伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

錯誤配置

2009-11-01 00:58:03 | 小説
 精神科医でミステリー作家の主人公藍霄が、カフェで騒ぎを起こした精神病患者から、7年前に起きて迷宮入りしている女子学生殺人事件の犯行を告白した上で藍霄も関係しているなどという謎の電子メールを受け取り、その後その人物が殺害されたことから事件に巻き込まれ、友人の医師秦博士がその謎を解くという設定のミステリー。
 7年前の事件は密室殺人もので、その謎解きと、電子メールの作成者の謎と直近の殺人の謎を絡めたものですが、謎解き・どんでん返しというミステリーの醍醐味としては、ちょっと中途半端。
 犯人は確かに予想外ですし、最後にどんでん返しも用意はしてあるのですが、疑われているのが主人公で、探偵の友人ということですから、語り手自身が犯人という掟破りをしない限りは、7年前の殺人の設定がほころびていることが明らかでそこから密室ものとしてのほころびが見え犯人の特定はできなくてもおおよその方向性が見えてしまうこと、そして最後にもうひとひねりはありますが、ある意味そこは犯人はどっちでもいい感じで、やられたという感じになりません。それはそれとして一つのスタイルではありましょうし、トリック自体はよく考えられているのですが、謎解き情報の出し方にもう少しためが欲しかったなぁという感じです。


原題:錯置體
藍霄 訳:玉田誠
講談社 2009年9月10日発行 (原書は2004年)
コメント
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