伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

飛べないカラス

2021-12-05 21:46:16 | 小説
 父親の死で受け継いだ実家の工場から1億円を持ち逃げした元経理部長を捕まえたがその経理部長が拘束中に持病の狭心症の発作で薬を飲めなかったがために死んでしまい、3年4月の刑務所暮らしの上釈放された俳優加納健太郎が、恩師の脚本家大河原俊道からかつて愛人だった女優仲宗根みどりの娘沙羅が幸せに暮らしているかを見てきて欲しいという依頼を受けて、早々に探し当てたものの、沙羅は「とんでもなく美しい女性」で加納が「いままでに出会ったどんな女優よりも美しい」のになぜか加納を知っていて話しかけてきて、その後加納が次々と事件に巻き込まれるというミステリー小説。
 「五番街のマリー」みたいな依頼を受け、周りから繰り返し沙羅とやったか(Hしたか)と聞かれ続ける「ゴールデンスランバー」の青柳くんのような境遇の中を、たぶん本人には不本意ながらも通す加納のどこか昭和っぽいノスタルジックな侠気(ダンディズムというべきか)が切ない作品です。


木内一裕 講談社文庫 2021年10月15日発行(単行本は2019年10月)
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なぜあの人は40代からモテるのか

2021-12-05 18:41:42 | エッセイ
 女性向けに、見た目以外の点で、どうすれば男性にモテる/誘ってもらえるかを指南する本。
 「モテない人は…モテる人は…」という対比の見出しで65項目を並べています。まぁ、このスタイルでかなり無理してひねり出し続けてるよねと感じました。
 多くの部分で、「男性は」と書き、男性脳と女性脳の違いなどと、「モテる」「モテない」を2分法で思考するのと同様に、決めつけた記述が続き、ちょっと疲れます。
 基本的に書いていることは、男が面倒くさいと思うようなことを避けて、相手が楽な気持ちで、また誘いたいと思うような、かわいい言動を心がけましょうということです。それでいて、「モテる人は、めんどうくさいを楽しむ」(160~163ページ)って、女性には面倒くさいことも我慢してって言うんです。これはいくら何でもわがまますぎるんじゃないですか?
 「この人とエッチできる」というのは、出会って10秒でわかります(133ページ)って…そういうものでしょうか…


中谷彰宏 主婦の友社 2015年1月10日発行
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約束してくれないか、父さん 希望、苦難、そして決意の日々

2021-12-05 00:02:15 | ノンフィクション
 現在アメリカ大統領の著者が、2016年大統領選挙への不出馬を決めて副大統領任期を終えた後に、副大統領2期目の日々とデラウェア州司法長官だった長男ボー・バイデンの脳腫瘍闘病生活を綴った本。
 半分ないしそれ以上が長男の脳腫瘍を知り闘病する長男の様子とそれを周囲で見る苦悩を中心とするバイデン家の物語ですが、副大統領としての職務では、人種対立と同性愛者をめぐる公民権運動、プーチンとの確執、ISILの勢力拡大とイラク情勢などが興味深く読めました。ニューヨーク市警の警察官がアフリカ系アメリカ人エリック・ガーナーを窒息死させたことへの抗議デモの最中、パトカーに乗車中の2人の警察官が射殺され、その遺族に慰めの言葉をかけるシーン(51~54ページ、58~63ページ)で、バイデン自身が妻と幼い娘を交通事故で失った過去の経験が、それを皆が知っていることが、遺族への理解、遺族との共感を支えているというのが、せつなくもあり、それを力に変えるところが政治家のたくましさだとも感じました。
 タイトルの長男との約束は、大統領選挙に出馬する(自分の病気のためにそれを諦めない)ことで、それを政治利用していると批判されたことで出馬を断念した(254~57ページ)というバイデンが、2016年大統領選挙でのヒラリーの敗北後、出馬キャンペーンの一環として出版したのがこの本だという(解説:308ページ)のですから、やっぱり政治家の心臓には毛が生えているというべきでしょう。
 しかし、そういう本だとしてしても、現職のアメリカ大統領の(日本では)出版されたばかりの本が図書館に転がったままで、私が借りて2週間以上経っても誰も予約してないって…まぁ日本の現首相の本が目の前にあったとしても読みたいという意欲は湧かないですが。それに、今回、パソコンで向きあってビックリしたのですが、「じょー・ばいでん」を変換すると、「ジョー・売電」と変換され、「ばいでん」の第2候補は「買電」、第3候補が「ばいでん」で、ATOK(ジャストシステム=一太郎の日本語変換システム)ではカタカナの「バイデン」は変換候補に出てきませんでした(一度「F7」キーでカタカナに変換すると学習して候補に出るようになりましたが)。もう大統領に選出されて1年以上経つのに…やはり政治家として華がないということなんでしょうねぇ。日本の現首相よりはましだと思うのですが…


原題:Promise Me , Dad : A year of hope , hardship , and purpose
ジョー・バイデン 訳:長尾莉紗、五十嵐加奈子、安藤貴子
早川書房 2021年9月15日発行(原書は2017年)
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