伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

公務員のためのクレーム対応マニュアル

2009-11-20 22:20:20 | 実用書・ビジネス書
 主として地方自治体の窓口職員とその上司向けの住民からの苦情申し出に対する対応マニュアル本。
 申し出に対しては、基本的にお客様意識でよく話を聞き誠意を持って対応するという趣旨が繰り返されていますし、クレームは住民の生の声で、要望・意見・提案を含むものとして傾聴すべきとしています。木で鼻をくくったような対応や迷惑意識での対応をしないようにということも書かれています。その意味で、あまりお役所的な対応をするなという部分もあります。
 しかし、同時に、安易な妥協・例外的取扱は禁物で、できないことはあくまでも拒絶し、相手に理解を促すということが基本になっています。
 つまり、結論としては役所の立場を貫くが、その際に態度・姿勢は反感を持たれないように丁寧に誠意を見せよう、と読めます。
 他方、クレーム例を見ていると、こういうこと言われても窓口職員は困るよなぁと、同情したくなるものも少なくありません。役所の側の態度だけじゃなく対応そのものに問題があるケースはあまり紹介されていません(役所向けの本ですから)ので、その分割り引いてというか追加して読む必要があるかと思いますが、双方でいろいろ考えさせられました。


関根健夫 ぎょうせい 2009年8月15日発行
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宵月閑話 はかなき世界に最期の歌を

2009-11-20 21:45:54 | 物語・ファンタジー・SF
 神社の総領だった祖母の奇怪な死に納得できない中2の少女宮内麻里が、その謎の解明を「閻魔王宮の臣」小野篁の末裔の青年小野閑に依頼する、和風歴史怨念ファンタジー。
 家臣として小野家・小野閑に絶対の忠誠を誓うメイド服姿の中2の少女仁希を設定し、メイド服姿の仁希と麻里を表紙イラストにしてオタク狙いが見え見えですが、中身はオカルト怨霊呪い系です。
 織田信長と雑賀衆の権力闘争の中で息子と自らの命を奪われた者と、戦時体制下の弾圧で夫と息子の命を奪われた者の、権力者の弾圧への怨みを、無差別殺戮に向けた挙げ句に、その呪いを単純な悪として解くことで終わらせる筋立ては、独裁権力による弾圧の被害者・権力と戦おうとする者を嘲笑するようでもあり、少なくとも反権力の抵抗者への視線の冷たさを感じます。
 死者の霊が見える弁護士が登場して、閑と仁希にこき使われる姿は、同業者として見るに忍びないですが、犯罪者を法廷に引っ張り出すのが「判事の役目」(136ページ)って、なんとかして欲しいなと思いました。起訴するのは検事の役目なんですけど。


佐々原史緒 徳間書店 2009年4月30日発行
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