伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

暴き屋

2015-03-21 22:56:11 | 小説
 悪党の悪事を暴きその秘密をネタに強請る裏稼業で贅沢三昧し多数の愛人との爛れた性生活を送る35歳の男瀬名が、急成長したゲームソフト会社の社長とその妻が自宅風呂場で惨殺された事件の真相を追うバイオレンス・サスペンス小説。
 7人の若い愛人と週1の関係を続けるというおじさんの妄想満開の設定に、いかにも「謎の女峰不二子」ふうの依光真寿美が絡むというあたりが、中高年男性読者にはお得感があるかも知れません。事件の展開はかなり荒唐無稽な印象で、娯楽小説だからという割り切りで読むべきでしょう。
 1999年の作品を加筆して再出版したとのことですが、2013年に出版するなら、原発は停止中にした方がいいと思いますし、ましてや福島第一原発が健在というのはあまりに無神経というか何も考えてないのかと思います。
 瀬名が殺人容疑で緊急逮捕された翌朝の警察官との会話で、23日間拘束できると言われたのに対して「刑事訴訟法203条だったな、確か」「ただし、条件がついてたな。勾留請求してから、10日以内には起訴しなければならない。起訴に持ち込めない場合は、いったん被疑者を釈放することが義務づけられてるはずだ」(135~136ページ)というのはいただけません。「23日間」の根拠を言うなら203条の48時間と205条の24時間、208条1項の10日間と208条2項の10日間を合わせて23日間になるわけで、203条だけなら48時間です。それに、208条1項は確かに「勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は直ちに被疑者を釈放しなければならない」と定めていますが、そのすぐ後の208条2項に勾留延長の規定があって、10日以内に控訴提起できない時はふつう勾留延長請求します。そうでないと23日間にならないわけですから、ふつうそこで気がつくはずですが。こういう半可通の知識のひけらかしは、その場で警察官にやり込められて終わることになり、かえって挫折感が生じるというのがふつうの展開だろうと思います。刑事訴訟法の条文まで引用するなら、きちんと調べて書いて欲しいなと思います。


南英男 廣済堂文庫 2013年11月1日発行 (徳間文庫で1999年12月に出版されたものの新装版)
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