伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

まっすぐ進め

2009-11-23 17:50:53 | 小説
 童顔の会社員川端直幸が、元同僚の友人黒岩正一、その恋人の太田千草、千草の同僚で偶然直幸が書店で見初めた高野秋に囲まれながら、出会った小さな謎を解いていくミステリー仕立ての短編連作青春小説。
 秋の左手にはめられた2つのBaby-Gの謎、居酒屋で隣のテーブルにいたカップルが同じワインを2本頼みそれぞれのボトルから飲んでいる理由、バックルを接着剤で固めたリュックをしょってショッピングセンターで迷子になっていた少女の謎、中学生の時に死んだ千草の父が千草の婚約者となる男のために遺した傘の意味、秋の妹が5年前に取った行動の謎といったものを、直幸が行為者の心理だけから解いていくというスタイル。
 最初の1話は、直幸が書店で見かけた美人の印象を追っていたところが千草の同僚とわかり、という展開が、かつて柴門ふみが得意とした社会人恋愛ストーリーっぽく感じられましたが、その後の展開は恋愛の機微や駆け引きからは離れていきます。一応、直幸と秋、正一と千草の恋愛は順調に進み深まっては行くのですが。そういう意味で社会人恋愛小説としても、比較的微笑ましく読めますが、そう読むには直幸の謎解きが前に出すぎている感じもして、ちょっと中途半端な感じが残ります。


石持浅海 講談社 2009年5月28日発行
コメント
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