アイルランドの村に住む音楽家一家の少年JJ・リディが、リディ家にまつわる過去の謎と人々が時間が足りなくなったという悩みを、環状砦を通じて行き来できる妖精の国に行って妖精の国で見つけた先祖たちとともに解決するというファンタジー。
パラレルワールドが目に見えない膜を隔ててつながっていて、やり方を知っていればそれを切り開いて行き来でき、その1つがふさがれていないために、2つの世界の間で何かが漏れ出すという設定は、日本語版では「ライラの冒険」と名付けられているフィリップ・プルマンの“His Dark Materials”を思い起こします。漏れ出すのが物質やエネルギーではなく、「時間」だというのがユニークですけど。
そして「時間」が足りなくなって行くという設定は、もちろん、ミヒャエル・エンデの「モモ」を思い起こさせますが、「モモ」のような堅めのテーマではなく、個人的陰謀とその謎解きの軽めのお話になっています。
アイルランドの伝統・民族音楽や踊り好きの人々と教会との文化的対立という背景というかテーマは読み取れますが。
時間が進行していなかった、従って誰も歳をとらず計画などせずに音楽に興じていればよかった妖精の国というパラレルワールドは、憧れの地なのか、そのあたりは生き方の問題として考えさせられるところです。
原題:THE NEW POLICEMAN
ケイト・トンプソン 訳:渡辺庸子
東京創元社 2006年11月20日発行 (原書は2005年)
ガーディアン賞、ウィットブレッド賞
パラレルワールドが目に見えない膜を隔ててつながっていて、やり方を知っていればそれを切り開いて行き来でき、その1つがふさがれていないために、2つの世界の間で何かが漏れ出すという設定は、日本語版では「ライラの冒険」と名付けられているフィリップ・プルマンの“His Dark Materials”を思い起こします。漏れ出すのが物質やエネルギーではなく、「時間」だというのがユニークですけど。
そして「時間」が足りなくなって行くという設定は、もちろん、ミヒャエル・エンデの「モモ」を思い起こさせますが、「モモ」のような堅めのテーマではなく、個人的陰謀とその謎解きの軽めのお話になっています。
アイルランドの伝統・民族音楽や踊り好きの人々と教会との文化的対立という背景というかテーマは読み取れますが。
時間が進行していなかった、従って誰も歳をとらず計画などせずに音楽に興じていればよかった妖精の国というパラレルワールドは、憧れの地なのか、そのあたりは生き方の問題として考えさせられるところです。
原題:THE NEW POLICEMAN
ケイト・トンプソン 訳:渡辺庸子
東京創元社 2006年11月20日発行 (原書は2005年)
ガーディアン賞、ウィットブレッド賞