伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ハリー・ポッターと死の秘宝 上下

2008-07-26 16:47:23 | 物語・ファンタジー・SF
 ベストセラーファンタジーとなったハリー・ポッターシリーズの完結編。
 6巻で近年最強の闇の魔法使いヴォルデモートを倒すためには7つの分霊箱を破壊した上でヴォルデモート自身を倒さねばならないと知ったハリー・ポッターが親友のハーマイオニー及びロンとともに分霊箱を探し求めながら、ダンブルドア校長の遺言から知った死の秘宝の謎を解き、ハリーがヴォルデモートとの最終対決に臨むというストーリーです。
 原書で読んだとき一番わからなくて自分の英語読解力を怪しんだ35章は、日本語版でも今ひとつ本当はどこなのか、なぜ「キングズ・クロス」なのか、ハリーの夢なのか、はっきりしない感じがします。ダンブルドアがハリーに僕は死んでいる?と聞かれたときの答の「全体としてみれば、ハリーよ、わしは違うと思うぞ。」って、またあいまい。ハリーとダンブルドアがどこかの「場所」で出会って語り合うのではなく、ダンブルドアが(絵の中からスネイプに語りかけることができるのと同様に)ハリーの頭の中に語りかけているということなんでしょうねと、読み返して理解しました。読み違いかもしれませんが。
 語学力の関係で、日本語版での方が、友人たちを失ったときのハリーの哀しみを共感できた感じがしますし、ハーマイオニーへの愛しさ(ハリーが思っているということでなく読者としての私が感じる)、ルーナのとぼけた暖かみ、ネビルのたくましさがより強く感じられました。
 主要言語のほとんどで2007年のうちに発売されていることを考えれば信じられないほど遅い発売ではありますが、日本語版の存在はやはりありがたいと思いました。


J.K.ローリング 静山社 2008年7月23日発行
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あたらしい図鑑

2008-07-26 14:30:55 | 小説
 13歳の野球少年が、足を捻挫してついでに扁平足を直すために病院に通ううちに知り合った老詩人との交流を通じて、思春期の性と人間関係に目覚めていく青春小説。
 少年が老詩人のことを調べるために行った図書館で出会った少女に一目惚れして、そこから内向的に性に目覚めていく過程と、老詩人とのつきあいで言葉にならない感情を「図鑑」化することで人間の気持ちの機微に触れ、また大人・老人への理解を深めていく過程が並行し最後に重なり合う形になっています。
 登場させる大人を、老人でありながら巨漢の詩人という型破りな設定にすることで、説教臭さを避け少年の心に入りやすくしているところがポイントでしょう。比較的素直な友だちと絡ませることで、主人公の気持ちを少しひねた部分を作りながらもあまり外さずに素直な方向に戻していて、親世代には安心な読み物です。


長薗安浩 ゴブリン書房 2008年6月10日発行
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