伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

なぜあの上司は虫が好かないか ヒトを操るフェロモンの力

2008-08-09 01:16:57 | 自然科学・工学系
 フェロモンについての解説書。
 フェロモンは昆虫について研究が進んでいて、昆虫については、動物個体から放出され同種他個体に特異的な反応を引き起こす化学物質と定義されているそうです。マウスでの研究ではフェロモン情報は扁桃体・視床下部には伝わるが大脳皮質には伝わらず、人間も同じだとすれば、認識できないが本能に直接働きかけて行動を左右するということになるそうです。それってちょっと怖い。
 しかし、人間についてはフェロモンはまだ特定されておらず、わかっていることはかなり少ないとのこと。人間についてはっきり観察されるフェロモン効果は寄宿舎効果といわれる女性が多数共同生活していると月経周期が同じになってくること(42頁)くらいだとか。
 その上で仮説として、なぜか虫が好かないというような人間関係はフェロモンによる可能性があるとか、年頃の娘が父親を嫌うのは妊娠可能な状態の女性が遺伝子が近い男性を避けるためのフェロモン効果ではないか(180~185頁)とか、ヨーロッパではフェロモンを感知するために接触の強い挨拶習慣ができたが湿度の高い日本や東南アジアでは離れていてもフェロモンが伝わるので非接触的な挨拶習慣ができたのではないか(164~167頁)とかいうことが書かれています。
 全体にまだ研究が進んでいないため、あいまいな推測が多いですが、娯楽半分の勉強としてはいいかなというところです。


市川眞澄 小学館 2008年5月19日発行
コメント
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