・えちぜん鉄道三国芦原線
④東京・JR青梅線
③神奈川~静岡・JR御殿場線
②神奈川・箱根登山鉄道
①千葉・銚子電鉄
2014年の銚子電鉄の旅で味をしめて以来、今回で14回目になりました。こうして並べてみると静岡東部~関東一帯が多いのが分かります。僕、関東周辺の鉄道が好きなのです。今回も、はじめの計画では、鹿島臨海鉄道か東武東上線のどちらかにしようと思っていました。そこへ新型コロナウィルス感染の広がり。よっぽど大丈夫だろうとは思いましたが、首都圏周辺の主要駅は大勢の人が集まる場所です。今回は避けた方が賢明な気がしてきました。
そこで思いついたのが、クルマで1時間半で行ける滋賀県の信楽高原鉄道でした。30分もあれば端から端まで行くことのできる短い距離の鉄道です。ぶらぶら歩ける所もいっぱいありそうです。夜のうちに移動して車中泊すれば、たった一日で鉄旅を楽しむことができるのです。
<3月6日>
前日の夜にクルマで移動し、道の駅「あいの土山」で車中泊をしました。さすがに国道1号線を走るトラックの音が気になりましたが、うるっせえなあと思っているうちに眠ってしまいました。2時半頃、あっつ~と思って目を覚まし、ヒーターを弱めて次に気づいたのはスマホのピピーピピーというやかましいアラームの音でした。

パンと温かいスープ、そして食後のコーヒーで朝食を済ませ、8時に道の駅を出ました。
向かった先は信楽高原鉄道信楽駅です。甲賀土山ICから信楽ICまでは新名神、そこから信楽駅まではR307で30分ほどで着きました。
駅のすぐ横に信楽高原鉄道利用者用無料駐車場がありました。これは便利です。
信楽駅で、一日フリー乗車券(940円)を買い、まずは一気に始発駅の貴生川まで(470円)わずか23分の旅。信楽高原鉄道は終点と始発駅を入れても6駅しかないのです。とっても短い路線です。

スタートの貴生川駅で折り返し運転をするので、停車時間はわずか7分しかありませんでした。ところが、貴生川駅はJR草津線、近江鉄道本線、信楽高原鉄道の3路線の駅があるターミナル駅です。一度外に出て、駅の写真だけ撮ってすぐに列車に乗りました。


貴生川駅の次の紫香楽宮跡駅で途中下車です。貴生川~紫香楽宮跡駅の1区間だけで全線の半分以上の距離を走ります。出発してすぐに登り坂、眼下に貴生川の町と広い盆地が広がっていました。そこからです、冒頭の高原列車の歌が頭の中を巡り始めたのは。列車はしだいに林の中をひたすら走るようになります。
13分間の高原の旅を終え、最初の駅の紫香楽宮跡駅に着きました。ホームから出ても駅舎はありません。あるのはトイレだけ。トイレの建物を見て、駅舎かと思っちゃいました。

駅から住宅街を抜け、10分ほど歩いた所に紫香楽宮跡の一部がありました。案内板を読むと、奈良の都の前の3年間だけこの地に都があったとのことでした。宮跡には笹藪の中に礎石がたくさん並んでいました。案内板には五重塔なども描かれていましたが、完成することなく奈良への遷都となり、幻の都となってしまったのです。当時の天皇の聖武天皇の命を受け建立された東大寺の大仏も、はじめの予定ではこの地に建立されるはずだったとのことでした。すごい所を歩いてるよ、僕たち。



次の駅は雲井駅です。歩いても行ける距離でしたが、僕たちは鉄旅をしているのです。わざわざ紫香楽宮跡駅に戻って、列車に乗りました。
紫香楽宮跡駅のホームで列車を待っていると、定刻通りに朱色の一両だけの車両がやってきました。
「なんか、かわいい。」
妻がそう行って、写真を撮っていました。

「旅番組で電車を見て『かわいい~』って言ってるのを見て、電車がかわいいわけないじゃん、バカみたいって思ってたけど、本当にかわいいって思えちゃった。」
と言っていました。そうなんです、かわいく見えるんです。
次の雲井駅は、駅舎より立派なトイレがあるとのこと。かわいい列車に乗って1分、雲井駅で下車しました。ホームから出ると、確かにどっちが駅でどっちがトイレか分からないような駅でした。情報どおり、トイレの方が立派な建物でした。間違えて改札のつもりでトイレに入っちゃう人がいるかもしれないなあ。

