1巻から時間が経ち、少年だったJJ・リディが父親となり有名な音楽家となってアイルランドの田舎に住みながら世界を駆けめぐり、その子どもたちが、近くの塚の上で塚を守っている幽霊、大王(部族長)を名乗る老人ミッキー、山羊の姿をした怪物(神獣?)プーカらと付き合いながら、妖精とプーカととろりん族(人間のこと)の対立に巻き込まれ、解決していくファンタジー。
このお話では、時間のない国や妖精は、1つのキーポイントやエピソードにはなっているものの、メインストーリーにはあまり出て来ず、サイドストーリー的な位置づけです。お話のほとんどは「とろりん族」こと人間の世界で進みます。そして1巻ではあまり前面に出なかった、人間たちの環境破壊などの哲学的社会的な問いかけがテーマとして登場します。
主人公と思われたJJが次第に脇役化し、あまり偉くない頼りない弱さのある人間として描かれ(その分憎めないともいえます)、困ったちゃんだったジェニーが精神的な成長を勝ち得ていく変化に読み応えを感じます。
重要な役回りをするプーカの正体が、結局何者なのか今ひとつわからず、プーカが妖精の世界(時間のない国)にいきなり手だけ突っ込んで樹を持ってきたり、それ以外のパラレルワールドを自由に行き来できることの説明もありません。
登場するのが、怪物も含めて、みんな憎めないので何となくほんわかした気分で読み終われていいのですが。
原題:THE LAST OF THE HIGH KINGS
ケイト・トンプソン 訳:渡辺庸子
東京創元社 2008年12月25日発行 (原書は2007年)
このお話では、時間のない国や妖精は、1つのキーポイントやエピソードにはなっているものの、メインストーリーにはあまり出て来ず、サイドストーリー的な位置づけです。お話のほとんどは「とろりん族」こと人間の世界で進みます。そして1巻ではあまり前面に出なかった、人間たちの環境破壊などの哲学的社会的な問いかけがテーマとして登場します。
主人公と思われたJJが次第に脇役化し、あまり偉くない頼りない弱さのある人間として描かれ(その分憎めないともいえます)、困ったちゃんだったジェニーが精神的な成長を勝ち得ていく変化に読み応えを感じます。
重要な役回りをするプーカの正体が、結局何者なのか今ひとつわからず、プーカが妖精の世界(時間のない国)にいきなり手だけ突っ込んで樹を持ってきたり、それ以外のパラレルワールドを自由に行き来できることの説明もありません。
登場するのが、怪物も含めて、みんな憎めないので何となくほんわかした気分で読み終われていいのですが。
原題:THE LAST OF THE HIGH KINGS
ケイト・トンプソン 訳:渡辺庸子
東京創元社 2008年12月25日発行 (原書は2007年)