伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

愛を振り込む

2017-08-19 00:03:04 | 小説
 服でも文房具でも男でも他人のものが欲しくなり同じものを購入したり略奪することに血道を上げその結果周囲から孤立するみず帆、独りよがりでできると思った仕事を求めて転職しまったく通じなかったことにショックを受け専業主婦になりうつうつとスーパーのパート店員に苦情を書き続けて憂さ晴らしをする思歩子、カフェ経営に失敗し失意の浪人中に好みとは正反対のむさ苦しいつけ麺屋失敗男といつの間にか意気投合して新規事業を夢見る絹代、売れない元アイドルで芸能活動の傍ら愛人として囲われていたが寄る年波に勝てず追い出されて廃業し高校生のときに憧れていた東大生の元家庭教師を追う頼子、勤務先の備品を持ち出してオークションで売り飛ばしネットの掲示板で売春し食費を極限まで切り詰めて貯金にいそしむ玲加、容貌の醜さに悩みかつてホストにむしられて横領を重ね今は弁当工場に勤めて極貧の状況をブログに書く男に更新の都度千円札を振り込むことでようやく自分を保っている穂乃花の無関係な6人が、札幌でくしゃくしゃになった赤い指紋付きの千円札で結ばれる短編連作。
 「女による女のためのR-18文学賞」受賞作ということもあり、女性主人公の屈折ぶりや性欲についての赤裸々な書きぶりが読みどころかと思います。


蛭田亜紗子 幻冬舎文庫 2017年2月10日発行(単行本は2013年10月)
コメント (2)
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