近年の死刑判決の事件について法廷傍聴してきた著者が死刑言い渡しの際の被告人の状況や審理中の被告人や裁判官の様子、判決理由などをレポートした本。時節柄、半分以上はオウム真理教関連です。
個別には新聞報道でも書かれていることが多いですが、まとめて読むと、死刑を受け止めるそれぞれの被告人の態度の相違や遺族の様子など、考えさせられます。
ジャーナリストが書いたものとしては、地下鉄サリン事件の現場指揮者井上嘉浩について「法廷で見た井上を一言で言えば“イヤな奴"だった」(153ページ)とか、好き嫌いというか思い入れが出ています。
ただ、その論調は、直接には死者が1人も出なかった路線の地下鉄サリン事件実行犯横山真人の死刑について疑問を呈する以外は、結局のところ裁判所の判断、それも上級審の判断に沿っていて、お上の尻馬に乗っているようにも思えるのですが。
そして著者が自分自身感情的な書き方をしながら、他方において裁判員は感情に流されやすいから検察側のわかりやすい立証で死刑が量産されるとか、逆に劇場型の立証で裁判員の心をつかむ「優秀な」報酬の高い弁護士が登場するとか言っているのも、なんだかなぁと思います。

青沼陽一郎 文春新書 2009年7月20日発行
個別には新聞報道でも書かれていることが多いですが、まとめて読むと、死刑を受け止めるそれぞれの被告人の態度の相違や遺族の様子など、考えさせられます。
ジャーナリストが書いたものとしては、地下鉄サリン事件の現場指揮者井上嘉浩について「法廷で見た井上を一言で言えば“イヤな奴"だった」(153ページ)とか、好き嫌いというか思い入れが出ています。
ただ、その論調は、直接には死者が1人も出なかった路線の地下鉄サリン事件実行犯横山真人の死刑について疑問を呈する以外は、結局のところ裁判所の判断、それも上級審の判断に沿っていて、お上の尻馬に乗っているようにも思えるのですが。
そして著者が自分自身感情的な書き方をしながら、他方において裁判員は感情に流されやすいから検察側のわかりやすい立証で死刑が量産されるとか、逆に劇場型の立証で裁判員の心をつかむ「優秀な」報酬の高い弁護士が登場するとか言っているのも、なんだかなぁと思います。

青沼陽一郎 文春新書 2009年7月20日発行