伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

精神医学エッセンス[第2版補正版]

2020-10-26 00:02:24 | 自然科学・工学系
 精神医学の教科書。
 大学の教養課程で使用する教科書という感じで、様々なことをひととおり、簡潔に説明しています。説明が簡潔なのが、一見さらっと読めそうな印象も与えつつ、しかし門外漢には、概念が必ずしも理解できていない(いかにも専門用語ということでない言葉でも、ここで使っている意味は必ずしも世間で理解されている意味でもなさそうだったりして)ために、かえって文章が頭の中を滑り通り抜けていく感じで、読んでも自分のものにできていない感じが強く残りました。特に前の方で35ページを割いて書かれている精神医学の歴史は、必ずしもよくわからない概念と名前の羅列で、1人で読み続けるのはなかなか辛い印象です。
 ページ横の注の大部分は人名ですが、文学作品の引用も所々あり、門外漢を少しホッとさせてくれるのですが、著者の好みで引用しているのでしょう。今ひとつ、なぜここでこれが引用されているのかわからないものも多く、専門の概念以上に首をひねってしまうこともあります。やっぱり、読み流すのに気になって落ち着かない…
 Ⅱ(54ページ~)の「いろいろな症状」、さらにⅢ(85ページ~)の「いろいろな病気」あたりからが、一般読者が想定する精神医学の教科書らしいところで、精神疾患の分類や捉え方の最近の変化、検査と治療の概要が読み取れ、勉強になりました(先述の通り、私がどこまで理解できたかは怪しいところですが)。
 「わが国で年間2万数千人の自殺があり、その大半(70~80%)が何かしらの精神障害に関わる」(121ページ)という記述に、ハッとし、考えさせられました。自殺のそんなにも多くが精神障害に起因するのか、貧しさや虐待で追いつめられての自殺はどう位置づけられるのか、その場合でもその苦しみに精神を病むということなのか、他方で自殺をすることは異常だという判断評価がそのような推測評価につながっているのではないか…
 末尾(175~177ページ)にフランス語のレジュメが付いていますが、これが何なのか、何のためなのか、私には説明を見つけることができませんでした…おまえは大学で第2外国語はフランス語選択だったんだから訳してみろって? 勘弁してくださいm(_ _)m


濱田秀伯 弘文堂 2020年8月30日発行(初版は2005年7月)
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