伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

三人の女たちの抗えない欲望

2021-05-25 22:28:07 | ノンフィクション
 高校生のときに妻子持ちの担任教師と教室や教師の自宅でオーラルセックスにいそしみ当人はセックスもしたかったが教師から18歳になるまで待とうと言われていたところ18歳になるまでに妻にばれたために教師が会ってくれなくなったということを、3、4年経って教師がノースダコタ州最優秀教員に選ばれた年に告訴して教師と法廷で対決するマギー、郵便配達人の夫が結婚してから自分からセックスを求めてくることはなく妻がセックスを求めてもなかなか応じてくれないことに不満を募らせて高校時代の憧れの人で既婚者となっている男を呼び出してセックスをねだり続けるインディアナ州在住の2児の母リナ、ロードアイランド州のリゾート地でレストランを経営する夫の希望で他の男を入れて3人プレイをしたり他の男とセックスしてそれを夫に報告することを続けていたがレストランの料理人と同様の行為を続けていたのをそれを知らされていなかった妻に知られて詰られて悩むスローンの3人の女たちの様子を書いたもの。
 私は、読んでいてあまり共感できるところもなく、またこの3人を並べることにどのような意味があるのか今ひとつわかりませんでした。3人のエピソードが交替で語られるのですが、等量ではなく3人が規則的にめぐってくるのでもなく、率直に言って読みにくい。この本が想定している読者はどういう人なのか、その読者は誰かに共感して読むのか、共感しなくても他人事じゃない、部分的には自分にも起こりかねないこととして読むのか、なんだかそのあたりが見えにくい思いでした。
 人間は、理想的にも正しくも生きていられないし、人には言えないことをしていたり現実にしていなくても不道徳な願望を持っている、そういうことはあるよねという本なのかなと思うのですが、それでも誰かにどこか共感できたり自分もそうしてしまうかもと思えないと、訴えるものがなく、考えさせられることもなく終わってしまいがちです。この本を読んで、ノンフィクションだというのですからもちろんこの人たちが存在するのでしょうし、敢えてそう言わなくてもこういう人たちがいて、こういう行動をしているであろうことは認識できるのですが、でもこの人たちと近づきたい関わりたいと思えないし、親身になれないだろうなと思ってしまう、ふ~ん、そう、で終わってしまうのがなんだか残念な本でした。


原題:Three Women
リサ・タッデオ 訳:池田真紀子
早川書房 2021年3月25日発行(原書は2019年)
コメント
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