伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

碧空の果てに

2009-11-08 23:33:34 | 小説
 大陸の盆地にある平原に分立する小国の均衡が西方の大国アインスの侵略に脅かされている状況の下で、東北の小国ユイの王女メイリンが17歳の誕生日を前に馬を駆って国を出奔し、アインスに屈せずにいる選挙で首長を選ぶ自由の国シーハンを訪れ、機知に富むが冷徹な首長ターリの下で従者としてターリを支えながらターリを励まし民衆と心を通わせ明るさを取り戻させつつともにシーハンの野望を押し戻し、メイリンはシーハンで生きる場所を見出していくというファンタジー。
 設定とか固有名詞とかに「守り人シリーズ」の影響を、私は感じました。
 ストーリーでは、メイリンが助けたロロの兄で議員のフェイエとターリとメイリンの三角関係、メイリンを慕うロロとの関係といった人間関係ドラマとしての側面と、シーハンの侵略を狙うアインスの王やそれと通じるシーハンの勢力に対するターリの分析と戦略、そこで意見を戦わせるメイリンやフェイエという政治ドラマの側面があり、いずれの面でもそれなりに楽しめます。
 怪力の馬使いというメイリンの設定と車いすの首長というターリの設定、高い能力と意欲を持つメイリンの生き様という面、背景として問題提起され続けた女性の参政権というテーマから女性解放ドラマとしても読めます。


濱野京子 角川書店 2009年5月30日発行
コメント
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