昭和30年の山口県の地方都市を舞台に9歳の新子が大好きな祖父や妹、祖母、母、滅多に帰ってこない父ら家族に囲まれながら、友人たちと繰り広げる小さな冒険や日常を描いた小説。
「クロワッサン」連載で、続いている部分と読み切り短編とが混在した感じ。
子どもの視点での大人や社会への不思議な思いと成長を描いていますが、どちらかと言えば大人にノスタルジーを感じさせる作品です。
作者は、あとがきで、日本版「赤毛のアン」を目指したと言っていますが、どちらかと言えば前半はむしろ昭和30年版「ちびまる子ちゃん」と言った方がしっくりする感じがしました。後半は祖父が寝込んだままで重くなるので印象が変わりますが。
私は、この作者は、司法修習中に、芥川賞を取った「光抱く友よ」を読んで以来です。当時は、「弁護士の妻が芥川賞を取った」という業界的関心で、読まなくちゃと思い、読みました。話はもう覚えていませんが、主人公2人のうち1人が、アフリカで飢餓で死ぬ子供たちがたくさんいるのにそれを救わずに多額の金を注ぎ込んでロケットを研究するという問題意識を持ちながら、それでいいんだとあっさり肯定するくだりに違和感を持ち、その後読んでいませんでした。元大地主の娘の設定のこの作品を読んで、ついそういうルーツにつながるものがあるのかなと思ってしまいました。
高樹のぶ子 マガジンハウス 2004年9月30日発行
「クロワッサン」連載で、続いている部分と読み切り短編とが混在した感じ。
子どもの視点での大人や社会への不思議な思いと成長を描いていますが、どちらかと言えば大人にノスタルジーを感じさせる作品です。
作者は、あとがきで、日本版「赤毛のアン」を目指したと言っていますが、どちらかと言えば前半はむしろ昭和30年版「ちびまる子ちゃん」と言った方がしっくりする感じがしました。後半は祖父が寝込んだままで重くなるので印象が変わりますが。
私は、この作者は、司法修習中に、芥川賞を取った「光抱く友よ」を読んで以来です。当時は、「弁護士の妻が芥川賞を取った」という業界的関心で、読まなくちゃと思い、読みました。話はもう覚えていませんが、主人公2人のうち1人が、アフリカで飢餓で死ぬ子供たちがたくさんいるのにそれを救わずに多額の金を注ぎ込んでロケットを研究するという問題意識を持ちながら、それでいいんだとあっさり肯定するくだりに違和感を持ち、その後読んでいませんでした。元大地主の娘の設定のこの作品を読んで、ついそういうルーツにつながるものがあるのかなと思ってしまいました。
高樹のぶ子 マガジンハウス 2004年9月30日発行