伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ネット君臨

2007-12-11 07:36:41 | ノンフィクション
 ネットでの集団中傷やいじめ、児童ポルノの氾濫などのインターネットの負の側面をレポートした毎日新聞の連載の単行本化。
 タイトルや書き手側の意識はわりと大仰ですが、提言していることは、プロバイダーや掲示板管理者にログ(通信記録)の保存を義務づける、児童ポルノは単純所持も禁止、ネットが子どもの非行やいじめの温床にならないようにリテラシー教育を充実と、意外におとなしめ。
 匿名性などをめぐる議論は、構えた議論同士でかみ合わないありがちなパターン。あえてそれをやって、取材班は被害者の視点で見て欲しいだけだと言ってシンパシーを買おうとしてるのかも知れませんが。匿名だろうが実名だろうが、ネットだろうがオフラインだろうが、弱い者いじめや嫌がらせはやめるべきだし見ていていやらしい。それを何か大上段の議論でネットの自由だとか内部告発だとか実情にあわない例で正当化しようとするのは見苦しい。他方、新聞や週刊誌もよくやる警察に挙げられたら書きたい放題のメディアスクラムを棚に上げて「祭り」をネット特有であるかのように言うのも白々しい。ただネットの匿名性を必要なことと言いながら、相手が政治家や権力者ならともかく市井の一般人の実名を暴いて喜んでいる姿にはネット特有の嫌らしさを感じます。せめて匿名性が必要と論じるのなら他人の匿名性も尊重すべきだと、それは最低限のルールだと、私は思うんですが。


毎日新聞取材班 毎日新聞社 2007年10月20日発行
コメント
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