南インドの古代王朝チョーラ朝時代の寺院建築と彫像についての解説書。
石造りの巨大な門や塔とその側面等に彫り込まれた彫像に圧倒されます。美術研究書としてはもう少しカラー写真が欲しいと感じますし、解説も美術的な部分より、その前提としての王朝の歴史やヒンドゥー神話が大部分を占めています。
ヒンドゥー教で民衆の信仰を集めるシヴァ神の像でも両性具有のアルダナーリー(右半身が男性のシヴァ、左半身が妻のパールヴァティ)の形をとるものや踊るシヴァ神ナタラージャの像がチョーラ朝時代の美術の中心をなしていることや、男女が一体となる姿が生命の誕生を意味し、またシヴァの恐ろしい踊りが宇宙を創造したというヒンドゥー神話などの解説に興味を引かれました。
でもやはりヒンドゥー美術では、キリスト教や仏教系の美術では見られない豊満でありつつ優美な人間らしい神像がとても魅力的です。ギリシャ彫刻やルネサンスのような、しかしオリエンタルな表現が10世紀のインドで発展していたことに思いをはせるのは、ちょっとぜいたくな時間。まあ、私が高校生の時から古代インドに憧れてたからでもありましょうが。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en1.gif)
袋井由布子 東信堂世界美術双書 2007年8月20日発行
石造りの巨大な門や塔とその側面等に彫り込まれた彫像に圧倒されます。美術研究書としてはもう少しカラー写真が欲しいと感じますし、解説も美術的な部分より、その前提としての王朝の歴史やヒンドゥー神話が大部分を占めています。
ヒンドゥー教で民衆の信仰を集めるシヴァ神の像でも両性具有のアルダナーリー(右半身が男性のシヴァ、左半身が妻のパールヴァティ)の形をとるものや踊るシヴァ神ナタラージャの像がチョーラ朝時代の美術の中心をなしていることや、男女が一体となる姿が生命の誕生を意味し、またシヴァの恐ろしい踊りが宇宙を創造したというヒンドゥー神話などの解説に興味を引かれました。
でもやはりヒンドゥー美術では、キリスト教や仏教系の美術では見られない豊満でありつつ優美な人間らしい神像がとても魅力的です。ギリシャ彫刻やルネサンスのような、しかしオリエンタルな表現が10世紀のインドで発展していたことに思いをはせるのは、ちょっとぜいたくな時間。まあ、私が高校生の時から古代インドに憧れてたからでもありましょうが。
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袋井由布子 東信堂世界美術双書 2007年8月20日発行