伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

建築士音無薫子の設計ノート あなたの人生、リノベーションします。

2017-08-20 00:49:19 | 小説
 鋭い観察力と建築物の来歴への執念深い調査に基づいて依頼者自身も気づいていない本当のニーズを発掘して住み手の悩みを解決する建築士音無薫子のシリーズ第2弾。
 前作が、特に後半は、音無建築事務所とインターン今西対建築アトリエフルールとエリート学生井藤、今西の元カノ喜多村伶の対立を軸に進めたのを、4作中3作では封印気味に、妻に去られた夫、犬と暮らす子どものない老夫婦、類似の店舗の開業を希望する隣り合った2軒の主婦といった依頼者の格別の事情で展開していますが、最後の第4話(Note04)でフルールの危機→フルールの誕生秘話を語っています。
 最後にライバルの秘密と過去を書いてしまい、もうフルールとの対立という材料は使えなくなったことからすると、シリーズは終了ということでしょうか。そっちの方は、ある意味ありがちな落としどころで、今ひとつでしたが、建築物に現れる依頼者も気づいていない本当のニーズという着眼はよく、そちらで続けてもらいたい気がします。


逢上央士 宝島社文庫 2017年2月21日発行
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建築士音無薫子の設計ノート 謎あり物件、リノベーションします。

2017-08-20 00:22:07 | 小説
 寝起きの悪い年若い女性の設計士音無薫子と事務処理能力抜群のイケメンスタッフ月見里一からなる音無建築事務所にインターンとして迎え入れられた学生今西中が、以前のインターン先の人気建築アトリエ「Fleur(フルール)」とフルールのインターンで今西の元カノの学生喜多村伶と張り合いながら、建物の現状と過去の来歴を調査して依頼者自身も気づいていない本当のニーズを探り出して改装等によって住み手の悩みや問題を解決(リノベーション)するという音無薫子の活躍を目の当たりにしながら、見失っていた建築の道へのモチベーションを取り戻し成長するという短編連作小説。
 音無薫子の観察力と洞察力、建築物の来歴調査への執念、(あえて常識を外した)着想力を見せどころに、かつてフルールに所属しながら挫折した今西と、フルールのエリート建築士やフルールで頭角を現すエリート学生井藤との対立/確執、元カノでライバル的な位置づけとなる喜多村伶への未練などでストーリーを展開しています。
 依頼者の自分も気づかないニーズの発掘という幾分ミステリー仕立ての設定が売りですが、最初はその発掘/解明が音無薫子の鋭い観察力によっていたのが次第に調査の方にシフトしていくのは、現実的/実務的解決というべきか、観察力で解明するネタの限界か・・・


逢上央士 宝島社文庫 2015年12月18日発行
 
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