駅から南に向かって10分ほど歩いて、日雲神社に行ってみました。線路に沿って歩くと、雰囲気は昭和30年代。大きな空き家の古民家がありました。広い庭もあって、500万円くらいなら買ってもいいかなと思いました。でも、生活するにはちょっと不便そうだなあ。
日雲神社は、境内の中に線路がある珍しい神社です。おもしろかったね、ここも。もちろん、ちゃんとお参りをしました。



雲井駅に戻り、再びかわいい列車に乗りました。次の勅旨駅はパスして、その次の玉桂寺前駅で途中下車しました。

この駅での目的地は駅名でもある玉桂寺です。林の中の柵を開けて狭い坂道を登ります。すると、線路を跨ぐ吊り橋があります。僕、吊り橋が嫌いなのです。怖いから・・・。

「もっと速く歩いてよ」
「ムリ、危ない、落ちる。」
「落ちるわけないじゃん。」
なんで平気で歩けるか僕には分からん。
吊り橋を渡ると、次は狭い下り坂。下りきったところに小さな集落があり、そこに玉桂寺がありました。玉桂寺が見えた辺りからいかにも荘厳な雰囲気が漂っていました。
玉桂寺は大きなお不動さんに古くて立派な社殿があり、格式の高いお寺ということが分かります。本殿とお不動さんにお参りをし、せっかくだから御朱印もいただきました。ボケ防止に効くそうです。僕はボケてもいいけど、奥さんがボケたら困るなあなって思ったので、この御朱印は奥さんのためのものということにします。




再び、玉桂寺前駅に戻りました。こわ~い吊り橋は奥さんに先に行って待っててもらいました。
玉桂寺前駅の次は終点の信楽駅です。今回の鉄旅最後の列車を降り、改札を出るとちょうど朝ドラの「スカーレット」が始まったところでした。毎日研究室で愛妻?弁当を食べながら観ているので、観ないわけにはいきません。


「スカーレット」が終わって、駅舎の外に出ました。朝から歩き回って、お腹がぺこぺこ。お昼は近い所で食べようと、駅前にある蕎麦屋に入りました。しいたけ蕎麦1杯でお腹がいっぱいになったのかならなかったのか、とりあえず蕎麦でお腹を満たし、信楽駅周辺の散策です。

駅にあったパンフレットを見て、窯元の多い通りを中心に歩くことにしました。つぼ坂とかろくろ坂と名付けられた小径を散策しました。坂道だらけなのですね、窯元のある小径は。駅を出て駅前の通りはまさにタヌキの焼き物だらけ。信楽のポスターといえばタヌキの焼き物。でも実際は、信楽焼には奥の深いものがあります。

窯元が散在する小径の一つろくろ坂と呼ばれる坂を歩いていると、坂のてっぺん辺りに大きな登り窯がありました。そして、すぐ横にカフェとギャラリーがあったので、登り窯を見ながら美味しいコーヒーをいただきました。ギャラリーに入ると、自然釉によるなんとも言えない色合いのお皿に感動し、なんだか心が惹き付けられたような思いがしました。



これで信楽高原鉄道途中下車の旅は終わりです。
信楽駅に戻り、列車からシュピーレンに乗り換え、信楽ICから新名神に入り、家路に急ぎました。途中の土山SAで軽食。蕎麦だけではちょっと腹がへって。いっぱい歩いたし。あとはひたすら新名神~伊勢湾岸道~東海環状道を走って豊田松平ICへと一直線。
たくさん歩きました。スマホの歩数計では15000歩を超えていました。10km以上歩いたのかなあ。
信楽高原鉄道沿線の途中下車旅、超満足!!の旅でした。
「汽車の窓からハンケチ振れば~」「高原列車はラララララ行くよ~」
「古っ!」今なお、頭の中を巡っています。
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誰の歌だったか、僕が子どもの頃にはもう「なつメロ」になっていました。でも、子ども心に、その美しい情景を想像していたことを覚えています。信楽高原鉄道の列車に乗っている時も、そして、帰ってからこれを書いている今も、なぜかこの歌が頭の中をぐるぐる巡っています。
まずは、これまでのバック・ナンバー <カテゴリー:ローカル鉄道の部屋>です。

