伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

体育座りで空を見上げて

2008-08-08 10:00:48 | 小説
 そこそこ人づきあいはでき勉強もできないわけではないが好きでもない女子中学生和光妙子の中学時代3年間の生活を描いた青春小説。
 この主人公、教師や友だちとは、時折対立することはあるものの適当につきあっていけるのですが、親にはささいなことや何の理由もなくキレて当たり散らす親から見たらものすごくジコチュウでいやな奴。
 内容は何でもない中学生活のあれこれを描いていて、主人公は成長したようなしていないような。強いて言えばクラス替えやまわりの人物の入れ替わりで主人公の立ち居振る舞いや人間関係が割りと大きく変わることが印象的という程度。
 普通中学3年間のことを書いたら狙う読者層は中学生とか高校生だろうと思いますが、どうみても中高年をターゲットにしてるとしか思えません。作者が70年生まれだから別の時代を書けなかっただけかもしれませんが、出てくる音楽やできごとがすべて80年代前半。いまどきの中高生ならとてもついて行けない世界にこもっています。ということは、中学生の親向けに、あなたに理不尽にキレまくってる子どもも学校や友達の前では普通の子どもなんですよ、そういう面も見てやってねとかいうメッセージなんでしょうか。そういう感じもしませんでしたが。
 どうでもいいんですが、ネーナが脇毛を剃らないって文句言ってるの(79~80頁)、こういう文句付ける人って大ヒットした「ロックバルーンは99」が反戦歌だって知らずに口ずさんでいたんでしょうね。若い人にはおよそ何のことかもわからない話題ですが・・・


椰月美智子 幻冬舎 2008年5月25日発行
コメント (3)
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さようなら窓

2008-08-08 00:45:45 | 小説
 寂しがり屋で人見知りする働けない、でも家事も巧くない大学休学中の女子大生築と、家出した築が転んだところに手を差しのべたことから同棲する流れになった美容師の祐亮のカップルに適当に人を絡ませた短編連作集。
 特に取り柄もなく性格もよくないダメな女が自己嫌悪に陥ると優しい男が無理しなくていいよって言って包容してくれるというパターンがずっと続きます。まぁこういうのを読んで癒される需要があるからこういう話があるのでしょうし、そういう話があっていいんですが、なんか最近そういうの多すぎません?それで自分も生きていけるって勇気づけられるのならいいですが、今の私でいいのって向上心持たなくていいよって方向に進みそうで、いいのかなぁって思います。むかしあった「小さな恋の物語」のより高年齢向けって感じがしました。
 でもさすがに「an・an」連載でそれじゃまずいかって思ったのか、最終話で突然、祐亮が僕が無理しなくていいよって言い過ぎて築をダメにしたかもしれないなんて自立志向が出てきます。最後だけ浮いてる感じもするけど、最後にようやく成長の兆しが見えてホッとします。


東直子 マガジンハウス 2008年3月21日発行
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