厚木市旭町に「牛頭天王社」(現在の厚木神社)の別当寺「智音寺」は天正年間(1573~1592)開基の古刹であったが、廃仏毀釈(幕末から戦中にかけて行われた仏教排斥運動)で廃寺となり「智音神社」となった。屋島の合戦後、鎌倉に引き上げてから那須与一が眼病を患った際、厚木の天王森に祭られた薬師如来に祈願し完治した礼に「智音寺」を建立したとされる。鳥居を潜ると正面に「拝殿」、左手に「鬼子母神堂」がある。この堂は明治初期、呉服豪商「高部源兵衛」の夢枕に鬼子母神が現れ十羅刹の元屋敷に鬼子母神を祀るようにというお告げに土蔵内の仏像(鬼子母神)用の堂を建て祀り供養を行った由来をもつ。大正末期頃まで多くの露店が出て大賑わいであったが移転後は廃れてしまったようである。「游相日記」によると渡辺崋山が「厚木六勝図」を写生後、「知音寺」に立ち寄り住職より茶菓の接待を受けたと記してある。寺院であったの名残りなのか境内左手には墓地があり、そのどこかに「那須与一」が眠っているらしいが不明であった。(1804)
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