伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

人は、永遠に輝く星にはなれない

2008-07-21 08:30:21 | 小説
 総合病院の医療ソーシャルワーカー猪口千夏の元に訪れる様々な患者・家族、特に譫妄で病院に送られてきた87歳の独居老人西原寛治との出会い、相談を通じて、高齢と病、失業などによる不幸と生活の悩みを描いた小説。
 突然の事故や病に襲われて途方に暮れ、生活に困る人々、高齢のため否応なく体が不自由になってくることへの受容と拒絶意識、客観的には恵まれているのに自らの不幸を嘆き続ける人、自らの努力で切り開こうとせずに愚痴ばかり言い続ける人、ソーシャルワーカーの元を訪れる様々な客観的・主観的問題を抱えた人々を描くことで、人がいつまでも自分の思い通りではいられないことを語っています。結局は、自分で自分の現状を受け容れ、現実の条件の下でできることをやっていくしかない、その答えに気付きたどり着くことの難しさがメインテーマだと思います。
 健康には問題のない独居老人をもう1人の主人公に据えることで、事故や病気にあわなくてもいつかは高齢のために自分の思い通りには行かなくなる、そのことにあなたは向き合えますか、と問うているわけです。そして、それをケースワーカーの目から見ることで、自分の家族にそういう日が来ることへの覚悟も。
 ソーシャルワーカーの生き様のストーリーにはなっていますが、結局はそこよりも人生の末期への受け容れの覚悟が問われて、小説を読んだ気がしない重い読後感を持ちました。


山田宗樹 小学館 2008年6月22日発行
コメント
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