⑬熊本・熊本市電
⑫鉄旅スペシャル 神奈川~熊本・「昭和」駅から「平成」駅へ
⑪静岡・伊豆箱根鉄道駿豆線
⑩東京~埼玉~群馬・JR八高線
⑨埼玉・秩父鉄道
⑧山梨~静岡・JR身延線
⑦静岡・伊豆急行線
⑥千葉・小湊鐵道
⑤福井・えちぜん鉄道三国芦原線
④東京・JR青梅線
③神奈川~静岡・JR御殿場線
②神奈川・箱根登山鉄道
①千葉・銚子電鉄
2014年の銚子電鉄の旅で味をしめて以来、今回で14回目になりました。こうして並べてみると静岡東部~関東一帯が多いのが分かります。僕、関東周辺の鉄道が好きなのです。今回も、はじめの計画では、鹿島臨海鉄道か東武東上線のどちらかにしようと思っていました。そこへ新型コロナウィルス感染の広がり。よっぽど大丈夫だろうとは思いましたが、首都圏周辺の主要駅は大勢の人が集まる場所です。今回は避けた方が賢明な気がしてきました。
そこで思いついたのが、クルマで1時間半で行ける滋賀県の信楽高原鉄道でした。30分もあれば端から端まで行くことのできる短い距離の鉄道です。ぶらぶら歩ける所もいっぱいありそうです。夜のうちに移動して車中泊すれば、たった一日で鉄旅を楽しむことができるのです。
<3月6日>
前日の夜にクルマで移動し、道の駅「あいの土山」で車中泊をしました。さすがに国道1号線を走るトラックの音が気になりましたが、うるっせえなあと思っているうちに眠ってしまいました。2時半頃、あっつ~と思って目を覚まし、ヒーターを弱めて次に気づいたのはスマホのピピーピピーというやかましいアラームの音でした。

パンと温かいスープ、そして食後のコーヒーで朝食を済ませ、8時に道の駅を出ました。
向かった先は信楽高原鉄道信楽駅です。甲賀土山ICから信楽ICまでは新名神、そこから信楽駅まではR307で30分ほどで着きました。
駅のすぐ横に信楽高原鉄道利用者用無料駐車場がありました。これは便利です。
信楽駅で、一日フリー乗車券(940円)を買い、まずは一気に始発駅の貴生川まで(470円)わずか23分の旅。信楽高原鉄道は終点と始発駅を入れても6駅しかないのです。とっても短い路線です。

スタートの貴生川駅で折り返し運転をするので、停車時間はわずか7分しかありませんでした。ところが、貴生川駅はJR草津線、近江鉄道本線、信楽高原鉄道の3路線の駅があるターミナル駅です。一度外に出て、駅の写真だけ撮ってすぐに列車に乗りました。


貴生川駅の次の紫香楽宮跡駅で途中下車です。貴生川~紫香楽宮跡駅の1区間だけで全線の半分以上の距離を走ります。出発してすぐに登り坂、眼下に貴生川の町と広い盆地が広がっていました。そこからです、冒頭の高原列車の歌が頭の中を巡り始めたのは。列車はしだいに林の中をひたすら走るようになります。
13分間の高原の旅を終え、最初の駅の紫香楽宮跡駅に着きました。ホームから出ても駅舎はありません。あるのはトイレだけ。トイレの建物を見て、駅舎かと思っちゃいました。

駅から住宅街を抜け、10分ほど歩いた所に紫香楽宮跡の一部がありました。案内板を読むと、奈良の都の前の3年間だけこの地に都があったとのことでした。宮跡には笹藪の中に礎石がたくさん並んでいました。案内板には五重塔なども描かれていましたが、完成することなく奈良への遷都となり、幻の都となってしまったのです。当時の天皇の聖武天皇の命を受け建立された東大寺の大仏も、はじめの予定ではこの地に建立されるはずだったとのことでした。すごい所を歩いてるよ、僕たち。



次の駅は雲井駅です。歩いても行ける距離でしたが、僕たちは鉄旅をしているのです。わざわざ紫香楽宮跡駅に戻って、列車に乗りました。
紫香楽宮跡駅のホームで列車を待っていると、定刻通りに朱色の一両だけの車両がやってきました。
「なんか、かわいい。」
妻がそう行って、写真を撮っていました。

