国境を越えた経済の歴史を16世紀以降というスパンで解説した本。
「グローバル経済」というと、最近のいわゆる「グローバリズム」「グローバリゼーション」の枠組の中で捉えがちですが、この本では、それを16世紀から叙述し、18世紀までのアジアは自立した経済圏を持ちヨーロッパとの交易を必要としないアジア優位の時代であった(13ページ等)と描くことで、19世紀の西欧優位の世界をそのまま過去に投影して歴史を再構成させた西欧中心的な歴史観(4ページ)から脱却する試みを提起しています。そういった視点は有用だと思いますし、ルネサンス以前のイスラム社会の文化的優位の確認とともに私が学生の頃もすでに鄭和の遠征がヨーロッパの「大航海時代」より遥かに早く行われていたことが強調されるなど、アジアの復権・優位が語られていたことも思い出しますが、同時にそれが民族主義的な過剰なプライドと偏狭さにつながらないよう自戒しておく必要もありそうです。
16世紀からというスパンで見ると、日本は世界有数の銀産出国であった(54ページ)が、銀が次第に払底して1660年代に銀輸出が禁止され(59ページ)、18世紀半ば以降日本は市場としての国際的魅力を失った(60ページ)、しかし19世紀後半においても「鉱物資源にめぐまれていた日本」からは石炭がアジア市場に、銅が欧米市場に輸出された(147ページ)など、「資源小国」という近年の日本の自己規定とは違った姿も見えてきます。
現代に近づくにつれ、雑多な情報が未整理のままに書き連ねられ分析の視点がぼやけるきらいがありますが、過去の国際関係を捉え直すことで、歴史についての見方の幅を拡げる契機を与えてくれる読み物かなと思いました。

杉山伸也 岩波新書 2014年11月20日発行
「グローバル経済」というと、最近のいわゆる「グローバリズム」「グローバリゼーション」の枠組の中で捉えがちですが、この本では、それを16世紀から叙述し、18世紀までのアジアは自立した経済圏を持ちヨーロッパとの交易を必要としないアジア優位の時代であった(13ページ等)と描くことで、19世紀の西欧優位の世界をそのまま過去に投影して歴史を再構成させた西欧中心的な歴史観(4ページ)から脱却する試みを提起しています。そういった視点は有用だと思いますし、ルネサンス以前のイスラム社会の文化的優位の確認とともに私が学生の頃もすでに鄭和の遠征がヨーロッパの「大航海時代」より遥かに早く行われていたことが強調されるなど、アジアの復権・優位が語られていたことも思い出しますが、同時にそれが民族主義的な過剰なプライドと偏狭さにつながらないよう自戒しておく必要もありそうです。
16世紀からというスパンで見ると、日本は世界有数の銀産出国であった(54ページ)が、銀が次第に払底して1660年代に銀輸出が禁止され(59ページ)、18世紀半ば以降日本は市場としての国際的魅力を失った(60ページ)、しかし19世紀後半においても「鉱物資源にめぐまれていた日本」からは石炭がアジア市場に、銅が欧米市場に輸出された(147ページ)など、「資源小国」という近年の日本の自己規定とは違った姿も見えてきます。
現代に近づくにつれ、雑多な情報が未整理のままに書き連ねられ分析の視点がぼやけるきらいがありますが、過去の国際関係を捉え直すことで、歴史についての見方の幅を拡げる契機を与えてくれる読み物かなと思いました。

杉山伸也 岩波新書 2014年11月20日発行