伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

やばいデジタル “現実”が飲み込まれる日

2021-05-09 20:14:16 | 人文・社会科学系
 インターネットの発達によるフェイクニュースの蔓延とプライバシー侵害をテーマとしたNHKスペシャルの番組とその際の取材をまとめた本。
 SNSによる世論操作の手法としてツイートのボットによる拡散とインフルエンサーによる拡大、実在するアカウントを利用した人気投票への投票や「いいね」やコメント付けが紹介されています(80~86ページ)。そこでは自分のSNSについて「いいね」を増やすアプリ(そういうのがあるんですね。知りませんでした)をダウンロードすると、管理者に自分のアカウントを自由に使っていいという許可をしたことになり(ダウンロード前に「同意」ボタンを押す誰も読まない「規約」にそう書いてあるんでしょうね)、管理者は実在する他人のアカウントを使ってあちこちに自由にいいね」したり、コメントを付けられると書かれています。勝手に自分の名前で「いいね」したりコメントしたことにされるって、いくらなんでもあんまり。
 フェイクを暴き、ボットによる操作の手法を記事にして、ボットを見つけ出す手法を開発した記者は脅迫されて仕事を辞めたいとさえ思っていると述懐してる(91~93ページ)というのも哀しい。
 検索データだけで住所、職業、氏名、容貌(顔写真)、食習慣、異性との交際歴、病歴、趣味等を特定する実験が行われ、ほとんどが正解されています(108~152ページ)。私は、できるだけ検索は Startpage にしているのですが、それでも facebook でのクリックとか、楽天トラベルなんかで見たページがすぐにあちこちで反映されて広告に追われます。ネット社会には本当のプライバシーなんてないと考えて行動せざるを得ないですね。


NHKスペシャル取材班 講談社現代新書 2020年11月20日発行
コメント
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