子どもの頃ベランダから飛んで右足が重くなる発作の後遺症を持つイラストレーター瀬川彩夏と15歳年上の広告代理店勤務の大貫さん、自損事故で視力と恋人を失った舞子と同乗していた舞子の恋人の友人恭一の2組のカップルが、彩夏が舞子に絵のモデルを頼んだことから絡んでいく恋人たちの日々を綴った小説。
2組のカップルの絆は緩やかで(どちらも結婚は予定していない)揺らぐように見えて揺らがない、それぞれの中で絆を確かめ深めていく様子が、1話ごとに彩夏と恭一の視点で語られていきます。
絵画とグルメっぽい小洒落た優雅な生活に、時折不安を感じつつも今の生活を肯定的にかみしめていく、安心感のあるお話です。長くこんな洒落た関係が続けられるかという疑いと羨望がおおかたの読後感になるでしょうけど。
作品を通じる感覚が、マチスの絵を題材にしているように、カラフルでぺったりとした色彩で、それが楽しそうに見えます。私はマチスって昔から苦手なんです(はっきり言って巧くない絵は苦手です)が、美術としてでなく生活のシンボルないしアナロジーとしてはいいのかもなんて思ってしまいました。
野中柊 講談社 2008年5月27日発行
2組のカップルの絆は緩やかで(どちらも結婚は予定していない)揺らぐように見えて揺らがない、それぞれの中で絆を確かめ深めていく様子が、1話ごとに彩夏と恭一の視点で語られていきます。
絵画とグルメっぽい小洒落た優雅な生活に、時折不安を感じつつも今の生活を肯定的にかみしめていく、安心感のあるお話です。長くこんな洒落た関係が続けられるかという疑いと羨望がおおかたの読後感になるでしょうけど。
作品を通じる感覚が、マチスの絵を題材にしているように、カラフルでぺったりとした色彩で、それが楽しそうに見えます。私はマチスって昔から苦手なんです(はっきり言って巧くない絵は苦手です)が、美術としてでなく生活のシンボルないしアナロジーとしてはいいのかもなんて思ってしまいました。
野中柊 講談社 2008年5月27日発行