伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

トワイライト4~6

2009-03-03 00:59:06 | 物語・ファンタジー・SF
 2009年2月25日の記事で紹介したトワイライト1~3の続編。
 1巻で相思相愛、それもさして取り柄もない少女ベラが超美形男(ただし吸血鬼)エドワードに君なしでは生きていけないとまで思われているというところまで進めてしまった恋愛小説を、どうやって間をもたせながら続けていくのかという作者の苦しみが見える第2巻です。
 原作第2巻の“New Moon”が日本語版ではやはり3冊に分けられて「4.牙は甘くささやく」「5.狼の月」「6.嘆きの堕天使」になっています。で、日本語版1~3の時と同様、4巻のはじめのプロローグが6巻の半ばにつながっているという相変わらずの読者に不親切な不自然な構成です。
 ストーリーは、原作1巻でハッピーエンドを迎え相思相愛が確認されたベラとエドワードですが、ベラの18歳の誕生日のパーティーでベラが紙で指を切って血のにおいがしたのを吸血鬼一家の末弟ジャスパーが耐えきれず、ベラを守ろうとしたエドワードと衝突、その後吸血鬼一家はフォークスを去り、抜け殻のようになったベラが嘆き続け、危険が発生するとエドワードの声が頭の中で聞こえることに気付き危険を発生させるために原作第1巻でエドワードの情報を聞き出すために誘惑したキラユーテ族の青年ジェイコブにバイクの修理を頼んでバイクの乗り方を教わるうちにジェイコブに惹かれるが、ジェイコブがその気になると踏み切れずという態度をとり続け、ジェイコブが連絡しなくなると気になり、そのうちにジェイコブは狼男になり吸血鬼一族と対立し、ベラはまたエドワードの声を聞こうと崖から海にジャンプし、ジェイコブに救われながら、そのジャンプを自殺と勘違いした吸血鬼一族が潜伏中のエドワードにベラが自殺したと伝えて希望を失ったエドワードがイタリアで自殺を図ろうとしていると聞くやジェイコブを振り捨ててエドワードの元へ・・・という展開。
 エドワードは前半中盤不在で読者に飢餓感を与えた上で、終盤にまた登場することで存在感をアピール。それでエドワードが、やっぱりベラなしでは生きていけないとベタ惚れに愛を告白して結局1巻の終わりの状態に戻るというしくみ。冒険物ファンタジーなら英雄が不在が続き復活というパターン(「指輪物語」のガンダルフとか)もありですが、恋愛物でもそういうのありだったか、というアイディアとはいえますが。
 でも、ここまで来ても、ほとんど取り柄のないベラがなぜ超美形の吸血鬼エドワードにぞっこん惚れ込まれるのか何の説明もなく、さらに原作2巻では狼男青年となったジェイコブにも好かれて奪い合いの展開。ベラにはエドワードの他人の考えを読む超能力だけでなく、より強力な吸血鬼の超能力も通じないということになりましたが、それも説明なし。ベラが危険になると頭の中でエドワードの声がしたことも説明なし(エドワードが伝えていたとすると、ベラが自殺したと誤解したことを説明できなくなるからでしょうけど)。原作3巻か4巻で説明されるのかも知れませんが、原作2巻まで読む限りでは、「ファンタジーなんだからいいじゃないの」みたいな作りの甘さと感じてしまいます。
 ベラの身勝手さと、それでも訳もなく超美形男に愛を告白されてすべてが許されるという展開も、ベラに感情移入して読める人にはいいのでしょうけど、あんまり納得できない感じがしました。


原題:NEW MOON
ステファニー・メイヤー 訳:小原亜美
ヴィレッジブックス
4.牙は甘くささやく:2006年11月30日発行
5.狼の月:2006年12月10日発行
6.嘆きの堕天使:2006年12月20日発行
(原書も2006年)
コメント
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