伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

プラスマイナスゼロ

2009-11-05 22:31:49 | 小説
 神奈川県の田舎町葉崎山高校に通う成績・運動能力・容姿・身長体重何から何まで全国標準の「歩く平均値」崎谷美咲と成績優秀品行方正のお嬢様だが信じがたいほど不運な天知百合子(テンコ)と不幸な家庭環境に育った極悪腕力娘黒岩有理(ユーリ)の3人が、高校生活の中で巻き込まれる事件を描く短編ミステリー連作。
 基本的には、ミステリーとか謎解きよりも、次々とアクシデントに見舞われながら神は愛する者にこそ試練を与えるとのほほんとノーテンキしているテンコのお嬢様ぶりと、物事を度胸と腕力で解決したがるユーリのちょっと違ったノーテンキさの、キャラというか掛け合いのギャグで読ませる小説というべきでしょう。タイトルの「プラスマイナスゼロ」は、その3人トリオの両極端と平均値ぶりを示すもの。美咲がゼロなのは明らかですが、テンコとユーリはどっちがプラスでどっちがマイナスだか。
 連作のほとんどは美咲が語り手ですが、1つだけ美咲が語り手に見せて別人物が「わたし」だったというトリッキーな短編が入っています。もちろん、作者が意図したのでしょうけど、ちょっと戸惑いました。


若竹七海 ジャイブ 2008年12月13日発行
コメント (1)
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