「旅番組で電車を見て『かわいい~』って言ってるのを見て、電車がかわいいわけないじゃん、バカみたいって思ってたけど、本当にかわいいって思えちゃった。」
と言っていました。そうなんです、かわいく見えるんです。
次の雲井駅は、駅舎より立派なトイレがあるとのこと。かわいい列車に乗って1分、雲井駅で下車しました。ホームから出ると、確かにどっちが駅でどっちがトイレか分からないような駅でした。情報どおり、トイレの方が立派な建物でした。間違えて改札のつもりでトイレに入っちゃう人がいるかもしれないなあ。

駅から南に向かって10分ほど歩いて、日雲神社に行ってみました。線路に沿って歩くと、雰囲気は昭和30年代。大きな空き家の古民家がありました。広い庭もあって、500万円くらいなら買ってもいいかなと思いました。でも、生活するにはちょっと不便そうだなあ。
日雲神社は、境内の中に線路がある珍しい神社です。おもしろかったね、ここも。もちろん、ちゃんとお参りをしました。



雲井駅に戻り、再びかわいい列車に乗りました。次の勅旨駅はパスして、その次の玉桂寺前駅で途中下車しました。

この駅での目的地は駅名でもある玉桂寺です。林の中の柵を開けて狭い坂道を登ります。すると、線路を跨ぐ吊り橋があります。僕、吊り橋が嫌いなのです。怖いから・・・。

「もっと速く歩いてよ」
「ムリ、危ない、落ちる。」
「落ちるわけないじゃん。」
なんで平気で歩けるか僕には分からん。
吊り橋を渡ると、次は狭い下り坂。下りきったところに小さな集落があり、そこに玉桂寺がありました。玉桂寺が見えた辺りからいかにも荘厳な雰囲気が漂っていました。
玉桂寺は大きなお不動さんに古くて立派な社殿があり、格式の高いお寺ということが分かります。本殿とお不動さんにお参りをし、せっかくだから御朱印もいただきました。ボケ防止に効くそうです。僕はボケてもいいけど、奥さんがボケたら困るなあなって思ったので、この御朱印は奥さんのためのものということにします。




再び、玉桂寺前駅に戻りました。こわ~い吊り橋は奥さんに先に行って待っててもらいました。
玉桂寺前駅の次は終点の信楽駅です。今回の鉄旅最後の列車を降り、改札を出るとちょうど朝ドラの「スカーレット」が始まったところでした。毎日研究室で愛妻?弁当を食べながら観ているので、観ないわけにはいきません。


「スカーレット」が終わって、駅舎の外に出ました。朝から歩き回って、お腹がぺこぺこ。お昼は近い所で食べようと、駅前にある蕎麦屋に入りました。しいたけ蕎麦1杯でお腹がいっぱいになったのかならなかったのか、とりあえず蕎麦でお腹を満たし、信楽駅周辺の散策です。

駅にあったパンフレットを見て、窯元の多い通りを中心に歩くことにしました。つぼ坂とかろくろ坂と名付けられた小径を散策しました。坂道だらけなのですね、窯元のある小径は。駅を出て駅前の通りはまさにタヌキの焼き物だらけ。信楽のポスターといえばタヌキの焼き物。でも実際は、信楽焼には奥の深いものがあります。

窯元が散在する小径の一つろくろ坂と呼ばれる坂を歩いていると、坂のてっぺん辺りに大きな登り窯がありました。そして、すぐ横にカフェとギャラリーがあったので、登り窯を見ながら美味しいコーヒーをいただきました。ギャラリーに入ると、自然釉によるなんとも言えない色合いのお皿に感動し、なんだか心が惹き付けられたような思いがしました。



これで信楽高原鉄道途中下車の旅は終わりです。
信楽駅に戻り、列車からシュピーレンに乗り換え、信楽ICから新名神に入り、家路に急ぎました。途中の土山SAで軽食。蕎麦だけではちょっと腹がへって。いっぱい歩いたし。あとはひたすら新名神~伊勢湾岸道~東海環状道を走って豊田松平ICへと一直線。
たくさん歩きました。スマホの歩数計では15000歩を超えていました。10km以上歩いたのかなあ。
信楽高原鉄道沿線の途中下車旅、超満足!!の旅でした。
「汽車の窓からハンケチ振れば~」「高原列車はラララララ行くよ~」
「古っ!」今なお、頭の中を巡っています。


