伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

バレエ・メカニック

2009-11-21 21:44:59 | 物語・ファンタジー・SF
 スケッチに夢中で7歳の娘理沙が海岸で戯れているのに気づかず溺れて心停止し植物状態となった娘を生かすために作品を生み出し続け医療費に注ぎ込んでいく前衛芸術家木根原魁と、理沙の主治医で心では女性または両性具有の脳外科医龍神好実が、東京が理沙の心象風景と一体化した「理沙パニック」を経験する第1章、木根原が実在を否定された「理沙パニック」の証拠を求め歩く第2章、よりサイボーグ化、バーチャル・リアリティ化の進んだ近未来においてバーチャル化した理沙を抹殺しようと龍神がさすらう第3章からなるSF。
 幼い頃に読み聞かされた5人兄弟の物語と「ミツバチ・マーヤの冒険」と前衛芸術からなる理沙の記憶に東京が襲われる第1章は、SFとしてまだ私にも読めますが、その後、この種のパターンにありがちな展開の「不思議の国のアリス」を下敷きにし、コンピュータテクノロジーの発展とサイボーグ化を持ち込みという展開で、私にはついて行けなくなりました。サイボーグ化・電脳化の好きな人には発展かもしれませんが、私には第1章で止めておいた方がよかったように思えます。


津原泰水 早川書房 2009年9月15日発行
コメント
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